44 文化交流会2日目~噴水広場~
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「るーんるん、る~んるん♪」
「あっいすー、ア~イスッ♪」
結局、太陽はメルルとティルのアイスクリームへの熱意に根負けしてしまい、買ってあげることになった。
「仕方ねーなぁ」と言っている太陽のその表情は、なぜかとても嬉しそうで、メルルとティルを優しく見つめながら、ほやっ♪ と幸せそうに笑っている。
◇
カフェを出てから、五分程歩いた場所。
三日月たちは、今回の文化交流会で、氷菓店の多くが出店場所として使用している、噴水広場に来ていた。
交流会の二日目のみ、夜限定の素敵な催しが予定されている。その中の一つに、噴水の周りのライトアップがあり、飾られた様々な色の電飾が、リズムを取って、綺麗に光る。
『綺麗』の表現は、見た人それぞれで違うのだが、その“光”が噴水から流れる“水”に溶け込み、虹のように『七色の輝き』を放つと言われている。それはそれは、多くの方に人気で、毎年続けられている、評判のイベントなのだ。
そして、この噴水には神秘的な話もある。
――『清らかで美しい【聖水】が湧き出る』と。
その水の流れは、穏やかな時もあれば、激しく流れる時もある。変化を持つその水の姿は、まるで“生きる泉”とも呼ばれ、王国に残る〔重要文化歴史書物〕にも記されている。そして、その歴史書にある内容の一部には。
――『月の光が降り注ぐ、ある夜の奇跡。先の読めぬ水の流れと、その心に感じる事象の、安寧を願え。水面に浮かぶ、その月光の波紋は、いつしか未来を映し、それを叶えるであろう……』
と、ルナガディア王国に伝わる伝説の場所にもなっている。
ずっと眺めていても、噴水の水は同じ動きはしない。その不思議な様は、精霊の力が関係しているのではないか? とも言われている。
この伝説については、王国所属の研究者たちによって、長い年月をかけ調査されてはいるが、結局詳しい事は解らないまま。
未だに「ではないか?」という予測の域を抜けられず、真実の解明には至っていない。
こういったルナガディアの伝説に興味のある者は、あまりいないように思えて実際には多くいるという。
毎年開催される文化交流会は、生徒以外の方も参加できる。そこでこのチャンスを逃すまいと、王国外からも人が集まる。
今まで誰一人として会えた事のない【神秘の水精霊】様に、ぜひお目にかかりたいと奇跡を信じるメルヘンちっくな人々も、この交流会へ来場するのだ(もちろん、生徒以外といっても、事前に厳しい審査に通った許可証や、招待状を持つ者のみ)。
◇
「「ふっっわはは~ん!!」」
「すごぉい。さすがに厳重だね」
その場所は、外から中が見えないよう広場全体に複雑な魔法がかけられていた。普通に見ているだけなら、輝く綺麗なドーム型のテント。しかし、能力の高い者ならすぐに気付く。それは、
解読不能な、最高上級魔法の壁で出来ている。
文化交流会に参加している者であれば、誰でも自由に入れるとはいえ、外部の人が多く立ち入る二日間。魔法を張っている理由は恐らく、王国で重要管理されている『噴水』の警備の為だろう。
入り口には、ひまわりが主役で飾られた大きなガーデンアーチがあり、夏らしさと涼しさが演出されている。三日月たちは期待に胸を弾ませながら、ガーデンアーチによるチェックをくぐり抜けると、素敵なお店がたくさん並ぶ場所へ出た。
「わぁぁ~♪」
(まるで夢のような……)
そこには、氷菓の世界が広がっていた。
ドーム内に作られた素敵な空間。その雰囲気に、胸がときめいているのが自分でも分かった。三日月は珍しく感情を表に出して、キラッキラッ! に目を輝かせ周りを見渡していた。
「ねぇねぇ♪ かき氷とかもあるよぉ!」
思わず興奮気味にはしゃいでしまい、太陽に全身で飛びついた。しかしそれぐらいの衝撃では倒れはしない、ムキムキな腕で受け止めた優しい太陽は、いつも通りのにっこり笑顔で答えていた。
「おぉ月……あぁ。良かったなっ」
(あれ? いつもと違う、優しい雰囲気)
一瞬、ドキッとした三日月。
テント内に当たっている、光の反射のせいだろうか。
太陽の瞳の色や柔らかな表情が、いつもと違うように見えたのだ。温かい、体温を感じるような熱い視線と感覚。何か言いたげな表情にも見えた。
(なんだろう?)
初めて感じた空気に戸惑う三日月。ぼーっと考えていると、メルルとティルが「キャッキャー」と騒ぎ始める。
二人は今日一番の盛り上がり! とってもご機嫌で、お店のショーケースを眺めながら楽しそうに歌う。
「「アイスックリーム! シャーベット~♪」」
(あぁ~可愛い。ほんっと癒やしだなぁ)
メルルとティルのおかげで、戸惑っていた気持ちはどこかへ飛んでいった。
しかし、しばらくすると急に静かになる二人。
「う~ん……」「うみゅ~……」
「えっ? 二人ともどうしたの?」
あんなに歌ってはしゃいでいたのに突然、しょんぼりになった二人。
「みかじゅきーんちゃん……」
(あはっ、メルルちゃん。それ、赤ずきんちゃんみたいだから)
それにしてもシュンとしている二人。
「たいへーんなのぉ……」
(あらあら、ティルちゃんも悲しそう)
「うん、うん。どうしたのかな?」
「チョコ……ばにーらぁ」
「う……ん?」
「いちごちゃん……ちょこれ」
(うー、あーなるほどねぇ)
心配で訳を聞いた三日月は、メルルとティルらしい答えに笑いつつ、拍子抜けしてしまった。
「食べたい味が、いっぱいで、悩むってことかな?」
((うんうんうんうん!!!!))
二人は、全力で頷いている。
(あはぁ、さすがメル・ティル。幸せな悩みデスね)
「でも、全部はちょっと、ネ。本当にお腹壊すよぉ?」
「「みかじゅきぃ~どしたらいーい?」」
三日月は悩む、あぁーどうしようと。あんなに楽しそうにしていた二人の願いは叶えてあげたい……何とかしてあげたい、と。
するとそっと、三日月の肩に手を置いて笑いかけてくれる人。
――太陽君……?
うにゃ〜と、頭を抱えて悩むメルルとティル。二人に気付かれないよう「シーッ!」と内緒ポーズ。そして三日月の耳元で、甘く囁く。
「まぁまぁ三日月、俺に任せろ!」
また一瞬、ドキッとしてしまう。
(うーん、何だろう?)
太陽はメルルとティルが気に入ったアイスクリーム店の店員さんと、何やらひそひそと話した後、両手にアイスを持って戻ってきた。
「さぁ~お姫様方、アイスはいかがですか?」
そう言うと、メルルとティルに素敵なアイスクリームを見せる太陽。
その瞬間!
「「きゃっはぁぁぁぁ♡」」
(二人の素直な反応が、これまた愛おしい)
「「たいよんにゃんにゃん♪ ありがとぉ」」
「君たち……にゃんにゃんはやめなさいっ!」
「あんなに食べたいのがいっぱいー! って、悩んでたのに」
とても喜んでいる姿に、三日月は驚く。不思議に思い、どう納得してもらったのかと太陽に聞いてみると。
「んっ? タネも仕掛けもございません、だな!」
「えぇ~……どういう事?」
すると太陽は面白そうにへへッと笑い、説明を始めた。
「好きで食べたいって言ってんだ。全部食べさせてやりたいだろ? だから月も一緒に悩んだ……だろっ? だったら俺は、それを叶えるべく動いた! そんだけだなぁ」
(うん……分かんない)
説明不足か? はたまた三日月の発想力の問題か? 困っている三日月の顔を見た太陽は「そんなに知りたいのか〜大したことじゃないぞ?」と、大笑いしながら教えた。
「店の人に頼んで色んな味を楽しめるよう、少しずつ盛ってくれと頼んだ。別のカップに入れてもらったら、どうもメル・ティルには新鮮で嬉しかったらしいな。気に入って大喜びだ、えかった、えかった~!」
――なるほど! さすがお兄ちゃま!
「発想がすごいよ!!」
確かに、それなら少ない量で、色々と食べられて楽しいね~♪ と、三日月は感動でおめめキラキラ。
メルルとティルに「良かったねぇ」と言いながら、頭をヨシヨシした。二人は「キャッキャ」と満面の笑みで食べている。
――トントンッ。
「ふにゃうっ?」
どうやら三日月の方は、頭をトントンしてもらっているようだ。
「おまえはいいのか? 食べなくて」
(また優しい顔してる。穏やかすぎるくらい、柔らかい表情)
「……ょぅくん」
「お? んっ? どうした」
「いつもと違うネ。表情……雰囲気が」
「そうか? うーん。わからん」
「この広場に入ってから、ずっと気になっていたの。いつもと違うなぁって。あったかい力? を、いつもよりもずっとたくさん感じて。あっ! そっか、そうだよ!! お名前の通りで、『太陽』って感じだよぉ!」
「――――!!」
その言葉を聞いた太陽は、とても驚いた顔で目を丸くしていた。数秒後、我に返り「おぉ~そうか。ビックリしたぞ」と、一言だけ。
その後、太陽はそれ以上何も語らなかった。
三日月は、その表情が少し気になりながら。
それ以上何も、聞かなかった。
いや。
――聞けなかった……。
今回、とても長~くなりましたが……。
最後までお読みいただきありがとうございます!
『また読みに来てくださいネェ(*‘ω‘ *)』




