33 文化交流会2日目~条件~
お読みいただきありがとうございます(*´▽`*)
♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪
(Wordcount1890)
様々な大会がある中で、ユイリア様から指定されたのは、『魔法アーチェリー』という、少し難易度の高い大会。“弓と矢”はもちろん、自分の魔力によって発動する。
十人十色。様々な武器が見られるとあって、文化交流会の中でも一番と言っていいほど、観客(生徒)が多く集まる人気の大会である。
そして、先生方の気合の入り方も、他とは違う。
太陽君の時と同じ、魔法科の先生方が作った、魔力たーっぷりの的に矢を放ち、何点取れるかを競う。的は普通と違って星型。普通の丸型の的に比べて、矢を当てるのが難しい。その上、点数はバラバラに付けられている。なので、自分が確実に当てられる良い場所を決め、『狙って、打って、当てる』。
まさに! 【魔力コントロール】が必要な競技なのだ。
――私自身、“トラウマ克服”への第一歩としては、ちょうど良い訓練になるのかもしれない! とは思ってはいますが……。
(今の私にこの挑戦は、不安でしかない)
この結果次第で得点がもらえる、という成績に繋がる点はどの大会も一緒で。夏休み明けの授業内容にも響いてくるため、大会に出る生徒は皆さん必死なのです(一般生徒は後ろ盾がないので、特に頑張るのであります!)
「登録してきたよぉ〜」
「「おっかえりぃーん!」」
メルルとティルのお出迎え。可愛すぎてほんわかする。それにずーっとさっきから「ガンバレ、ガンバレ♪」と、二人のお歌が聴こえてくる。
(あはっ、力が湧いてきますねっ)
「でもこれ以上、力湧いちゃうと……」
メルルとティルの賑やかさに少々圧倒されながら、名前が呼ばれるのを待っていた。すると空から聞き覚えのある声が近づいてきた。
(あ〜、また飛んでいらっしゃいますネ)
「月さ~ん、どうですかぁ? 調子の方は?」
「ラフィール先生! 先程ぶりです。お陰様で、力の調子はとてもいい感じ……なのですが。やっぱり緊張がすごいです」
(どうしよう。私ってもしかしたら、本番に弱いタイプかもぉ!)
「緊張ですか~」と先生が、フムフムと何やら話し始める。
「月さん♪ お茶会、楽しかったですねっ」
「え? あ、はい! 出来ればあの時間に、戻りたいくらいです〜」
あんなに幸せな時間、ずっと過ごしていたいに決まっています!
「おちゃ茶~?」「お菓子~?!」
「コラッ、話の邪魔しちゃいかんぞ!」
(おーっと! 危うくメル・ティルにお茶会の事、自分ばっかりぃーと、怒られるところだったぁ)
その期待のキラキラお目めを、太陽君が受け止めてくれたから、何とか見つからずに。
「よ、良かった」
「ふふふっ。そうですね〜楽しい時間を過ごせるというのは、本当に幸せな事です」
そう言うと先生は、ゆっくりと地上に降り立った(先程とは違う、素敵なお召し物。その美しいお姿……羽が見えてきそう。まるで天使みたいじゃないですか?!)
「あの時のお茶会のセッティングは【楽しい魔法】ですね。そして癒し、攻撃、護り……。全ては魔力を使用し生まれる、すなわち【魔法】という事です」
楽しい魔法、優しさの詰まった癒し、戦うこと……そして――――護ること。
先生の言葉が、心の奥に伝わってくる。
そして何故か、この言葉が頭に浮かんだ。
――――【幸せの魔法】。
そうだ。自分を信じて、自分の能力を信じて。
「あ~そうそう! それから【鍵】の使用を許可します、とお伝えしたのですが。その使用する際の“条件”を言うのを忘れていました~」
真面目に魔法について考えていた私は、一瞬で頭真っ白になった。
「えーっ! 条件ですか?!」
はぁ~、ヤダ。難しい事だったら、どうしよう……。
「そ〜れ〜はッ♡」
うぅぅぅ…………コワイ。
「そんなに怖がらないでください。条件は『魔法を楽しむ事』です」
「楽しむ……ですか?」
それって簡単そうで、もしかしたらある意味、とても難しいことなのでは?
「先生、ちょっと、それは」
星様が、心配してくれている。
「だ、大丈夫です、頑張ります!」
さっき浮かんだイメージ【幸せの魔法】。そして『魔法を楽しむ事』。
(きっと、成功させてみせる!)
「次、セレネフォス=三日月、準備」
はぅ〜! 呼ばれたぁ、呼ばれましたよぉ。
「月さん、大丈夫ですよ。ちゃんと見ていますからね」
「は、はい! ありがとうございます」
「いい子ですね……。万が一、魔力が暴走した場合は、私がお助けしますから。安心して今あなたに出せる力の全てを――全力でいきなさい」
「は、はいっ!」
ラフィール先生はまた、よしよしナデナデ~してくれながら「助けます」と言ってくれた。今は「止めます」ではなくて。その、何気ない言葉に、優しさを感じた。
そして。
みんなからの応援に勇気づけられながら、私は前へ進んでいった。




