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月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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59 文化交流会2日目~秘密~

お読みいただきありがとうございます(◍•ᴗ•◍)

♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪


(Wordcount2900)


「では、改めて」


 優しくて、温かい声。

 白くて綺麗な肌に、少し長くなった黒髪。

 海のように深い【蒼色】の瞳。


 そんな中で見え隠れする“悲哀”の表情。


 不思議な事は、まだあって。

≪ やっぱり感じない ≫


 彼からは【力】(能力・魔力)をほぼ感じない。

 でも“何も”感じない、という訳ではない。


 あの日、一瞬感じた“モノクロ”の景色。


――「時が来たら話す」

 そう、言ってくれた星様。

 その彼が持つ、存在感。そして『時空(トキ)の波音』が聴こえてきそうな、雰囲気。


(( でも、感じない【力】 ))


 まるで……

“未知の世界”と言われる【深海】のよう。


 海の深い場所にも届く、青い色の光。

 でもいつか、その青い光も届かなくなってしまう。赤色も、青色も、同じように暗く、【深海】では、黒く見えなくなって……。深い、深い、“海の底”。


 その“ウルっ”とした【蒼色の瞳】を、ぼーっと見つめながら考えていると、星様はニコッとして、お話を始めた。


「『織姫様』……こちら、ご一緒しても?」


「んきゃ?!」


 驚いてしまって、変なお返事になっちゃいました。


 今日は『7月7日七夕』……私のお誕生日です。

 とはいえ!!

 そんな風に呼んで頂いた事は、生まれてこの方、一度もございません!


 自分の顔が火照っていくのを感じながら、彼と目を合わせられずにいた。でも! 頑張って言葉を絞り出したの……です、が。


「お、織姫さまぁだなんて……」

 恥ずかしすぎます!!


「ふふっ。では……いかがいたしますか?」


 少し笑いながら、彼は私に、どう呼んでほしいかを、問うのだけれど。もちろん私は、黙って赤くなった頬を両手で隠し、答えられずにいた。


 すると、続けて星様が言う。

「シンプルに『お姫様』では、どうでしょう?」


 彼の丁寧口調は、妙に私を緊張させる。


「あ、えっと。い……いつもと一緒で!」

 やっと、言えたぁ。


「そう? それは残念だなぁ」

 少し寂しそうにする。


「えっ?」

 どうして、そんな……残念?


 そんな心配をしたのも束の間、彼はこちらを向き、にっこりと満面の笑みを浮かべながら、私を“ドキッ”とさせる台詞を言う。


「僕にとって、今日の主役は【三日月(キミ)】だからね♪」


≪ はにゃああ……! ≫


 また、言われ慣れない言葉を“サラッ”とぉ!!


 いや、もぉ……見れないです、ダメデス。

「どぞぉ~、ここお座りくださぃぃ……」


 もぉ恥ずかしすぎて。しどろもどろになって答える、私の声は、だんだん小さくなっていった。


 すると、彼は優しく微笑みながら、何故か私に合わせるように、ボリューム小さめの声で「ありがとう」と囁き、いつものように隣りに座った。


 なんでなの?

 ど、ドキドキが……止まらないよぉ!!


 静か過ぎて、私の“心臓の音”が聞こえそうで。


≪ やっぱり最近の私、おかしいです ≫



 夜の澄んだ空気。

 静けさで響く、涼しい風の音。

 時間はゆっくりと、穏やかな波のように、流れているみたい。



――彼の綺麗な横顔


≪ いつ見ても、見惚れちゃう ≫


 やっと、胸のドキドキも落ち着いてきて、普通にお話しできそうかなぁって思い始めた頃、その気持ちに気付いたかのように、星様が沈黙を破る。


「ねぇ……月」


「はい、どうしたのですか?」

 なんとなく、敬語になってしまった。


 それを聞いて、また“クスッ”笑う星様と目が合い、二人で笑い合った。そして、星様からの言葉は、


「ちょっと、外に出てみないかい?」


≪ ほや? おそと……? ≫


「え……と、はい、よ、喜んで!!」


≪ 星様からのお誘い。とても嬉しい♪ ≫

 でも、本当は。

 ゆっくりと落ち着けるこの場所で、静かな時間を過ごしたかったかも。


 お外って事は、やっぱり。星様も舞踏会に行きたくなったのかな? それとも、別にどこか行きたい場所があるのかな?

 私は、ニコッと笑顔でお返事をして、階段に敷いたシートを片付ける。そして、此処を動く準備をした。


「よしっ! お待たせしましたぁ」

 行きましょう♪ と、私は思わず、両手“ぎゅーっ”、お顔は“キャッ”で、嬉しい気持ちが前面に出てしまった。そんな私に、笑いながらお返事をしてくれる星様。


「うん、行こうか」

(( コツ、コツ、コツ…… ))


 星様の足音、静かな夜に綺麗に響く音。

 私と違う? なんだか“大人”のお靴みたい。

(って、大人のって何だろう?!)

 えへへへ。心の中でそんな事を考えて、ひとりツッコみながら、笑っていた時。ふと、『お外』? への違和感に気付いた。


≪ んっ? あれれ?? ≫


 おかしいような??


「あの、ほ、星様?!」

「えっ? どうかした?」

「いえ、その~……」


 えっと、どういう事なのでしょう? そちらは、屋上扉の方なのです。星様が、まさか? 間違えたのでしょうか??


 すると、彼は微笑みながら安心させてくれる。


「大丈夫だよ、ついておいで」


 初めて会った時から変わらない。


 優しくて平和な気分にさせてくれる声。

 話す言葉は“水”のように心に流れ込んできて。

 そして……彼から感じる不思議な“感覚”。


「あ、うん」


 私は考えている事や、心配な気持ちがすぐ顔に出ちゃう。それが星様には、全部読まれていて、バレバレのようです。あははぁ~。


 何段かな。ちょっとだけ上がってすぐに、屋上扉前の踊り場に着いた。いつも、ここまで上がってくる事はまずなかったので、踊り場が結構広い所だったのだと、初めて知った。


≪ でも、ここから? ≫


「お外……って?」

 分からないよぉ?


「月って、本当に表情豊かで“可愛いね”」


――んなっっ!!!!!

「揶揄うのはやめてくださいーうぅぅ」


「ははは。では、その謎……」


((( 解き明かそう )))


 そう言いながら、彼は“キラッ”と光る、白い肌にお似合いの銀細フレーム丸眼鏡を外し、【力】を展開し始めた。そして、屋上扉に()()()()()をかけた。


 この時、私は気付いた。普段、星様から【力】を感じなかったのは、あの眼鏡が関係あるのではないか? と。思い起こせば私を助けてくれた時も“一瞬”、眼鏡を外していた気がする。


≪ ……って、えぇぇ! ≫


 星様!! 屋上扉をどうしようと?!


「大変、だめですよぉ!!」


『 シー――――ッ。ナイショ』

 唇に人差し指を当てて“秘密”だよ、とウィンクして、彼は笑顔。


≪ ――ドキッ!! ≫

 ウィンクとか……“反則”ですよぉ。


 あぁ~何だろう。彼の、その“ドキッ”とするような事とかを、無自覚で相手にしちゃうところが、誰かに似ている気がするんだけれども。


≪ 思い出せないー!! ≫


 星様の、魔力展開が終わると、急に。

 周りの精霊さんたちも、()()()いなくなり(見えなくなり)【静寂】が訪れた。


≪ 空気が違う…… ≫


 彼は、魔法をかけた屋上扉に手をかざし、重ねて魔法をかける。


『 【 開錠(かいじょう) 】 』


 小さく、呟いた……。


「えーあーわぁぁぁ♪♪」


「あっはは。月……君は本当に」

――純真無垢だ。


「想像以上に驚いて? 喜んでくれているみたいで良かったよ」

 星様は、すごーく嬉しそうに言った。


 その笑顔に、にっこにこで答えながら、早く出たい―と思っていた私は、

『ハッ!』と、気付いた事が。


「あっ!! でも、この扉って、生徒が危なくないように、“最高上級魔法”で施錠されてるって……」


 そう、聞いてますけれど??


 これって……

≪ ダイジョウブなのぉ?! ≫


「フフッ。ほんと月って」


 それでも笑ってる星様。

 どういう事なのですかぁ?!


いつもお読みいただきありがとうございます♪

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