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月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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82 文化交流会2日目~胸騒ぎの理由(わけ)~

お読みいただきありがとうございます(*uωu*)

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2250)


 次第に強くなっていく、不安と胸騒ぎ。


(星様はご無事だったのに、会えたのに……)。

――どうしてこんなに、怖いのだろう?


 そんな月の心配そうな顔を見た星は、ふと、周りを見渡した。それからすぐに、今此処で一体何が起こっているのか? を、感じ取った。


「三日月……」

 小さな声で、こそっと話しかける。


「え? あ、はい」


 心ここにあらず状態で、ぼーっとしていた月は、ハッと目が覚めたように返事をした。そして、星が続けて話した言葉で、ますます理解が追い付かなくなり、考えが混乱した。


「君は今、此処にいない方がいいようだ」


「エッ? どういう……」


「月が今感じている、悪い予感と胸騒ぎを」


“自分の感覚”を信じた方がいい――。


「星……さ、ま?」


 月は、驚きで星の顔を凝視した。

(この胸騒ぎが、どうして伝わったの?)


 そんな会話を、聞こえないような小さな声でこそこそと話していると、ラウルド理事長が突然、声を荒げ始めた。


「はぁ~、本当に次から次へと……」

 私の邪魔をするな、と言いながら溜息をついている。


 しかし、理事長はその後すぐ何かに気付き、口元を緩めた。

 その表情は先程と同じ。三日月に興味を持った時に見せた、あの不気味な笑み。タイトは、その理事長の奇妙な姿から視線を外さぬようにしながら、星と月、二人に話しかけた。


「黒髪の青年。三日月様を連れて、早くお行きなさい」


「はい、感謝します」


 タイトと星は、もちろんこの瞬間が初対面。しかしどこか似た所があるのか? 初めて会ったにも関わらず、言葉少なに通じ合っていた。


(えっ、お二人とも……どうして?!)


「ちょ、ちょっと、まだ待って下さい!!」


 月は、正直焦った。状況の把握も出来ずに、まだ色んな事が気になったままで。何も解決していない。そんな中、この場を去るという選択は、彼女にはなかった。


「アイスク……」(アイスクリーム屋さん)

 しかし、話をしようとした月の声は、タイトにより途中で遮られる。


「三日月様。あの者が悪などの(たぐい)ではないのは、気配で確認した。しかしながら、あの異様なまでの()()。理事長殿の持つ力は得体が知れず、私としては危険と判断する。どうか、此処を『離れるよう』命じた真意を、ご理解頂きたい」


 そして、タイトは「気になる点もいくつかある」と、最後に言葉を付け加えた。


 その言葉で私は、ハッ! と気付く。

(あの時のカイリ様も、そうだった)。


 私の髪色へ異常なまでの()()。ラウルド理事長様とカイリ様はやはり“親子”なのだろうと、確信した。


「解りました。……星様、あの」

「あぁ、大丈夫だよ。行こうか」


 二人は、タイトの計らいでこの場を去ろうとしていた。が、後ろから恐れる程の大きな声が聞こえてくる。そう、理事長が呼び止めてきたのだ。


「そうそう、ンッフフ。君のその顔、深く蒼い瞳。私は覚えている……()()()()()であろう? なんと懐かしい事か」


――――“ルナ”って?


 星は、その言葉に足を止めてしまった。


 理事長はとても普通ではない、わざとらしい声と気疎(けうと)く相手に不快感を持たせるような言い方で、星へと話しかけてきたのだ。


「えぇ、ご無沙汰しております。ラウルド理事長様」


 理事長の言葉に、一瞬だけ眉を(ひそ)めた星だったが、すぐに表情を戻し、サラッと返事をした。


「ほぉ~、これはこれは。挨拶が出来るようになったとは驚きだよ! 一応は、(しつけ)られたようだ。だが……なぜだ? 私には、君がどうして此処にいるのかが、理解不能でね。教えてくれるかい? アスカリエス=セ・ル・クくん?」


 理事長の質問に、顔色一つ変えずに星は答えた。


「名を覚えていて下さり、光栄に存じます。お答え致しましょう、簡単な事です。私が、この学園に通う生徒だからですよ」


 その星の言葉には、いつもの優しさなど欠片もない。冷たく、感情など失くしてしまったかのような心のない声で、理事長に返事をしていた。


「なんと! 生徒だったとは。こんなにアンテナを張り巡らせているというのに、分からないものだな。君がこの学園へ入ると知っていたのなら、私は間違いなく、許したりはしなかったであろうな」


 ラウルド理事長の話を聞いていた月。恐怖は増し、だんだんと強くなっていく。この時、彼女はラフィールの言った【警告】を思い出していた。


――出来れば【ラウルド家】とは、関わらない方がよろしいかと。


(ラフィール先生。私、今ならあの言葉の意味を、理解できる気がします)


「しかし……なるほど。この学園で、三日月さんの()()をしているのは、君の()、という事かね?」


 顎に手を当てながら、そう話すと理事長はニヤリと笑った。その挑発するような相手の態度には、一切応じる事はなく、星は冷静に答えた。


「お答えしかねます」


「はーはっは、いやぁ~セルクさすがだ! お前は変わらないようだ」


 星の事を“セルク”と呼び、理事長は手を叩きながら、また高笑いをした。


 ここまで、黙って聞いていたタイトだったが、無駄な時間を嫌う彼は、しびれを切らし、ついに口を挟んだ。


「理事長殿は、事を談ずるのがお好きらしいが。しかしながら私は無意義な時間と考えます。よって、そろそろ……」


 抑揚なく感情のない感じで話すタイトの声。


 その言葉を遮る様に、軽い声が飛んできた。


「あ~大丈夫、大丈夫! 私もそろそろ戻りますよ。まぁ、三日月さんとのお茶会が頓挫(とんざ)してしまったのは残念でしたが。これが誰の目論見(もくろみ)か――見当がついただけでも収穫です。んっフフフ……」


 終始、不気味な笑みを浮かべていたラウルド理事長は、最後は皆を嘲笑うかのように口角を上げて笑い、その場を後にした。


いつもお読みいただきありがとうございます♪


次話で(やっと)(•ө•)

第2章、文化交流会終わりです(/ω\)

……長すぎてすみません(笑)

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