36 悪役令嬢に転生した干物女は和食レストランのオーナーになって味噌とんちゃんを焼く。 ☆挿絵あり
前回までのあらすじ。
豚汁と白米のコンビはうまーですわ!
ごきげんよう、クリティアです。
私にはジャージブームを起こす他に、打ち立てていた野望がある。
WASHOKUを異世界に広めるという野望だ。
その夢が叶うときが来た。
クックの妹、トッテから、WASHOKUの店を出したいという申し出があったのだ。
もちろんその場でOKした。乗るしかないよね、この波に!
異世界初、和食処。
オーナーは私。
そして店主はトッテだ。
村の野菜をふんだんに使うメニューは、村の宣伝にもなる。
店の一角に、領地の野菜直売コーナーも設けた。
「うちはWASHOKU店でじっちゃんとばっちゃんの育てた野菜を出して、国一の人気野菜にしたいんす!」
と、かっこいいことを言ってくれた。
全力でバックアップする所存である。
開業前日である今日、トッテが店で出す予定のWASHOKUを振る舞ってくれた。
キャベツの味噌汁、焼き鳥、浅漬けに炊きたてご飯。
THE・日本の定食!
「いただきます!!」
程よいかげんの味噌汁をすすり、アツアツの焼き鳥を噛みしめる。塩だれと肉汁が絡み合ってうめー!!
口の中に焼き鳥の幸せがいる間に白米をかき込む。
「もーー、すんごくおいひーー! 幸せ! こんなに美味しいんだもの。絶対に店は成功するわよ、トッテ!」
「ありがとうございます、クリティア様。うち、がんばるっす!」
店を出すにあたり、せっかくだから実店舗ならではのメニューを伝授することにした。
「さて、お腹がいっぱいになったところで。この店限定のメニューを提供しましょう」
「はい、何を作りましょう!」
兄と同じで勉強熱心な子だ。
「味噌とんちゃんよ!」
このために、わがフローレンス領て育てられている豚、フロー豚の小腸を用意した。
この世界の人、腸詰めは作るけどホルモン料理はしない。
つまり内臓を料理に使う文化自体はあるんだ。
馴染みやすかろう。
「クリティア様。豚の小腸なんて出して、ウインナーでも作るんですか?」
「これを味付けして焼くのよ」
「肉詰めにするのでなく……?」
やはり怪訝そうな顔をされる。
「大丈夫よ。絶対に美味しいから!」
沸騰したお湯で切り分けたホルモンを茹でて、ザルにあげたらしっかり水分を取る。
ボウルに味噌、砂糖、醤油、酒、そしてすりおろしたにんにくとしょうがを入れてタレを作る。
私の好みでにんにくマシマシだ。
下茹でホルモンを味噌ダレに入れて漬け込む。
「味が染み込むまで一時間くらい待ちましょう」
「はい!」
真面目にメモするトッテ。漬け込みを待っている間に鍋を洗っておく。
七輪で炭をたいて、網の上に並べていく。
ジュワジュワ、いい音を立てて肉が焼ける。
タレが焦げて醤油と味噌の焼ける香りが広がる。
「わぁ! すごいっす、匂いだけでよだれがでてくるっす」
トングでクルクル、一回皿に戻してタレにくぐらせて、もう一回焼く。
最後に、市場で買ってきた唐辛子の粉末をぱらっとふりかけて、ネギをちらして出来上がり!
タレに二度漬けして炭火でじっくり焼くから、キッチンカーだと時間の関係で提供しづらい。
「さあできたわ、トッテ。味噌とんちゃんよ! 食べてみて」
「い、いただきます!」
息をのんで口に入れるトッテ。
一気に頬があがる。
「はふ、あひひ、おいしい、おいしいっすクリティア様! これでお酒を飲みたいっす!」
「あらー、わかってるじゃないトッテ。そうなのよ。お酒に合うの!」
「ふー、ふー、はふ。これも絶対にメニューに入れるっす!」
「私もキッチンカーをしながら宣伝するわ。任せたわよトッテ!」
ごはんを食べたあとなのにとんちゃんも食べて、お腹パンパン。
明日からこの美味しさを国のみんなに広めるのが楽しみね!
味噌とんちゃん、名古屋の名物グルメ。
名古屋飯は味噌が外せない。





