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24 レッツパーティー!パーティー狩り!


 こうして、俺の知り合い達が全員集合した。

 新しく顔を会わせたのはレンだけだったので、自己紹介は各自で済ませてあった。

 簡単に相談して、狩りへと出発した。


 向かったのは、第一層ダンジョン。

 西の平原の奥から行ける、第二層へと繋がるダンジョンだ。


 奥にはボス部屋があり、ボスを倒すことで二層へ行くことが可能となる。

 リリィの話では強さはそこまででもないらしいが、前回は普通に全滅した。


 しかし、俺達だって日々成長している。

 更にはレンも加わっての六人パーティーだ。

 負ける筈がない。


「はい注目! お姉様から作戦の説明があるわ。皆、心して聞きなさい」


 ダンジョンの入り口の直前で、リリィが声を挙げた。

 他の皆が一瞬で口を閉じて足を止める。

 謎の統率力だ。

 レンまで完璧に揃ってるのは流石としか言いようがない。


 リリィって、見た目はクール系かつ清楚系の美少女なのに、全然大人しくない。

 覇気で溢れている。

 年齢は見た目だけで言えば、多分十八かちょっと上くらい。


 何故そんな人が俺をお姉様と慕ってくれるのか。

 可愛いものが好きなのは伝わって来るけど、謎に塗れている。

 見てる分には楽しいからいいけどね。


 だけど、俺何も聞いてない。

 この空気で話すの? マジで?

 大人しい人畜無害な根暗オタクだから注目されるの苦手なんだよ。


 だけど、今の俺は可愛いケモミミ少女。

 怯えてる場合じゃない。

 俺の役目は堂々と可愛さを振りまくことだ。


「ええっと、前衛はダリラガンさんとサンゾウさん。モンスターが来たらターゲットを持ってください」


「おう、任せとけ!」


「承知にござる!」


「火力は、ダイナさんとレンさん。前衛の二人を巻き込まないように攻撃してください。ターゲットが自分に向いたと思ったら、すぐに離脱してくださいね」


「了解です」


「分かった」


「支援と回復はリリィさん。お願いします」


「任せてくださいお姉様!」


「だけど、私も回復を――」


「お姉様は不測の事態に備えておいてください」


「はい」


 とりあえずはさっき話し合ったことを、改めて指示する。

 俺だけは何故か皆の意見で役割が決められた。


 前衛二人が対処しきれないタイミングで追加が来た時にだけ、≪プリンセス・ボックス≫で隔離するという、割と大事な担当だ。

 しかし、いざという時以外は地味。

 回復もさせてもらおうと思ったが、言い切る前にリリィに釘を刺されてしまった。


 まあ、緊急時に対応出来るようにしておくのは大事だ。

 ここは大人しくしておこう。

 遊んでるわけじゃないしな。


 狩りは、とても順調に進んだ。

 ある程度連携にも慣れたところで、ボスにも挑んでみた。

 さっくり撃破出来た。


 やったぜ。

 皆が装備を新しくしてたり、新しいスキルを覚えていたお蔭だろう。

 皆、リベンジに燃えていたんだな。


 俺もボスが召喚した雑魚を隔離したり、≪チャーミングショット≫で体勢を崩して隙を作ったりと、大活躍だった。

 興奮したリリィとサンゾウを落ち着かせるのが大変だったからな。

 

「やりましたね、皆さん!」


「やったね姫ちゃん」


「お姉様の指揮のお陰です! さすがお姉様!」


「ああ、姫を守っての戦い、やはり胸が躍るでござるなぁ」


「ふっ、ボスとはいえ、姫様の力があればこんなものですか」


「うっしゃあ、姫さんのお陰で生き延びたぜ!」


 何故か皆にべた褒めされた。

 いや、自分では活躍したと思ってたけど、実際はそうでもない。

 ダメージを与えてたのはサンゾウと火力の二人だし、ターゲットは前衛二人がほぼキープしてくれた。

 回復や支援はほぼリリィ一人でやってたし、俺は箱と可愛い射撃を一回ずつ使っただけだ。


 こんなに褒められる程のことはしてない!

 人にそこまで褒められると俺の良心が疼いてしまうから、そっとしておいてくれ、皆の方が大活躍だったよ!


「皆さんのお陰ですよ」


 なんとか絞り出せた言葉と共に微笑んでみる。

 瞬間、わっと盛り上がった。

 そして口々に、互いを褒め合っている。


 そうそう、皆頑張ったよ。

 次は俺ももっと頑張るよ。


 ボスを倒した興奮が落ち着いた頃、狩りを再開した。

 せっかくなのでもっと連携を試して、狩りが終わってから第二層へ行こうという話になったからだ。


 二層は逃げないし、焦って行かなくてもいいだろう。

 今はもうちょっとだけ、冷め切らないボス狩りの熱を味わっていたいんだ。

 それはきっと、皆も同じ筈だ。

 皆楽しそうな顔をしている。


 最初に狩りを開始してから、一時間後。

 ついに二層へ向かう時が来た。


 空になったボス部屋の奥には小さな扉がある。

 そこには二メートル程の光る渦が地面に設置してあった。

 これが、二層への入り口だ。


 ボス狩りを経て、俺達はより仲良くなれた気がする。

 さっき会ったばかりのレンもすっかり馴染んでしまった。

 今なんて、スキップする鬼コンビに両側から肩を組まれて、宙ぶらりんであたふたしている。


 レンは慌てていてもイケメンだ。

 何をしてても作画が崩れないとか、ゲームだからだよな?

 リアルでもああだったら、ちょっと羨ましいを通り越して別の生き物としか見れない気がする。


 ま、この世界では関係のない話だ。

 だって俺美少女だし。


 何はともあれ、一層のボスも無事に撃破した。

 当面の目標は、イベントに備えて戦力強化だ。

 後は隙さえあればこの皆と遊ぼう。


 全員が集まれるタイミングは少ないかもしれないが、現実での俺は最強のクラスである≪無職≫だ。

 どの時間帯だってログイン出来る。

 各人の都合に合わせることが可能だ。


 俺を姫と慕ってくれる皆と、もっともっとこのゲームを楽しむぞ。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 称号稼ぎが上手く行ったか(入手できたか)が書かれてないから、悶々する~! イベントまで秘密ですか? [一言] イベントの司会に、モグラさんとか出てくるー?
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