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23 やべーやつらと顔合わせ

ほぼ会話で終わりました

次話からはテンポを増していきたいと思っています


 レンとペア狩りをした後、お茶を飲みながら話をしていた。

 そこで愛すべきヤベー奴らの話になり、紹介することを約束した。

 そして丁度リリィがログインしたことで全員揃ったので、連絡をとって全員集合してもらうことに。


「お待たせしましたお姉様!」


 一番に来たのはリリィだ。

 ログインした直後だった筈だが、逆に何もしていなかった訳で、すぐさまここに来られたんだろう。

 いつものちょっとエロいシスター服から見える太ももが、大変良い。


「へぁ!? お、おお、お姉様、そ、そのドレスは!?」


「新しい装備を手に入れたんですよ。どうですか?」


「あぁ、お姉様の姫度(プリンセスゲージ)が天の彼方へ伸びてるわ……! 素敵です、とても素敵ですお姉様!」


「あ、ありがとうございます」


 気付いて褒めてくれるのは嬉しいが、テンションが高すぎて怖い。

 控えめに言って超ビビる。

 更に言えば、女子と接近する機会なんてなかったので迫られるとドキドキしてしまう。


 ここは席を詰める振りでちょっと逃げる。


「どうぞ、座ってください。こちらは私のお友達のレンさんです。魔法使いさんですよ」


 リリィを隣に促して、正面に座るレンを紹介する。

 レンは軽く頭を下げた後、笑顔を浮かべた。


「はじめまして。僕はレン。姫ちゃんが紹介してくれた通り魔法使いだよ。火力特化でかなり不器用だけど、よろしくね」


「ふぅん? 私はリリィよ。私よりも先にお姉様と知り合ったからと言って、調子に乗らないように。お姉様の可愛さは、順番に縛られるほどちっぽけなものじゃないんだから」


「うん、そうだね」


「あら、素直ね。でも確かに、お姉様と巡り合えた運命という意味では、私達は同じ星の元にあるのかもしれないわ。よろしく」


「はは、ありがとう」


 すごい、流石はレンだ。

 リリィの謎テンションをサラッと受け止めた。

 そのせいかは分からないがリリィが謎の意気投合を見せた。

 何がどうなってるのかさっぱりだ。


 まずは一人目との顔合わせが終わった。

 一番灰汁の強いリリィと何も問題が起きなかったんだし、もう大丈夫だろう。

 ホッと一安心だ。


「お待たせでござる! ちょっとソロで狩りに行っていたもので、戻るのに時間がかかったでござる!」


 それからすぐにやってきたのは、サンゾウだ。

 レンの隣が空いているが、隣に座るなら先に紹介した方が気まずくないだろう。


「お疲れ様です。こちら、私の友達のレンさんです。魔法使いさんですよ」


 俺の言葉にレンは軽く頭を下げて、先程と同じように自己紹介を行う。

 やはり爽やかな笑顔を浮かべていて、王子様感がやばい。

 ワガママ王子じゃなくて、性格が滅茶苦茶良いという意味も含む王子様だ。

 同じ男として嫉妬してしまう。

 今の俺は姫だけど。


「これはこれは、ご丁寧にどうもでござる。拙者、姫に仕えるサンゾウと申す者にござる。以後お見知りおきを、でござる」


 サンゾウが更ににこやかに返してレンの隣へ。

 相変わらず口元だけを布で隠したギャングスタイルだが、彼は忍者だ。

 ござるって言ってるし間違いない。


「ところで姫、装備が変わったでござるな。美しくも可憐なドレスでござる」


美可憐(うつかれん)ね」


「しかり。美可憐でござるな」


「ありがとうございます……?」


 サンゾウがドレスを褒めてくれた。

 が、リリィが挟まったお陰で若干変になった。

 特に誰も突っ込まないけど、うつかれんって何だろう。


 それから更に五分程後、最後に現れたのは鬼コンビ。

 青い方がダイナで、赤い方がダリラガン。

 二人とも身長が高くムッキムキだ。


「こんばんは。お待たせしてすみません、姫様」


「おっす。すまん姫さん、狩りに行ってたからちぃっと遅くなっちまった」

 

「こんばんは。私の方こそ、急にお呼び出ししてすみません」


「いえ、相手してもらえるのは有難いです」


「全くな。オレもこいつも喜んで飛んで来んぜ!」


「ありがとうございます。あ、こちらは私のお友達のレンさんです。魔法使いさんですよ」


 挨拶が済んだところで、レンを紹介する。

 三回目だっていうのに相変わらずの笑顔で挨拶をする辺り、レンはすごい。

 コミュニケーション能力が俺よりも遙かに高い気がする。

 可愛い女の子の皮を被ってなければ、今の状態ですら俺はきついのに。


「僕はダイナです。よろしくお願いします」


「オレぁダリラガンだ。よろしく頼むぜ!」


 互いに挨拶を終えたところで、とりあえず着席となった。

 六人掛けの席なので余裕はある。

 四人が奥にずれて、鬼コンビが片側に一人ずつ収まる形だ。


 リリィが微妙に嫌そうな顔をしてるのが面白い。

 ごめんなさい、反対側も真の姿はおじさんです。


 そんな不服そうな顔をしていたリリィが、何かに気付いたように声を挙げた。


「ちょっとあんたたち、お姉様を見て何か言うことはないの?」


「え?」


 俺?

 唐突過ぎて予想外だ。

 びっくりして間抜けな声を出しちゃったぞ。


 話題を振られた鬼コンビも困惑して見える。


「姫様を、ですか?」


「こんばんは?」


「馬鹿ですね、挨拶ならさっきしたじゃないですか」


「おお、確かに」


「正解はこうですよ。ご機嫌麗しゅう、今日もお美しいですね」


「なるほど、そっちだったかぁ!」


 二人は楽しげに笑いあう。

 しかし、リリィは全く納得していない。

 むしろ般若みたいな顔へと変化していっている。

 こわい。


「どっちも違うわよ!」


「そんな馬鹿な……!」


「んじゃあどっちだ? あっちか? そっちか?」


「何を指してるかさっぱり分からないけど断言するわね。全部違う!」


「マジかよ……!」


 リリィと鬼コンビの会話がテンションアップしていってる。

 なんだろうこれ、漫才か何かかな。


「あんた達、お姉様の服が変わってるのに気付かないわけ?」

 

「そう言われると、心なしか前よりもふわっとしているような気がしますね……?」


「ああ。確かに、ふんわり感が増してやがるぜ」


「お姉様はタオルじゃないのよ? っていうか、シルエットが全然違うじゃないの。逆によく気付かなかったわね。脳味噌まで筋肉になっちゃったんじゃないの?」


「いやぁはは、脳味噌まで筋肉になっただなんてそんな、照れてしまいます」


「そうか、はっは! オレもここまで来ちまったか!」


「え、脳味噌が筋肉なのは褒め言葉なの……? もしかして脳味噌まで筋肉にしようとしてるの?」


 リリィの顔が怒りから呆れ、そして困惑へと変わった。

 鬼コンビ強し。

 流石のリリィもたじたじだ。

 

「あはは、みんな面白い人達だね」


「そう言ってもらえると有難いです」


「しかり。姫の変化を見過ごすとは、従者として恥ずかしい姿を見せてしまったでござる」


 そういう意味じゃない。



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