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鳴動15

 1時間ほどして、北見郊外にある田中清の自宅を訪ねると、妻らしき老婆が玄関に応対に出た。

「すみません、遠軽警察署の者ですが、ご主人?の清さんご在宅でしょうか」

北村がそう言うと、インターホンの時点で警察を名乗っていたとは言え、手帳を目の前にして、さすがに目を見開いて驚いた表情を浮かべた。

「うちの人に用事ですか?」

「ええ、先日も電話で色々お聞きしたんですが、今日はそれについてもっとお聞きしたいことがあるものですから」

西田がやや抑えたトーンで喋った。

「お父さん、なんか警察の人が来てますよ」

妻の呼び声に、しばらくすると田中が現れた。

「あれ、先日殺人事件の捜査で電話くれた刑事さん?」

田中はすぐに西田達について察しがついたようだ。

「はい、先日は電話で失礼しました。ちょっと今日はその件で、更に色々お聞きしたいので、直接お伺いしたんですが、お時間ありますか?」

北村がわざとらしく聞く。時間があろうがなかろうが、「こっち」に付き合って貰うことは言うまでもない。

「ああ、まあいつも暇してるからそれは問題ないが、なんかあったのかい?」

「ちょっと話が長くなりそうなんで、もし良ければ中にあがらせてもらってよろしいですかね?」

西田が聞く。一見図々しいように聞こえるが、玄関前で警察が事情聴取を長くすれば、周囲に不審に思われる可能性があるので、田中に配慮した発言でもある。

「まあなんだかわからんが、そういうことならあがってくれや」

そう言うと、2人を部屋の中に招き入れた


 8畳ほどの和室に通されると、田中には見せていなかったので、再び警察手帳を出してまず自己紹介をした。丁度それが終わった頃、妻がお茶とおかきを出してくれた。北村は遠慮しているようだったので、西田は顔を縦に振って、食べても構わないというサインを出した。田中はそれを見ながらお茶を一啜りすると、先に話を切り出した。

「で、その話ってのはなんだい」

相手から切り出してくれたのは、「疑ってかかっている」だけに刑事達にとっては渡りに船だった。

「実はですね、先日の件についてなんですが・・・・・・、田中さん、あなた松重さんから生田原で調査するという話を聞いたとき、反対されたようですね?」

北村が言った。

「反対!?」

田中はそう言うと、置いていた湯飲みをちょっと持ち上げて、また机においた。

「そう聞いていますが」

「刑事さん、それ会長の松重さんから聞いたのかい?」

「ええ、まあ」

北村がややバツが悪そうに答えた。松重と西田との会話の詳細を、北村には説明していなかったので、彼が松重の「心配」について具体的に知っていたわけではなかったが、さすがに松重に迷惑が掛かることは気にしたようだ。

「困ったねえ。俺は反対したわけじゃないんだが・・・・・・」

「反対というか、する必要がないと言うようなことを言ったと聞いていますが」

西田がフォローした。

「そうそう、する必要がないとは確かに言ったよ、会長さんから話を聞いたときにね」

「田中さん、正直に言いますが、我々は今回の事件の犯人は、遺骨調査をできればやめさせたかったと睨んでいます。それでですが、もっと具体的に言えば、田中さんは、松重さんに『常紋トンネル調査会ではない形で遺骨採集したことがあるから、やることはない』と言ったそうじゃないですか」

西田が畳み掛けた。

「そうだよ。その通り。かなり前だけど結構大掛かりに遺骨採集したことがあるんだ。これは本当の話だ」


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