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エピローグ 校了! そして……

 5月も末。

 あれから第二校も無事に終わって、とうとう主な作業は私の手から離れるようになった。

 最後に「念校」という最終チェック。

 前作「あなたの未練、お聴きします」は、仕事の忙しさがあって、また、最終段階での校正は出版社側が直してくれるだろう、という期待もあって、この過程を疎かにした結果、多くの誤字を産むことになった。


 だから、今回は、入念に、今度こそ失敗しないように、念校で渡された原稿には二回、目を通した。自分が書いた、何度も読み返した文章を何度も読むのは辛いものがあるが、この過程が終わると、もう直しは効かないのである。誤字は誤字のまま、誤植は誤植のまま、本が世に出ることになる。

 本が出た後に気づいた誤植には、本当に心を折られる。

 なので、本を出すことになった方は、是非この過程こそ、入念に行って欲しいと思う。


 さて、そんな「念校」を経て、「吾輩が猫ですか!?」は校了と相成った。


 それにしても、今回の改稿では、色々学んだことがあったものだ。


 まず第一に、「書き下ろし」と「改稿」は、似たところこそあれ、全くの別物であること。

 「書き下ろし」が建築であるとすれば、「改稿」は増築あるいはリフォームである。

 適したところに適した文章を入れ込み、すでに建っている一軒家をより機能的に、面白みのある、さらに良いものに作り上げていく。「すでに建っているものがある」というのがポイント。増築したことで、その家の良さを殺してしまってはまったく意味が無い。


 むしろ、その家の良さをいっそう引き出すためにするもの、その家でありながら、斬新な増築によって、さらなる良さを積み重ねていくのが、「改稿」という作業なのだ。反対に、増築やリフォームによって、元々建っていた家屋をまったくだめな物件にしてしまうことも十分にありえる。だから、その塩梅の妙を探っていくわけである。


 良いものを作るには「知恵」と「センス」が問われる。これはこれで『書き下ろし』とは違った方向性を持った、なかなか難しい作業だった。


 そういえば、今回の改稿では、編集に「この箇所、エモすぎますので変えて下さい」という指示が入ることがあったが、「エモい」の意味がとうとうわからなかった。 誰か「エモい」の意味を教えてくれないだろうか?


 ググっても、ネットに書かれているその説明ではどうしても意味が通らない。

 若者言葉なの? 業界のスラングなの?


 いずれにせよ、どうやら私は古い人間へと、足を踏み入れているらしい。

 簡単に言えば、もうおっさんである。


おっさんと言えば、『吾輩が猫ですか!?』も「おっさんが猫に憑依して現役女子高生とあれこれドタバタする」作品。どうも作品というのは、作家の鏡なのかも知れない。


 まあ、せこくアピールをしたところで……。



 ……さて。

 このエッセイも、そろそろ終わりを迎えようと思う。


 前作の「出版前夜祭」は、思った以上の反響で、「書いてくれてありがとうございます!」「今すぐそちらに行って、握手したいです。感謝の気持ちを伝えたいです!」などのメッセージまでも、数多く頂いたのだが、今回はそのように熱い展開はなく、まだデビュー前の作家さんを勇気づける記述も少なく、一番初めに言ったとおり、「書籍化作家から、かろうじて作家に言えるようになったかも知れない凡人の創作日記」になっている。


 それが良いことなのか悪いことなのかはわからないが、出版事情の裏話を限りなくギリギリまで、詳細に描いた作品にはなったと思っている。


 よろしければ、感想などいただけると喜びます。

 また、これを読んで、「作家なんてやめだ! 見切りをつけてやる!」といわれる方が出やしないかと、戦々恐々としてもおります。前回の「出版前夜祭」から一転して、夢を壊された方、この場を借りて謝罪いたします。すみません。



 ですが、この業界に、まだ少しでも関わってみたいと思うのなら。


 私は、心から応援いたします。

 これを読んで下さっているのは、もちろんすでに商業作家さんの方も多くいるでしょう。


 あえて作家さんを目指している方に、メッセージを伝えたいと思います。



 作家の世界は理不尽で不可思議で、面白くてエキサイティングなところです。

 その欲望・落胆・エゴ・後悔……作家になってから学ぶことは、沢山、本当に沢山あります。


 あなたが、作家になって、どういう体験をされるのか、それはわかりません。


 ただ、もし、作家になる夢を諦めないのなら。

 書き続けて下さい。

 自分が面白いと思える作品を書き、その感動を読者さんに伝えて下さい。


 それは、たまたまその作品を覗いた編集者の目にもとまるかも知れません。

 ですが、それが『面白い』作品でなければ、書籍化というオファーはきません。


 だから、書き続けて下さい。腕を磨き、思いの丈を原稿にぶつけて下さい。


 ――そして、あなたも作家の1人として、その名を連ねて下さい。



 おかしくも悲しい。滑稽でいて酷く真面目で、本当に辛くてこれ以上楽しいことはない、作家の世界へ、ようこそ!



 これで、本エッセイは締めさせて頂きたいと思います。

 熱い展開こそ少なかったものの、当初の目的通り、無事、お茶請けになることが出来たでしょうか? そうだったら良いな、そうなれたら良いな、などと思いつつ。


 それでは皆さん、また機会がありましたら、是非お会いしましょう!


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