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59 廃人ギルド?知らないですね!

本日二回目の更新です!


 俺達はイベントを楽しんだ。

 相手の攻撃を避けながら歌って踊る俺の姿は、まさにアイドル!

 可愛さをこれでもかと振りまいて、盛大にアピール出来たことだろう。

 投票開始が楽しみだ。


 ランダム対戦を見て興味を持ったのか、対戦の指名が入るようになった。

 勝てそうならそのまま押し切るが、基本的に俺達の戦いは判定勝ち狙いだ。

 だから一戦終わる頃には次の指名が入っていたりして、せっかくだから指名を優先することにした。


 このイベントでは、対戦相手を二つの方法で決めることが出来る。

 ランダムか、指名だ。

 指名というのは相手を選んで行うわけで、当然俺達の試合を見て指名したわけだからどこも手強かった。


 実際、試合を重ねる内に負けることも何度かあった。

 俺達の戦法は俺のライブが根本にあり、そこに全力をつぎ込んでいるから、そこが崩れると脆いのだ。

 

 負けたパターンとしては、俺が前衛の攻撃を捌き切れなかった、サンゾウが後衛を抑えきれなかった、速攻俺が倒された、等である。

 連携を高める訓練を必死にしたが、期間としては二日も無い程度。

 日々レベルを上げてPvエリアで対人戦を繰り広げているらしいプレイヤーに、まともにぶつかったら押し切られるのは仕方ないだろう。

 

 そしてイベントを全力で楽しむ俺達に、少し因縁のある廃人ギルドから指名が入っていた。





 俺は受けてもいいと思うんだけど、どうだろうか。

 一応聞いてみておくことにする。


「リリィさん、ここのギルドから指名が入ってるんですけど、受けても良いと思いますか?」


「……ああ、あのクソ廃人ギルドですね! あそこへはいつか恨みを晴らさなければと思っていました!」


「まったくでござるな!」


 リリィに意見を求めると、突然ヒートアップし出した。

 サンゾウまで加わって恨み言が溢れ出しまくっている。

 こわい。

 なんとなく予想はしてたけど。


「あんな連中にお姉様の可愛さを間近で見る権利なんて勿体無くてあげたくありません。一生お姉様の可愛さも尊さも、全てを感じ取れないよう、全身の感覚器官に溶けた鉛をぶち込んでやりたいくらいです!」


「まったくでござ……いや、それは流石にちょっと引くでござるなぁ」

 

「それでもお姉様の(しもべ)なの!?」


「拙者は忠実な僕でござるよ。しかし、姫が気にしていないのであれば、放っておくのが一番でござる。勿論、同じステージに上がる権利など与えるべきではないと思うでござるが」


「そうよね!」


「そうでござる」


 思ってたのと違った。

 二人とも、すぐにでも受けて叩き潰すべき、と言い出すと思っていた。

 だけど二人とも、理由は若干あれだけど、このイベントの場で直接対決をするつもりはないようだ。

 

 俺も最初は力で対抗しようと思ってたけど、今の方針に変更してからは特に気にしてなかった。

 指名の申請を見て、五秒程経ってから思い出したレベルだ。

 

「確かに、姫さんのステージに立たせたくねぇよな」


「はい。姫様と僕らの筋肉オンステージ特等席に招待する程の相手ではないと、僕も思いますね」


「他にも沢山指名が来てるんだし、わざわざ受けなくてもいいんじゃないかな。でも、姫ちゃんが受けたいって言うなら僕らは全力で頑張るよ」


 鬼コンビもリリィ達に同意して、レンも同じ意見を口にする。

 そして、最後に俺の意見を尊重すると付け足してくれた。

 他のメンバーもいい笑顔で頷いている。

 気持ちはメンバー全員同じの様だ。


 俺は正直そこまで考えてなかった。

 普通に受けようとして、リリィ達にも一応確認しただけだ。

 過剰に攻撃的になるようだったらたしなめようと考えていた部分もある。

 だけど逆に受けたくないって言うなら、受けなくてもいいな。

 

 休憩のついでに、大手廃人ギルド≪FirstKnights≫、通称FKの対戦の様子も眺めてみた。

 めっちゃ強かった。

 全員が高レベルで装備も高品質。

 支援職っぽい人ですら前衛に押し勝ってるとかいう、一目で強いのが分かる試合内容だった。

 相手にほぼ何もさせずに一方的に勝ってたもんな。


 これと戦う?

 ないない。

 俺達相手にもガチガチに対策を組んできそうだし、もしそうなっていた場合は俺達の持ち味を一瞬も見せることなく負ける可能性が高い。


 そんな試合、俺達にとって得は無い。

 交流イベントだから、俺達は楽しめる試合がしたいんだ。

 何も出来ずにボコボコにされたって、楽しいのはFKチームとそのファンだけだ。


 そんなのに付き合う義理は無いな。

 さくっと拒否のボタンを押した。


「では、次の試合に行きましょうか」


「はいお姉様!」


「了解でござる!」


「っしゃあ、筋肉が鳴るぜ!」


「ふふふ、肉沸き肉躍るというやつですね!」


「頑張ろう!」


 大手廃人ギルドのことは忘れ、引き続きイベントを楽しむことにした。

 同じように≪明鏡止水≫から来ていた指名も拒否。

 ガチ勢はガチ勢と真剣勝負をしてればいいんだ。

 交流イベントだけど、交流する相手を選ぶ権利はちゃんとあるからな。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しむ事を優先しあえてガチ勢と戦わない方を選ぶのは良いと思います。主人公最強タグが付いてたりすると戦う一択ですがこれはこれで良いですね。
[一言] なるほど、趣旨を理解してくれなそうなところとは住み分けるべきですよね せっかく目立ちたいのに引き立て役になる理由も無し この後絡んでこないかだけが心配ですがそれこそGMコールでもすれば良…
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