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薬屋の聖女 ~家族に虐げられていた薬屋の女の子、実は世界一のポーションを作れるそうですよ~  作者: 木嶋隆太


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第47話


 私はポーションの味を確認していく。


「そういえばアイリーン様って苦手な食べ物、というか味とかってありますか?」

「え!? ……べ、別に? あたしに苦手なものなんてないわよ!」

 

 アイリーン様は一瞬怯んだ様子を見せたが、すぐに胸を張ってみせた。

 それなら、特に味を気にする必要はないかな?

 基本的に果物の味になることが多いけど、人によっては苦手な果物とかもあるだろうから一応聞いておいたんだよね。

 

「それにしても、本当凄いわね! 手品だわ、手品!」


 きらきらと目を輝かせたまま、私の手元を眺める。

 アイリーン様の反応が楽しくて、私もついつい普段はやらない色の変化を行っていく。


 効能が変わらない程度に、薬草を散らす。

 それが沸騰したポーションに落ちると、ふっと爽やかな香りが生まれる。

 アイリーン様は敏感に鼻をひくつかせ、目を輝かせた。


「これはオレンジの香り? あたし、オレンジ大好きなのよ!」

「それでしたら、このくらいにしておきましょうかね」


 今の味はオレンジになっている。

 私は錬金釜からポーションをすくいだし、それをティーカップに注いでいく。

 普段、私とニュナが飲むときは大きめのコップに入れてぐびぐびと勢いよく飲んでいるけど、アイリーン様は貴族だからこの方が似合うと思った。


「はい、どうぞアイリーン様」


 そういってテーブルに並べていく。

 私も自分の分とルーちゃんの分を用意する。


「ルーちゃん、熱いから気をつけてね」

「がう!」


 犬はあんまり温かいものは苦手みたいだけど、ルーちゃんはやっぱり魔物だからか特にそういうのは気にしないんだよね。

 まだ結構熱いと思うんだけど、平然と飲み始めている。


 そんなルーちゃんから、私はアイリーン様へと視線を向けた。

 アイリーン様は椅子に座り、私が座るのを待っているようだ。


「いいわね、このぐらい気楽な感じで飲めるのって」


 私はわりと緊張していますけど。


「それではどうぞ、飲んでみてください」

「ふふ、もちろんよ? ただ、先に言っておくけど、あたしかなり味にはうるさいわよ?」


 ……そ、そうなんだ。

 アイリーン様が悪戯っぽく笑ってから、ティーカップを揺らし香りを楽しむ。

 彼女は一度目を閉じてから、すっと口元へと運ぶ。


 緊張する。彼女の喉がごくんと動いたときだった。


「おいしい!」

 

 目を輝かせる。アイリーン様がティーカップをテーブルに置いて、こちらへと身を乗り出してきた。


「何これ、滅茶苦茶おいしいわよ! あんた天才だわ! いいえ、天才なんて言葉では足りないわ! 超超天才だわ!」


 ……なんだろうか。あんまり天才という言葉の威力がなくなってしまったような感じ。


「そ、それはありがとうございます」

「これならお店出せるレベルだわ! お店出さないの!?」

「……お店、ですか? 特にそういうのは考えていませんね」

「えー、そうなの? こんなにおいしいものが作れるのにもったいないわね」


 アイリーン様はたいそう褒めながら、ティーカップへと口をつけていく。

 けど、良かった。

 アイリーン様が嬉しそうに飲んでいる姿に、嬉しくなりながら私も自分のポーションを飲んでいく。

 

 確かにいつもよりも出来が良かったかも? 質的にはAランクだったんだけど、それ以上に何だか落ち着いている気がする。

 そんなことを考えていると、アトリエの玄関がノックされる。


「ふ、不審者?」

「いえ、たぶん知っている人ですね」

「そうなの?」

「はい、ルーちゃんが反応していませんからね」


 警戒する様子でアイリーン様がじっと玄関を見ている。

 それからアトリエの鍵が回され、一人の女性が入ってきた。


「こちらにいましたか、アイリーン様」


 ニュナだ。ニュナがすっと一礼をすると、アイリーン様も安堵した様子でそちらを見た。


「ニュナじゃない、やっほー」

「……やっほー、ではありませんよ」


 ……私が想像していたよりも、二人は親しい様子だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 考えてみれば沈静効果のあるお茶とか、利尿作用のあるお茶とか、どくだみ茶wとか、こういうポーションも変わらないってことか。
[気になる点] 固定観念で、最初は「熱いオレンジ味………( ゜д゜)」 となっていて ヒロインが、氷魔法か何かで冷やせたら 夏場とかもいいのになぁって思ったが。 そういやティータイムを楽しむ人種は …
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