不気味な地下研究所
新たな朝の光が大学のキャンパスを包み込む。新たな学生たち、そして新任の教員たちが、色鮮やかなガウンをまとい、大学の門をくぐっていく。
リュウ、アヤカ、ダイスケ。彼らはこのハーモニア大学に無事に入学することができた。
14歳という若さで特待生として入学した彼らの存在は、周囲を驚きと興奮でざわつかせた。微かに緊張した様子のアヤカの手を取り、リュウとダイスケは入学式の会場へと足を運んだ。
学長の挨拶が始まると、彼は大学の使命と新たな学生たちへの期待を熱く語った。その言葉には学びへの情熱と挑戦への熱意が込められていた。学生たちはその言葉を胸に刻み、新たな学問の旅へと踏み出した。
-とある日の、夜
「さあ、仕事を始めようか」
リュウは手袋をはめ、後ろのダイスケとアヤカに向かって言った。
「任せとけって。アヤカ、俺たちのそばを離れるなよ」
アヤカが小さく頷いたのを合図に、3人は走り出す。
リュウが解読したフィボナッチ数列に基づいたレーザーセンサーの暗号に合わせ、手を合わせると図書館の壁はみるみるうちに形を変え、入り口が姿を現した。
リュウが隊列の先頭に立ち、ダイスケが狙撃銃を持ち後衛につく。アヤカはいつでも「盾」を展開できるように、全神経を集中させていた。
地下は広大な研究室と化しており、場を覆う不穏な空気が鈍く重たく響く。アヤカは息を呑み、視線を周囲に巡らせると、研究室の影から微かな揺らぎを感じ取った。
「リュウ、ダイスケ、あそこ!」
反応が早いダイスケはすぐさま狙撃銃を構えた。静寂に包まれた空間、一瞬だけ振動した照準がターゲットに定まったと同時、彼は引き金を引いた。
指が触れるトリガー、その瞬間、切り裂くような音が宙を震わせる。暗闇から、何かが生気を失うような乾いた声を挙げた。
すかさずリュウが接近戦に移る。よろめいた相手の間合いに滑り込み、肘打ちを入れ、反対の手でフックを連打した。
口を大きく開けた「対象」が、大きなエネルギーを放った。その奇妙な光が煌めく。リュウは追撃としてアッパーカットを繰り出すも、そのタイミングでエネルギーが爆発。それは砲撃ともいえる音を立て、ダイスケとアヤカの方向へ向かった。
「頼むぞ、アヤカ!」
ダイスケは次の狙撃を準備し、アヤカは前に立つ。彼女が両手を前に伸ばすと、巨大な光の花が現れ、エネルギーを消し去った。
砲撃の光が消え去った瞬間、ダイスケは再び引き金を引いた。鋭利な音が広がり、弾丸が「対象」に向かった。それは対峙するリュウの腕の5センチ右を逸れ、「弱点」に見事命中した。
対象は大きな音を立てて、床に崩れ落ちた。
「まずは一体目だ。」
三人で倒れた対象を確認した。それは人間の形に近いが、鋭い眼光を持つもの。大きな目と1.5倍はあろうかという肉体。肌はただれて灰色に変色し、至る所で骨が露出している。
「相変わらずいい腕だね。石に命中してるよ」
傷の中に黒い石を見つけ、それが壊れている事を確認するとリュウは研究室の中央に目をやった。
”影”が蠢くのを感じる。
それは何かを守るように、ある場所を囲んでいた。
「また、増えてるな」
ダイスケが冷汗をかいた。
「うん…少し数が多い。一度撤退しよう」
リュウの合図で、三人は一斉に階段を駆け上がった。
-奴らは鈍い。
3人は元来た図書館へ戻ると、暗号を入力し、扉を閉めた。
「まったく、なんなんだよ…この大学は」
息を切らしながら、3人は互いの安全を確認する。
「そうだね…アヤカ、けがはないか?」
リュウは座り込んだアヤカに手を差し伸べる。
「うん、ありがとう…」
彼女の笑顔に安堵の笑みを浮かべると、リュウは通信機のボタンを入れる。
「ナオキ、今日は一体で打ち止めだね。でも、収穫はあったよ」
「お疲れ様でした。一度集合しましょう」
通信機のボタンを切ると、3人はナオキの待つ部屋へ向かった。
小学生編から3年後。
リュウ、アヤカ、ダイスケは14歳になりました。
今回から夜更新に切り替えます。
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