79 文化交流会2日目~入り口~
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※2022/1/26 確認完了(Wordcount1900)
「「ついたにゃーん!!」」
わいわい、きゃっきゃ! と、四人で話しながら歩いていると、あっという間に噴水広場に着いた。しかしなぜ? この場所を提案したのか? と言うと……。
「夜限定の、素敵な催しがあるからです!」
月はウキウキしながら、噴水広場を選んだ理由を、星に伝えた。
「うん、ありがとう。楽しみだね」
その嬉しそうな月の姿を見た星もまた、胸を弾ませていた。
毎年続けられている、評判のイベントなだけあって、噴水広場は多くの人で溢れ返っていた。ドーム型テントの周りに咲く美しい花々を見ながら、賑わっている。
「こおりッ♪」「アイス♪」
「「ジュ―――ス!!!」」
歌の作曲が得意? な、メル・ティルの二人。好きな言葉やお気に入りのものを見つけては、音とリズムを付け、いつも楽しそうに歌って踊ってはしゃいでいる。
「二人ともさっきから……それしか言ってないね」と、言いながらも。それを見て星は、上手上手! と手を叩き、甘々な表情で笑っていた。
すると二人は、褒められて嬉しかったようで。少し照れ照れしながら星の手を、右手はメルル、左手はティル、と両側から握った。
「「ギュウ~♡」」
「は~い、ありがとう。お二人ともお利口ですね」
彼は優しく、メルルとティルを改めて褒めると、天然パーマくるくる~! 綺麗なターコイズブルー色の髪の毛を、ヨシヨシと撫でた。
喜ぶメル・ティルの様子に微笑んだ後、星はある事に気付く。
「あれ? 夕方にも此処へ来たって……?」
月は、三人の平和なやり取りに、ほわぁっと見惚れてしまっていた。
しかし、星の声でハッ! と、我に返る。そして、彼の問いかけに慌てて頷き、ニコニコ答え始めた。
「えーと、夕方にも来ました。スイーツやアイスクリームをいっぱい食べて……。あぁ~! でもですね。もしかしたら~メル・ティルは、まだまだ食べようとしているのかも? ですネ」
それを聞いた星は、視線を二人に向けた。明るく澄んだ、み空色のキラッキラな瞳と目が合い、一言。
「なるほど。さすが……メルティだ」
と、真面目な顔で納得していた。
メル・ティルがお世話になっているアスカリエス家。そこでも二人は甘いモノに目がない。いつも朝食が終わったすぐ後から、キャッキャとお菓子を食べている姿を、星は思い出していたのだった。
夕方とは打って変わって、観客が多くなった噴水広場。そのために、入り口での入場制限がかかっていた。順番を待っている月たちは、三十分は待っていただろうか。しかし、メルルとティルの歌で時間を忘れ、楽しく待ち時間を過ごせていた。
「お次、セレネフォス様。どうぞ~受付致します」
そうこうしているうちに、月たちの元へ入場受付の知らせが来た。
「呼ばれたったぁ~ん!」
「セリィ~行くじょお!」
「あぁ、行こうか」
「はい! ではでは、皆さん参りましょお♪」
月は、ルンルン♪ と、スキップ交じりに、ひまわりが飾られたガーデンアーチの入り口へ向かう。
「あっ……」
月は、入り口に着くと、見覚えのある方に気が付いた。
その方というのは、夕方に広場を出る際、噴水周りのライトアップが、夜十一時まで見れると教えてくれた、受付の方だった。そして、月と目が合うと、その時と同じように、にっこりと笑顔で話しかけて来てくれた。
「あぁ、セレネフォス様!! ようこそ! 来て頂けて大変嬉しく存じます」
「は、はい……こんばんは。噴水広場のライトアップは年に一度。とても有名で、ぜひ拝見したかったので。お時間ご案内下さって、助かりました!」
そう、言い終わると「ふぅ~」と、小さく息を吐いた。
なぜなら月は、受付の方の変わらぬ笑顔に、胸騒ぎにも似た緊張を感じていた。
「それは良かったです。さぁ! どうぞ、楽しんで」
(あれ? そういえば、私の名前を憶えて下さっている?)
少しだけ……妙な気分を抱えながらも、ひまわりガーデンアーチの“チェック”をくぐり抜けた。
「では、ありがとうございました」
「「行ってくるじょー!!」」
月に続いて、メルルとティルが中へ入って行った。
そして星が入場する。
(( コツ、コツ、コツ…… ))
すると彼が、チェックを通り抜ける瞬間に、その方から声を掛けられた。
「ふふーん。素敵な靴の音ですねぇ……ふっふふ」
何だろう? この人から変わった気を感じる――
星は、その心を感じ取られないように【防衛】しながら答えた。
「お褒め頂き、恐れ入ります」
「いえいえ! 滅相もございません。さぁさぁどうぞ」
受付の方は、含み笑いを浮かべていた。
星は、中へと進みながら、その人の“微笑”に、何か胸のざわつきを感じた。気になりつつも、月たちの待つ、噴水広場へと向かったのだった。
――ふっふふ、どうぞ。ごゆっくりと……。
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