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14 イラスト決定

 だいたいこの頃になると、tonoさんからイラストのラフが上がってくるようになった。

 パターンをいくつか用意してくれていて、明智とヒロインが背中合わせになっているパターン、並んで座って、猫が2人の橋渡しをしているパターン。

 編集Tさんから「どちらが良いとおもいますか? 編集部でも意見が割れてて」と聞かれたが、直感では背中合わせのパターン。でも、見れば見るほど味わい深く、どちらも良くて選べなくなってしまった。

 編集Tさんのイメージ的には、背中合わせよりも並んで座っているパターンを推しているようだったが、結局、「すみません、見れば見るほどどちらも良い感じがして選べないので、お任せします。とくに、Sさんは女性編集なので、彼女の意見を聞いてみたいです」と、情けなくもお願いした。

 結局、選ばれたのは「並んで座っている」パターン。編集Tさんによると、「これに、主人公の手の位置を微調整して貰うつもりです」と言うことだった。

 

 結果的にその案が通り、4月下旬くらいになって、決定稿が送られてきた。


 そのイラストを見たとき――私は思わず固まってしまった。

 主人公・明智とヒロイン・柊の、近いのに、どうしようもないくらいの距離感。

 それを、猫の「ししゃも」が橋渡しをしていて。アンニュイな表情の柊を、明智がただ、見守っている。『支えてはいないが、しっかり支えている』。それは優しくもあり、力強くもあり、あるいは逆に無関心っぽく。


 ――これは、ルパンとクラリスだ。


 正直にそう思った。編集Tさんは、最初から、この構図が頭の中にあったのだろう。

 まさに、私の物語をイラストで物語っているイラストだった。

 この微妙な距離感を、ここまでイラストで表現させられると、もはや絶句以外の何物でもなかった。困難を訊いてくれたtonoさんはもちろん、それを狙って伝えた編集Tさんのビジョンにも舌を巻く。


 編集Tさんから電話がかかってきた。


T「どうでした、イラスト」

私「良いです。私はかなり好きですよ、このイラスト」

T「そういってもらえると」

私「いや、これに文字が載ったら、かなりインパクトあるんじゃないんですか? 目を引くというか、手に取りたくなるような感じです。後は文字がどう載るかですね」

T「そうですね。それに関しては、作品のあらすじのイメージと合うようにポップな感じにしようと思います。後は帯で、内容についての詳細に触れる感じで」

私「はい。いや、これ、行けるんじゃないですか? すごくいいですよ」

T「ありがとうございます!」


 こうして、イラストが完成し、後はタイトルのデザインと言うことになったのだが、実際に表紙ができあがってくるまでは、また少し時間がかかることになる。


 しかし、これは――本当に、ルパンとクラリスの距離感だな。

 ハードル上がっちゃったなあ、もう。

 私は苦笑交じりの喜びを隠せなかった。


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