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26 舞台に向かって走り出せ!

本日二回目の更新です!


 俺達の目的は、藻屑兄弟に勝つこと。

 だけど、優勝だって狙っている。

 ぐっと拳を握って見せると、レンも拳を作って微笑んでくれた。


『ちなみに、準決勝会場からは負けるとここまで戻されちゃうから注意してね。あとは、敗北したペアは再挑戦するまで十分のクールタイムが発生するよー。知り合いと組むことに拘るのもいいけど、この機会に知らない相手とも組んでみてね』


 ここら辺のルールは、交流が目的と言うだけあると感じるな。

 普通にやってたら知り合いとしか組まないもんな絶対。


 しかし、負けてしまえば十分間のクールタイム。

 拘ってると早い者勝ちである入賞の枠が無くなってしまう。

 これは、負けられないな。

 目指せストレート勝ち!


『ルールは以上かな。入賞は早い者勝ちで百組までだけど、イベントの制限時間は二時間。この間に百組揃わなければ、勝ち数の多いペアから順に繰り上げするよ』


「しかしよぉ、この舞台の数がこんだけなのにこの人数じゃ、足りなくねぇか?」


『いいことに気が付いたね、そこの赤鬼くん』


「おう!」


 ダリラガンの呟きをモグラが拾った。

 結構離れてるのに聞こえてるのすごいな。

 なんて思ったが、ここはゲームの世界だった。


 こういう特別な場面で音が距離に関係なく伝わったとしても不思議ではない。

 モグラのアナウンスも、声を張り上げてる訳でもないのによく聞こえてくるしな。


『この舞台はあくまでも入口であって、他に入った人とランダムで組み合わせを決めるからガンガン上がってくれたらいいよ。だから、対戦相手も選べないけどそこは許してねー。ただし、決勝とかは人数も少なくなってくるから狙った相手とバトル出来るかもよ』


 なるほどなぁ。

 確かに十個って少なくないかと思ってたけど、要らぬ心配だったようだ。


『それじゃあ皆準備はいいかな? よーい――スタート!!』


「「「うおおおおおお!!」」」


 言うと同時にモグラの姿が消えた。

 そして、雄叫びをあげてプレイヤー達が近くの舞台へと突っ込んで行く。

 ダリラガンとダイナの筋肉コンビも一緒になって突っ走って行った。

  

 流石にあれには混ざれない。

 俺は気弱で根暗な大人しいオタクなんだ。

 あんなのに混じったら粉々になってしまう。


 それに、今の俺は可愛い女の子だ。

 雄叫びを上げて走るのは何かが違う。


 ある程度疎らになったところで、待ってくれていたレンへ視線を向ける。


「私達も行きましょうか!」


「うん、行こう」


 と思ったら、俺達の行く手を阻むように人影が現れた。

 それは、二人のソフトモヒカンだった。


「藻屑兄弟……!」


「もずく兄弟だよカオルちゃん。なあ兄者」


「そうだな弟者。割とよくされる間違いの上、カオルちゃんに藻屑とか言われて嬉しいやら恥ずかしいやら複雑な心境だ」


「何か用?」


「はっ、怖気づかずにペア戦に参加してきたことは褒めてやるよ。なあ兄者!」


「そうだな弟者! 褒めてはやるが、勿論約束は覚えてるんだろうな?」


「そっちこそ覚えてるんだろうね? 僕達を侮辱した件、きっちり謝ってもらうから」


「威勢がいいのは嫌いじゃないぜ。だが、簡単にオレ達と戦えると思っちゃいけないぜ! なあ兄者!」


「全くだな弟者! この会場はランダムマッチだ、戦う機会があるかは分からない。だから、決勝ステージまで上がってこい。このもずく兄弟が、そこで待ってるぜ!」


「分かった。必ずそこまで行くから、首を洗って待ってなよ! ねぇ、姫ちゃん」


 レン、何かうつってないか?

 まぁここは否定するところじゃないし乗っかっておこう。


「そうですねレンさん。私達の本気、しっかり見せつけてあげます」


「うっは、マジ楽しみにしてるわ。ねえ兄者!」


「本当にな、弟者! 行くぞ!」


 もずく兄弟は舞台へと走り去って行った。

 もしかして、あれは彼らなりの激励だったんだろうか。

 謎だ。


 何はともあれ、俺達もいかないと。

 既に負けたっぽい人達がちらほら転送されてきている。

 のんびりしている暇は無さそうだ。


「レンさん、行きましょう!」


「うん、行こう!」


 俺達は、目の前の舞台に向かって駆け出した。



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