表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/184

第121話 噂の第二家庭菜園

 ヴァニアさんに帰りの心配は要らないと言われたので、後のことは任せることにした。

 ちょうどギルドへの報告も終わったらしく、シーファさんたちと一緒にアーセルへと戻ってくる。


「ヴァニアさんがどうにかしてくれるそうです」

「ヴァニアさん?」

「あ、そう言えば、シーファさんは会ったことなかったですよね。ブラーディアさんの屋敷のメイドさんです。今度、紹介しますね」


 アニィが不審な目をして訊いてくる。


「……ていうか、そもそも屋敷って何なの? あんたのもう一つの家庭菜園、今どうなってるのよ?」

「えっと……賑やかになってる?」

「こいつ、知らないうちにまた何かやらかしてる気がするわ……」


 なぜか頭を抱えて呻くアニィ。

 確かに予期せぬ住民が増えてきちゃってはいるけど……。


 ちなみに、ミランダさんが第二家庭菜園に移動したことだけは、シーファさんやアニィも知っている。

 アニィは「こんな女、とっとと追い出さしなさいよ」って、何度もうるさく言ってたしね。


 というわけで、その翌日。

 アニィの意向を受けて、この日はランダールに行くのを止め、代わりにみんなを第二家庭菜園へと連れて行くことになった。


「噂の第二家庭菜園ですか……」

「そう言えば、サラッサは初めてだったわね」


 サラッサさんがなぜか身構えている。

 そんな恐ろしいようなところじゃないですよ?


「わたくしも同行させてもらいますねー」


 実はリルカさんも一緒だった。

 今朝、いつものように収穫物を取りにきた彼女に、これから第二家庭菜園に行く旨を話すと、ぜひ付いていきたいとお願いされたからである。


 もちろんすぐに承諾した。

 すでに何度か連れていったことがあるしね。


「えっと、まずここはイオさんたちの家」


 そこには幾つもの家屋が立ち並んでいた。

 というのも、イオさんを追ってやってきた獣人たちのため、スキルを使った新たに家屋を設けたからだ。


 彼らもまた、この菜園に住むことになったのである。

 詳しい事情は知らないけど、イオさんと同様、故郷にはもう帰ることができないらしくて、僕がここで暮らしていいよと言ったら物凄く喜んでいた。


「イオさんって誰よ?」


 そうした経緯など知らないアニィが、なぜか不機嫌そうに訊いてくる。

 ちょうどそこへ、僕が来たことを察知したのか、イオさんが家から出てきた。


「わっ、すごい! 動物みたいな耳と尻尾だ!」

「紹介するよ。獣人のイオさん」

「って、男の人? しかも、すごいイケメンじゃないのよ」


 イオさんを見て、アニィが態度を豹変させた。

 やっぱりこいつもイケメンには弱いのか、目が乙女のそれになっている。


「ジオくん! その娘たちは誰だい!? まさか、君のフィアンセじゃないだろうね!?」


 そんなアニィとは逆に、なぜかイオさんの方が怒ったように訊いてきた。


「ち、違いますよっ」


 シーファさんがそうなれば嬉しいなとは思っているけど、残念ながらまだそういう間柄じゃない。


「本当かい?」

「ほ、本当です。妹と、後は幼馴染たちです」

「……信じていいのかい?」

「は、はい、もちろんです」


 何でそんなに念押ししてくるんだろう?


「……そうかい、それならよかった」


 安堵の息を吐くイオさん。

 ……僕に恋人がいてはダメなのだろうか?


 不思議に思っていると、サラッサさんがいきなり叫んだ。



「 こ う い う の 大 好 物 で す ッッッ !!!」



「「「っ!?」」」

「あ、すいません……何でもないです……ハァハァ」

「なんか、すごく息が荒いですけど……?」

「き、気にしないでください……ハァハァ」


 大丈夫かな……?

 サラッサさん、普段は大人しくて真面目な印象なのに、時々ちょっと変なんだよね……。


 今もまだ興奮したように鼻息を荒くしている。


 あ、もしかしてイオさんがイケメンだから……?


 やっぱり女の子はみんな顔が良い男性が好きなのかな……。

 シーファさんを連れて来なければよかったかもしれない。


 不安に思ってシーファさんの顔を見ると、いつもと変わらない表情をしていた。

 ちょっとホッとする。


「ジオ? 顔に何か付いてる?」

「い、いえっ、何でもないですっ」

「?」


 見ているのがバレてしまい慌てる僕。

 不思議そうに首を傾げるシーファさん、やっぱり可愛いです。


「くっ……僕のジオ君をっ……」

「ハァハァ……」


 それから僕はイオさんにみんなのことを一人ずつ簡単に紹介した。


「(そうか……シーファというのかい……ぼくのライバルは……)」


 ……なぜかシーファさんにだけ敵意の籠った視線を向けているんだけど、もしかしてイオさん的に苦手なタイプなのかな?


 イオさんと話をしていると、他の獣人たちも集まってきた。


「ジオ様のお陰で何不自由なく生活できております」

「イオ様とも無事に再会できましたし、本当にどれだけ感謝してもたりません」

「いえ、助けになれたなら幸いです」


 ここに来たときは薄汚れていて気づかなかったけど、身体を洗って綺麗になった今、みんなイオさんと同じ白銀色の髪をしていたことが分かる。

 顔つきも結構似ているし、恐らく獣人の中でも同じ種族なのだろう。


 最初は猫の獣人かなって思ってたけど、精悍な感じの顔つきはむしろ虎っぽい。


「白髪の……虎の獣人……まさか……」

「リルカさん? どうされたんですか?」

「い、いえ、何でもないですよー」


※最新話は書籍版に合わせる形で書いているため、前後で設定の矛盾等が出る場合があります。ご了承ください。(キャラが変わったりもします)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

栽培チートコミカライズ
発売中!!!
― 新着の感想 ―
[一言] 家庭菜園とは?
2021/11/17 13:08 退会済み
管理
[良い点] 何も問題ないな! ここは家庭菜園なんだ!(野菜しか育てないとは言ってない だって肉も鉱石もなるんだよ。キノコも変態も生ってもおかしくはないさ。きっとそれがこのスキルの副作用というかリスク…
[一言] イオさんまだ性別確定してないだけに男だと腐で女でもヅカで腐という腐のスパイラルに突入? やべーやつ大量繁殖?でもう菜園でないよねこれ…(わかってはいるがなキリッ( ・`д・´)) というか過…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ