48 可愛さの為に!
本日四回目の更新です!
可愛さをアピールする方針を貫く為に、俺達は作戦会議を実施した。
様々な意見が出て、却下したり共感したり。
各自自分の意見を戦わせたり、競わせたり。
それはもう白熱した。多いに燃え上がった。
途中までは五人だったが、三十分も経たない内に全員揃った。
そこからなんと三時間。
次の日が土曜日なのを良いことに、たっぷり時間をかけてしまった。
激闘の末、いくつかの戦法と、それを実行する為の準備を行うことが決定した。
次の日からの奮闘を誓い合って、俺達は満足のままにログアウトした。
狩りにも行っていないのに程よい疲労感に包まれて、俺は眠りに落ちた。
▽
可愛さの為にその一!
「ほらほらもっと気合いを入れて掘りなさい!」
「うおおおおお!」
「ほらほら、もっと気合いを入れないと僕には追いつけませんよ!」
「はっ、まだまだだぜぇ!」
「あはは! 二人とも頑張ってー!」
「レンさん、ゴーレムが来てます」
「任せて姫ちゃん!」
アズに俺を更に可愛くするための装備を作ってもらう。
俺達はその為に、≪一層ダンジョン≫の採掘ポイントを駆け回っていた。
メンバーは俺、リリィ、ダリとダイナ、アズ、レン。
サンゾウ以外だな。
採掘ポイントは、ダンジョンの各地にランダムで出現する。
そこにピッケルを叩きつけると、ランダムで素材が採れることがあるが、効率はステータスで決まる。
≪体力≫を上げることでピッケルを叩きつける間隔が短く出来る。
≪筋力≫を上げることで採れる素材の数が増えることがある。
その為、鬼コンビはひたすらピッケルを叩きつける係。
アズは採れた素材を積む係。
リリィは現場監督で、俺とレンは道中のモンスターを狩る係だ。
ここのモンスターは低確率で金属鉱石を落とす為、その分もバカには出来ない。
貴重な素材だ。
ここは俺達が金策で訪れていた第二エリアだが、今は人がそんなにいない。
ギルド設立の特需が終わった為で、あまり高く売れなくなったからだ。
今では、少数のプレイヤーがのんびりと狩っているくらいでしかない。
「ちぃっ、ポイントが消えやがった!」
「姫様、次に行きましょう!」
「お姉様」
「はい。それでは皆さん、次を探しますよ」
「はいお姉様!」
「了解」
「おう!」
「はい!」
「うん!」
採掘ポイントは、ある程度掘っていると消える。
その場合は次の採掘ポイントを探して走り回ることになる。
俺の合図と同時に、鬼コンビを先頭にして走り出す。
金属素材が採れるこの狩場が不人気なのは、効率が悪いからだ。
場所も悪いしモンスターも厄介だし、稼ぎもそんなに出ない。
この採掘だって、採れるのは石がほとんどで金属系は偶にしか出ない。
もっと低確率で宝石も出るらしいが、それに至ってはまだ一個も見ていない。
そんな場所だから、ここは人気がない。
二層にはもっと効率の良い採掘出来る場所があるのも、大きな理由だ。
だからこそ、俺達はここを駆け回っている。
いくら効率の良い狩場って言ったって、余りにも人が多ければ効率は下がる。
交流戦イベントを目前にして需要も高まってるだろうしな。
多少の効率の悪さは、努力と足でカバーする作戦だ!
「おらぁ! ダイナ!」
「分かってますよ! ≪振撃≫!!」
進路にいたストーンゴーレムをダリが盾で殴って気を引いた直後、ダイナが燃える大剣を叩きつけた。
俺の≪エンチャントファイア≫付きの一撃は、スキルの威力も相まって石の身体を一刀両断した。
「採掘ポイントどこだおらぁぁ!!」
「眼に筋肉を集中させるんですよ!」
「おう、任せとけ!」
「あっ、ポイントあそこにあるよー!」
「なにぃ!?」
「なんですって!?」
「全くもう、バカなんだから」
再び駆け出した鬼コンビだったが、アズの呼び掛けで急ブレーキをかけていた。
慌てた様子で戻ってくる。
そんな二人を見て、リリィはため息をついた。
でも、口元は笑っている。リリィもなんだかんだ言いながら、二人を嫌ってはいないようだ。
「おらおらおらおら!」
「はいはいはいはい!」
「ほらほらもっともっと気合いを入れるのよ! お姉様の為に血反吐を吐いても掘りなさい!」
「おうさ!」
「はい!」
「がんばれー!」
「レンさん、私達は周囲の警戒をしましょう」
「うん、寄ってくるモンスターは任せてよ」
「頼りにしてます」
賑やかなこの空気こそ、俺達のギルドだな。
採掘に精を出している二人を背に、俺はふふっと笑みを零した。
ちなみに、サンゾウは別行動で素早い敵の素材を集めに行っている。
ここの狩場は相性が悪い上に、ソロ性能の高いサンゾウを遊ばせてるのは勿体無いからな。
あと、素早いモンスターは他のメンバーだと相性が悪すぎる。
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