22 悪役令嬢に転生した干物女はうどんを打つ。 ☆挿絵あり
前回までのあらすじ。
出張キッチンカーは大盛況だったよ!
両陛下からお褒めの言葉をいただいたということで、料理研究とビール解禁です!!
「太らないように気をつけなさい、一杯までなら飲んでもいいです」と言ってもらえたので、一杯でも飲めるなら嬉しいわ!
季節は夏。
いつもジャージを頼んでいる我が家贔屓の仕立て屋、マダム・ソアラに半袖体操着を作ってもらった。いわゆる小・中学校の体操着である。
クロムが横で「あぁ、姉上の服装がますます野暮ったくなっていく」と嘆いている。
「何を言うのよクロム。着心地と利便性は最高峰よ!」
「野暮ったいのは否定しないんですね」
体操着にオシャレさなんていらん。
さて今日は前世のおばあちゃん直伝、うどんを打つ。
私の故郷では、うどんといえば栗田屋。栗田屋を知らぬものはいないというくらい長年愛されている店なの。
デールとクックも新作料理と聞いて、メモを手にやってきた。
ジーニャとルールーもワクワクした目で見ている。
そして遊びに来ていたヨイも、半袖体操着で参戦した。
「今日作るのはWASHOKUの中でも素朴な麺料理、うどんよ!」
「まあ。クリティア様、今日はとてもシンプルな材料なんですね」
「そうね、ヨイ様。うどんの麺を打つのに必要なのはこの2つなの」
小麦粉、塩水。
大きなボウルに小麦粉を入れて、少しずつ塩水を足しながら混ぜていく。
全体に行き渡ったらひとかたまりにまとめて、こねる!
「いいトレーニングになりますわね! てやぁ!! とりゃあ!!」
日本に行ったらレスラーになれるよってくらい上腕二頭筋が育っているから、勢いがすごい。
ビタン! ドカ! ドン!
コシのあるいいうどんになりそうだ。
生地が滑らかになったらボウルに入れて、濡れ布巾をかぶせて1時間寝かせる。
「麺を待つ間につゆを作りましょう。ユージーン領特産の干物です!」
昆布、煮干し。
煮出してこして、塩で味を整える。
醤油があれば最高だけど、あれはまだ試作段階。ツボに入れて蔵で発酵中だ。
冬の終わり頃にできたらいいな、くらいの気持ちでいる。
あとはまだ時間があるから、大根おろしを作って青ネギ系野菜を刻む。
つゆができたら麺を切って茹でる段階だ。
調理台に打粉をして、麺棒で伸ばしていく。均一に平たくなったら打粉をしながら折りたたんで、細く切る。
「よし! 茹でるわよ!」
「はい!」
たっぷりお湯を沸かした鍋で茹でて、冷水でしめたらザルに開けて、天ぷらとつゆをそえる。
「できたわ。手打ちうどんよ!」
「きゃー! 美味しそうにできましたわ!」
使用人のみんなの分も並べて、ルールーにも小さめの器でフォークをつけて渡す。
「はぁ。ツルツルして美味しいですわ。パスタと違って素朴な味わい……魚介出汁の香りが良いです。サッパリしてだいこんと相性が最高ですわ!」
「それは良かった。うどん打ちには自信があるの」
さすがおばあちゃん直伝。
作った分が飛ぶように売れていく。
「ツルツルですの! おいしいですの!」
「うふふ。ルールーの口にも合うのね」
これなら異世界の夏場の食卓でも喜ばれるんじゃないかな。
私は久しぶりのうどんを堪能して、キンキンに冷やしたビールを飲み干す。
うどんは白いからカロリーゼロ、ビールの泡も白いからカロリーゼロ☆
ってことにならないかな。
母上が見てないから、2杯目飲んじゃえ!
せっかくだからフローレンス家の夕食にも並べてみた。
母上が「サッパリしていていくらでも入るわ!!!」と3回おかわりしていた。
翌日、食べたぶんのカロリーをゼロにするために母上がダンスレッスンを超がんばっていた。





