12 臨時広場+俺=やべーやつホイホイ
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休憩を挟みつつ、サンゾウとの狩りを数時間楽しんだ俺は一度ログアウトした。
いくらリアルだといっても、現実はこっち側であり、しっかりご飯と睡眠を摂取しないとゲームも出来なくなってしまう。
働かなくてもいいだけでも、かなり恵まれてるんだろうけどな。
というわけで夜に備えて少し休憩。
三時間程寝て起きると、外はすっかり暗くなっていた。
飯風呂歯磨きを済ませ、ベッドに横になる。
さーて、続き続き。
俺もすっかりこのゲームにはまってしまったみたいだ。
何をしていても、次は何をしようか、どこへ行こうか、なんて考えてしまう。
新しい趣味としてこれを選んで正解だった。
有難う斉藤さん。
貴女の為に買ったこのゲームが、俺の生きる糧になってくれました。
次の貢いでくれる人を探して下さい。
俺はバーチャルに生きます。
さあ、レッツログイン!
▽
「うわぁ、すごい人だな」
俺の前に広がるいつもの街は、いつにも増して人で溢れていた。
でかいのやゴーレムみたいなの、逆に小さな妖精さんみたいなのも飛んでるしかなりカオスだ。
今は土曜の午後九時。
世間的には今が一番プレイしやすい時間帯だもんな。
≪CPO≫は何故か日本限定発売だったことが、より集中させているに違いない。
これから何をするか。
フレンド登録したレンとサンゾウは、今はインしていないようだ。
うーむ、一人で経験値目当ての狩りはスペック上無理。
効率度外視で兎を撲殺するか、街を散策するか、臨時広場へ行くか。
悩む。
今日は狩りもしたけど、休んだお陰で元気いっぱいだ。
よし、臨時広場へ行こう。
そこで適当なパーティーに混ぜてもらって、二層へ繋がるダンジョンへ行こう。
このスターレの街がある一層には、ダンジョンが二つある。
その内の片方が西の平原の奥にあって、そこが二層へと繋がっているそうだ。
ソロでもパーティーでも、とにかくボスを倒すことが出来ればいいらしい。
色んなところへ行けるようになっておくのは悪くない。
レンやサンゾウが行きたがった時に、手助けも出来るだろうし。
よし、決定。
逸る気持ちを抑えながらも、早足で臨時広場へ向かう。
地面を踏む感触が気持ちいい。それだけで気持ちが弾む。
「うわぉ……」
臨時広場へ到着した。
人、人型の何か、骨、二足歩行のトカゲ。
広場として区切られているスペースよりも大幅にはみ出している。
案の定というか、ここも大繁盛していた。
っていうか人以外の種族もいっぱいいるな。
そういうゲームだったな、そういえば。
俺も≪妖狐≫だけど、違いといえば頭に生えるケモノミミと、スカートの下から生えるフサフサの尻尾くらいだし、自分じゃほとんど見えないから忘れてた。
何はともあれ、乱立している会話ルームを眺める。
良さそうな人がいたり、条件の合う募集があれば、入って直接話しかけることが出来る。
会話ルームに入った状態の会話は、外部に漏れることはない。
ルーム名の吹き出しは自由に文字入力が出来る為、募集内容なんかを書いて使ってるわけだな。
鍵をつけたり、色々便利な機能もあるらしい。
うーん、ざっと見た感じ、これというのがない。
募集の方は大抵クラスで指定されているから、≪プリンセス≫はお呼びじゃない。
それに、≪回復役≫、という募集なんて無かった。
≪支援≫募集と書かれているのは結構あったから、回復しか出来ない俺は求められていない気がする。
落ちているプレイヤーもまた難しい。
交渉中であったり、俺が拾ったところでどうしていいのか分からないんだ。
【レベル8 剣士 何かに】 【レベル6 シーフ 敏捷先行】 【体力型力士 4 肉壁にでも】
こんな感じ。
他にもいっぱいいるが、どれも似たようなものだ。
どうも近接型が多い気がする。
俺の型といえば、なんだろう。
回復が出来る、箱を出せる、≪魅力≫極振り。
うーん、自信がない。
受け身なのはあれだが、俺も落ちて誰か拾ってくれるのを待つか。
必要としてくれる人がいれば拾ってくれるだろう。
なんか型を書くのが一般的っぽいし、俺もそうするか。
確かに、何が得意かというのが一目で分かって便利な気がする。
≪レベル21 魅力極振りプリンセス 回復出来ます≫、っと。
前回は会話ルームを作った直後にサンゾウが入って来たが、今回はとくにそういうこともなかった。
地べたに座って待つか。
見た目は女の子だし、胡坐はまずいよな。
正座は辛いから俗に言う女の子座り。
五分経過。
十分経過
二十分経過。
誰も来ない。
なんでだろう。
看板に≪魅力≫極振りと書いたのがまずかったんだろうか。
サンゾウも、極振りは人気が無いみたいなこと言ってたしなぁ。
……もう少し待ってみても誰も来なければ、街でも散策するか。
まだ見てないお店もいっぱいあるし。
ポーン!
来た!
誰か来た!
誰が来た!?
思わず、キョロキョロと辺りを見回してしまう。
そんな俺に向かって近づいてくる人物が一人。
深いスリットのある、修道服のようなものに身を包んでいる。
ニーソックスとガーターベルトのお陰で、チラチラ見える太ももの破壊力が倍増だ。
ダークブルーの長い髪を右肩の辺りで一つに束ねていて、少しキリッとした目が気の強さをうかがわせる。
清楚なシスターっぽいこの子が、会話ルームに来てくれたのかな?
俺の目の前で止まった彼女は、大きく息を吸い込んだ。
「お姉様と呼ばせてください!」
前言撤回。
またやべー奴が来たようだ。




