82 文化交流会2日目~胸騒ぎの理由(わけ)~
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次第に強くなっていく、不安と胸騒ぎ。
(星様はご無事だったのに、会えたのに……)。
――どうしてこんなに、怖いのだろう?
そんな月の心配そうな顔を見た星は、ふと、周りを見渡した。それからすぐに、今此処で一体何が起こっているのか? を、感じ取った。
「三日月……」
小さな声で、こそっと話しかける。
「え? あ、はい」
心ここにあらず状態で、ぼーっとしていた月は、ハッと目が覚めたように返事をした。そして、星が続けて話した言葉で、ますます理解が追い付かなくなり、考えが混乱した。
「君は今、此処にいない方がいいようだ」
「エッ? どういう……」
「月が今感じている、悪い予感と胸騒ぎを」
“自分の感覚”を信じた方がいい――。
「星……さ、ま?」
月は、驚きで星の顔を凝視した。
(この胸騒ぎが、どうして伝わったの?)
そんな会話を、聞こえないような小さな声でこそこそと話していると、ラウルド理事長が突然、声を荒げ始めた。
「はぁ~、本当に次から次へと……」
私の邪魔をするな、と言いながら溜息をついている。
しかし、理事長はその後すぐ何かに気付き、口元を緩めた。
その表情は先程と同じ。三日月に興味を持った時に見せた、あの不気味な笑み。タイトは、その理事長の奇妙な姿から視線を外さぬようにしながら、星と月、二人に話しかけた。
「黒髪の青年。三日月様を連れて、早くお行きなさい」
「はい、感謝します」
タイトと星は、もちろんこの瞬間が初対面。しかしどこか似た所があるのか? 初めて会ったにも関わらず、言葉少なに通じ合っていた。
(えっ、お二人とも……どうして?!)
「ちょ、ちょっと、まだ待って下さい!!」
月は、正直焦った。状況の把握も出来ずに、まだ色んな事が気になったままで。何も解決していない。そんな中、この場を去るという選択は、彼女にはなかった。
「アイスク……」(アイスクリーム屋さん)
しかし、話をしようとした月の声は、タイトにより途中で遮られる。
「三日月様。あの者が悪などの類ではないのは、気配で確認した。しかしながら、あの異様なまでの執着。理事長殿の持つ力は得体が知れず、私としては危険と判断する。どうか、此処を『離れるよう』命じた真意を、ご理解頂きたい」
そして、タイトは「気になる点もいくつかある」と、最後に言葉を付け加えた。
その言葉で私は、ハッ! と気付く。
(あの時のカイリ様も、そうだった)。
私の髪色へ異常なまでの執着。ラウルド理事長様とカイリ様はやはり“親子”なのだろうと、確信した。
「解りました。……星様、あの」
「あぁ、大丈夫だよ。行こうか」
二人は、タイトの計らいでこの場を去ろうとしていた。が、後ろから恐れる程の大きな声が聞こえてくる。そう、理事長が呼び止めてきたのだ。
「そうそう、ンッフフ。君のその顔、深く蒼い瞳。私は覚えている……ルナの子供であろう? なんと懐かしい事か」
――――“ルナ”って?
星は、その言葉に足を止めてしまった。
理事長はとても普通ではない、わざとらしい声と気疎く相手に不快感を持たせるような言い方で、星へと話しかけてきたのだ。
「えぇ、ご無沙汰しております。ラウルド理事長様」
理事長の言葉に、一瞬だけ眉を顰めた星だったが、すぐに表情を戻し、サラッと返事をした。
「ほぉ~、これはこれは。挨拶が出来るようになったとは驚きだよ! 一応は、躾られたようだ。だが……なぜだ? 私には、君がどうして此処にいるのかが、理解不能でね。教えてくれるかい? アスカリエス=セ・ル・クくん?」
理事長の質問に、顔色一つ変えずに星は答えた。
「名を覚えていて下さり、光栄に存じます。お答え致しましょう、簡単な事です。私が、この学園に通う生徒だからですよ」
その星の言葉には、いつもの優しさなど欠片もない。冷たく、感情など失くしてしまったかのような心のない声で、理事長に返事をしていた。
「なんと! 生徒だったとは。こんなにアンテナを張り巡らせているというのに、分からないものだな。君がこの学園へ入ると知っていたのなら、私は間違いなく、許したりはしなかったであろうな」
ラウルド理事長の話を聞いていた月。恐怖は増し、だんだんと強くなっていく。この時、彼女はラフィールの言った【警告】を思い出していた。
――出来れば【ラウルド家】とは、関わらない方がよろしいかと。
(ラフィール先生。私、今ならあの言葉の意味を、理解できる気がします)
「しかし……なるほど。この学園で、三日月さんの保護をしているのは、君の父、という事かね?」
顎に手を当てながら、そう話すと理事長はニヤリと笑った。その挑発するような相手の態度には、一切応じる事はなく、星は冷静に答えた。
「お答えしかねます」
「はーはっは、いやぁ~セルクさすがだ! お前は変わらないようだ」
星の事を“セルク”と呼び、理事長は手を叩きながら、また高笑いをした。
ここまで、黙って聞いていたタイトだったが、無駄な時間を嫌う彼は、しびれを切らし、ついに口を挟んだ。
「理事長殿は、事を談ずるのがお好きらしいが。しかしながら私は無意義な時間と考えます。よって、そろそろ……」
抑揚なく感情のない感じで話すタイトの声。
その言葉を遮る様に、軽い声が飛んできた。
「あ~大丈夫、大丈夫! 私もそろそろ戻りますよ。まぁ、三日月さんとのお茶会が頓挫してしまったのは残念でしたが。これが誰の目論見か――見当がついただけでも収穫です。んっフフフ……」
終始、不気味な笑みを浮かべていたラウルド理事長は、最後は皆を嘲笑うかのように口角を上げて笑い、その場を後にした。
いつもお読みいただきありがとうございます♪
次話で(やっと)(•ө•)
第2章、文化交流会終わりです(/ω\)
……長すぎてすみません(笑)




