幼馴染は海も祭りも行きたい
ひかりとのデートから1週間。
俺たちはテスト期間へと入り、今日、ようやく全ての日程が終了した。
あれからも日向に教えてもらいながら自分でも勉強を進めていたおかげで、
これまでにないテストの手ごたえを感じる。
もしかして俺は天才なのかもしれない……!
そんな開放感に浸っている中、いつものように日向が声をかけてきた。
「ヨウくん、今日これから暇?」
と。
テストということもあり、今日はたったの2時間で終わっている。
ようやくテストが終わったという開放感もあり、快諾したところ……。
――なぜか、俺たちは海へと来ていた。
片道約1時間半である。
暇だからちょっと行こっか? って距離ではないと思いますが、どうですか日向さん?
「海なんてめちゃくちゃ久しぶりだねーヨウくん!!」
海に足をつけ、きゃっきゃとはしゃぐ日向さん。
はい、楽しそうで何よりです……。
「ほんと、海なんて久しぶり……昔はよく、うちとヨウくんとことみんなで泳ぎに行ったよね」
「懐かしいな、って言ってもそれ、小学生のうちだけだろ?」
「中学入ったら、ヨウくんが陸上始めて行かなくなったからじゃん!」
ぷーっと、いつものむくれ顔をする日向を見ていると、笑えて来る。
「しかもあの時行ってたの、海じゃなくて琵琶湖だしな」
「琵琶湖も海も、泳げたら似たようなものだよ……波あるし」
「さすがに琵琶湖と海は全然違うと思うよ!?」
ブラックバスとかいるし。
さらに言うと、飲み水だしな……!
「花火大会とかも行ったよね……懐かしいなぁ」
「ほんと、昔はあちこち連れまわされたよな」
「ふふふ、私とヨウくんで二人で迷子になって、途方にくれたりね?」
「迷子になったの日向だけだろ? しかもビビって泣いてたし」
「な、泣いてないし! 泣いてないもん!!」
人ごみに飲まれて親とはぐれて、端っこのほうで泣いてた日向を俺が見つけたんだよな。
全然泣き止んでくれなくて、どうすればいいのかと物凄く悩んだものだ。
「今思うと、もう絶対祭りとか行きたくないよな……人多いし」
「もう、最近のヨウくん、ちょっとお年寄りくさいよ?」
「俺もいい年だからな……」
「えっと、私と同い年だよね……?」
高校生といえば花火も祭りもみんなで楽しく行くのかもしれないが、
俺にもうそんな一般高校生ほどのエネルギーはない。
なにより、テストで疲れ果てたしな!
「花火大会といえば……そうそう、今年ももう、お祭りの季節だねぇ」
「ああ……あのものすげー人の来るあの祭りな……」
そう、7月と言えば、祭りの季節である。
俺たちの住んでいる県には、7月の頭から終わりまで、一月かけて行われる、割と有名な祭りがあるのだ。
とはいえ、その中でも特に盛り上がるのは、道路を歩行者天国にしている
月の中盤あたりになるのでずっとお祭り! という雰囲気ではないのだが。
「ヨウくんは、今年は宵山に行くの? ほら……土矢さん、とかと……」
「今のところ、ひかりとも特に約束はしてないから……まぁ、行かないんじゃない?」
人多いし、暑いし。
あんなに人でごった返すところに行きたいって、あんまり思わないんだよなぁ。
彼女のいる奴らはみんな喜んでいくみたいだけど。
くそっ、リア充は死に絶えればいいのに!!
「何時の間にか名前呼びになってるし……!」
「ま、色々あってな。……日向は行かないのか? その、彼氏、とかと……」
「前々から言おうと思ってたんだけど……!」
「なんだ、改まって」
日向が両手を握り締め、真剣な瞳で俺を見てくる。
「私、彼氏とか、そういうの、いたことないから……!」
「そ、そうなのか? なんか年上のイケメン彼氏がいるって……」
「そんな人、いたことないんだけど……誰から聞いたのそんなの」
誰から?
誰からと言われても困るな……そういう噂、としか言いようがない。
強いて言うなら、情報源は火口である。
あれ? もしかしてあいつの情報、信頼性0だったか!?
「だいたい、そんな人がいるなら、ヨウくんとこんなところまで来ないよ」
「うん、だからいっつも不思議だったんだよなぁ、彼氏ほっといていいのかって」
「そんな人はいないから、これからも気にしなくていいよ」
「じゃあ好きな人がいる、っていうのは本当なのか?」
そう、伊月 日向と言えば『好きな人がいる』。
これは噂などではなく、誰しもがよく知っていることだ。
何せ、本人が告白されるたびに、こう言って次々と相手をフリ続けているのだから。
「うん、それは本当。……好きな人、いるよ。ずっと好きな人」
「へぇ……ちなみに、誰かっていうのは聞いたら教えてもらえたりするのか?」
そう聞いてみると、日向がこちらをじーっと凝視してきて……。
「はぁー……」
露骨にため息をついてきた。
なんだよ、そのため息は……!
「ほんとヨウくん、全然! ちっとも! わかってない!!」
「えぇー……」
何で怒られてるの俺!?
「よーくわかりました、今のままじゃやっぱりダメだってこと!」
「そうか……よくわからんけど、ダメなのか」
そりゃ大変だ。
「だからヨウくん! 今月の15日の夜はお祭り行こうね!」
「ナンデ!?」
「はーい、これはもう決定事項です」
「あの、俺に拒否権とかそういうのは……」
「えへへ、ヨウくんと久しぶりにお祭りだー! 楽しみにしてるね!」
「ハイ、ワカリマシタ……」
ほんと俺、立場弱い……!
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補足。
7月のお祭りといえば祇園祭ですよね。
山鉾巡礼の前3日の14日から16日を宵山といい、
うち2日は四条河原町周辺が通行止め・歩行者天国として通りに露天が並び、
それはもうお祭り!という雰囲気になるのです。
もう数年行ってないけど。
人もたくさんきており、あちこちに浴衣の女の子がたくさんいる、夢のような環境なのです。
人多過ぎてゆっくり見てられないけど。
京都に来られた際には、是非ご参加を!
人多くて自分は行きたくないですけど。
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今後とも可愛い幼馴染を書けるように頑張りますので、よろしくお願いいたします!




