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鳴動7

 松重氏への聞き込みは想定していた成果を得ることも出来ず、西田は運転の北村と共に帰りの車中にいた。一応、調査会員と今回応募してきた3人の名簿のコピーを手には入れたが、やはり吉見の遺体が発見されて以降の応募者がなかったというのは、今回の聞き込みの結果としては弱い。


「西田係長、どうしましょうか」

サンシェードを下ろしながら、困惑したように北村が聞いてきた。

「・・・・・・さて、どうしたもんかな」

窓の外をぼんやりと見ながら、西田はやや上の空で言った。先程から思索を巡らせていたが、「これだ!」と思った着眼が違っていたのは痛い。

「まさか、そもそもの話になりますけど、あの記事がきっかけじゃなかったということはないでしょうね?」

「いやそれはないと思うな。記事そのものが直接の要因になったかどうかはともかく、調査会の今回の調査予定が犯人に影響を与えたことは、タイミング的に間違いはないはずだ」

「だとすると、諦めたんですかね犯人は。或いはあの深さなら大丈夫だと腹をくくったか」

「そうは思えないんだがな。そんな簡単に諦めるぐらいなら、あんなに労力使って、辺り一面掘り返すだろうか?」

「それは言えますね。すると、遺骨調査の監視に意味がないと考えたということでしょうか」

「あり得ない話じゃないな」

「逆に、係長の想定通り監視する必要があると考えていた場合は、自分で『発掘』する前から、保険として念のため応募していたということになりますか。俺の考えだと1つは既に調査会のメンバーだったということ、もう1つは記事の後、応募してきた3人の中に居るということです」

「おれはそこまで奴が徹底していたとは考えていなかったが、一応考えておくべきか・・・・・・」

「どっちにしたって、メンバーについては調べるわけですから、そんぐらいの考えでいいと思いますけどね」

北村の言葉に、多少救われた西田だったが、刑事の勘がドンピシャで当たらなかったことが、彼の気持ちをモヤモヤさせたままであることに変わりはなかった。


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