41 文化交流会2日目~答え~
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♪こちらのお話は、読了時間:約7分です♪
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賑やかで、とっても贅沢なお茶会が始まった。皆には秘密だが、三日月は本日二度目となるおいしい時間。
「さぁさぁ、どうぞ~♪」
なぜかラフィール直直に、楽しそうな足取りで飲み物を運んできてくれた。
「メルティちゃんは、オレンジとアップルのジュースねぇ。搾りたてをご用意しましたよ~」
「えぇー?!」
三日月が驚くのも無理はない。おしゃれなジュースグラスには果汁百%の搾りたてジュースは、見ただけで美味しいフレッシュさが伝わってくる。
「「わぁ~い!! ジュースだぷ~♪」」
(メル・ティルちゃん。「だぷ~」って……)
メルルとティルは大好きなジュースにキャッキャと上機嫌。テンションは上がりっぱなしだ。
「はぁ~い、お次は太陽さん……どうぞ! モカですよ~」
「はっ! ありがとうございます! 大変恐縮です!!」
「またまたそんなぁ、気楽にして下さいよ~。せっかくの珈琲が美味しさ半減してしまいますよッ! あっ、そうそう♪ ブラックでよろしいですか~?」
三日月と違い、太陽はラフィールと関わることがまずない。初めて話をする場がなんと滅多に参加できないお茶会……それはそれは大緊張であった。しかしそんな太陽の気持ちなど気にもならないラフィールは、いつもの調子でふわふわと話かける。
「はいっ、ありがとうございます!」
「いえいえ、良かったです~フフフ」
真面目な太陽に、ラフィールは笑って答えた。それからティーワゴンからもう一つ、ラフィールは手に取る。
「さぁ~て♡ お待ちかね……はぁ~い月さんどぉぞッ♪ モカですよぉ」
カチャン。
優しく置かれた香りの良い、珈琲の入ったカップとソーサーの音。
本日一度目お茶会とはまた違った感じの、可愛らしいクマのカップに、あま~い香りのモカ珈琲。「良い香り」と、三日月は笑顔になる。
すると、コソッと――綺麗な声。
『お約束のカフェオレは、また今度です♪』
急に耳元で囁かれ「あわわわわ~」と驚き、焦ってしまう。
もぉ~先生!! という顔で、三日月はいつもと同じようにぷくっと頬を膨らまし、ぷんぷんアピールをした。ラフィールはそれを見てなぜか満足げで悪戯な表情をしながら、三日月の向かいに腰掛ける。
「少しだけ、お話をしましょうか」
そう言うと少しだけ空気が引き締まり、ラフィールは優しい口調で話し始めた。
「さてさて、月さん。【鍵】使用の条件とした、『魔法を楽しむ事』このお約束は守れましたか?」
ラフィールの声は、三日月の頭の中に静かに響いていた。
答えを聞かずとも分かっているかのようなラフィールの力強く優しい瞳に、三日月の心は吸い込まれそうになる。
――あの瞬間、私が感じた魔法への思いを。
三日月は今回のオリジナル魔法発動と、攻撃(挑戦)が成功したことに、とても大きな達成感を感じていた。未だに考えるとわくわくして、三日月形の弓を、魔法を好きだと思えるようになっていた。
(これから先、同じ魔法を使ったとしても)
――きっとずっと、今日の魔法は忘れない。
そして三日月は、星からもらったブレスレットを見つめそっと触れると、ラフィールに自信満々、満面の笑みで解答を言った。
「はい先生!! お約束、守れましたっ♪」
「そうですか、良かったです……本当に」
ラフィールは、少し感慨深い表情になったがでもすぐにまた、いつもの笑顔に戻る。
「ではひとつだけ♡ 今回の反省点をお伝えしましょう♪」
(うぅっ! やっぱり逃れられないのね~。反省会)
――――どうしよぉ。こわいよぉ!!
ラフィールは、そんな三日月の表情に気付き、クスッと笑いながらゆっくりと話し始めた。
「今回、使用許可を出した魔力レベルは『Ⅱ』です。しかしその魔力を使い切ってしまう程に、身体を消耗していましたね? これがどういう事かは、解っていますか?」
「ハイ……すみません……」シュン。
三日月の返事を聞くと「解っているのなら」という表情のラフィール。そして、まだ話は続く。
「本戦闘であれば、大変危険なことです。しかしながら、一番心配していた問題である、魔力のコントロールは完璧でした。月さん、ここは文句なしにクリアですよ」
(良かった! 心配だったコントロールは大丈夫だったぁ)
ホッとしていたのも安心も束の間。ラフィールは「これからはですねぇ~」と、まだまだ話は続いていく。
「今後の課題としては『自分の魔力量管理』と言ったところでしょうか。毎回戦いの度に、自分の中にあるだけの魔力を使ってしまうのでは、身を滅ぼしかねません」
「ハイ……おっしゃる通りです」シュ~ン。
三日月はラフィールからの注意にユックリと頷き、反省。
「ユイリア様を助けるためとはいえ、やりすぎにも程があります」
「はい、今後の課題に向けて、もっと訓練を頑張ります」
ふふふっと笑ったラフィールは、厳しい声から柔らかい声に戻る。
「よろしい! うふふ。まぁ~でもねぇ」
そう言うと少し時間を置き、ラフィールは優しい言葉で締めくくる。
「あの時、ユイリア様を狙うように向かってきた魔力の矢。その危機を感じ取る速さ、その後の素晴らしい判断。そして――」
「……は、はい」
「あ~いえいえ♪ 今日はこのくらいにしておきましょう。うっふふ、月さんの魔法、今回は満点!! でしょう。たいへん良く出来ました」
(はぅ! ほ、褒めてもらえたぁ?!)
喜ぶ三日月は「やったぁ~」と笑い、両手を上げる。そのラフィールからの言葉で、やっと安心することが出来た。
「ラフィール先生、ありがとうございます!!」
それからラフィールに褒められたことが嬉しく顔は緩む。そして、皆でわいわいと盛り上がった。
「本当お疲れさんやったな! あの光の弓と矢? すげぇキラキラで、遠い俺たちのとこまで輝いて見えて……とにかく凄かったぞ!」
興奮気味に話す太陽に三日月も恥ずかしがりながらも嬉しそうだ。
「「ふみゃー! しゅごーいのだ♪」」
メルルとティルも、ウキャウキャ~と嬉しそうに走り回っている。
「ありがとぉ〜私、頑張ったよぉ!!」
(…………♪♪)
「ティア~♡ ありがとぉ」
――ぎゅーッ!!
「「あぁぁぁぁ!!!!」」
メルルとティルは、手を取り合う三日月とバスティアートに少しヤキモチを焼いていた。
「えぇ〜いいなぁ! メルルもぉ」
「いいないいなぁ! ティルもぉ」
あっははは――――。
「ワタシ~、モテモテ?? なのかなぁ」
(うふふ、皆に褒めてもらえて、私は今とっても幸せです)
ラフィールの部屋はいつも精霊で溢れている。そしてとても優しく心地良い空間。
(先生のお部屋って本当に不思議……自然と皆、笑顔になる場所だなぁ)
ラフィールの部屋。三日月だけではなく、ここにいる全ての者たちが感じるのは、温かくて幸せな気持ちだった。
――皆が、くつろげる幸せな時間、空間を。
「楽しそうで何より、私も嬉しい。ではでは皆さん、ここでのんびりと羽を休めてから、交流会に戻ると良いですよ」
私は用事がありますので失礼しますね~と、扉へ向かうラフィール。それを三日月は慌てて呼び止め、お礼を言った。
「あっ! ラフィール先生、あの……今日は本当に、ありがとうございましたッ」
「あらあら月さん。いいのですよ、本当にお利口さんで、先生は嬉しいです~♪」
ふわっ――。
「こちらこそです、三日月様。お約束を叶え、皆の命を護って下さって、本当に……“奇跡”をありがとうございます」
ラフィールは三日月の側に寄り、左手を前に当てると片膝をつき優雅にお辞儀をした。
――それはまるで、姫に仕え忠誠を誓う者のように。
ドキッ。
(何故だろう? 胸がすごいドキドキして、高鳴るような)
しかし、すぐに「えぇっ?!」と我に返る。三日月は初めて見るラフィールの姿に驚き、何が起こっているのかと焦り慌てた。
「な、な、そんな先生、あの膝ついて!! やめて下さい! 私なんかにお、お辞儀だなんてぇ」
ラフィールは優しく微笑み顔を上げると、また優雅にふわっと立ち上がる。その姿はやはり気品溢れ見惚れる程であった。
しかし、扉へ振り返ったラフィールの表情は、少し重く固い。そして
「ティア、後はよろしくお願いしますよ」そう言いながら、ラフィールは幸せな精霊の舞う部屋を後にした。
それから三十分程、三日月たちはお茶会を楽しんでいた。久しぶりにゆっくりと話も出来て、大満足。もちろんバスティアートも一緒に仲良く過ごした。
「皆、仲良くなってよかったぁ!」
「あぁ、そうだな! 楽しかった、月に感謝だ」
ありがとよ~と、太陽がニカっと笑いながら三日月の頭をポンっ。
――あれ? そういえば。
その時、三日月はふと思い出す。最近いつもそばで、自分のことを見守っていてくれている人物を。
「いない……」ぼそっと呟いた。
(ドコヘ、イッタノダロウ?)
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