32 文化交流会2日目~蒼い石~
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♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪
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「はふ~……緊張してきたぁ!」
校舎を出て、歩いて二十分程の所にある【訓練の森】が、今回の『魔法勝負』の会場である。そこに向かう足取りは少し重い。ユイリア様との勝負とか何とかよりも、“制御なしの魔法”を使う事で、私の頭の中はいっぱいになっていた。
「月、大丈夫だよ。さっき渡したブレスレットは、どのような状況でも、きっと君を護り、導いてくれるよ」
余裕がないのが伝わったのか、星様は私の気持ちを安心させてくれた。
(“お守り”みたいな?)
そう思いながら、頂いたブレスレットを手のひらに乗せて見つめる。
「そうですね! ありがとうございます」
「参加する大会は『魔法アーチェリー』だったかな?」
「はい、そのようにメイリ様から聞いています」
「メイリ……そうか。月、“弓”の魔法発動は右手?」
「そうです。よくお分かりになりましたね!」
「あぁ、力の波を感じる、それで右かなぁと思ってね。それ、ちょっといいかな? 右手を出してみて」
手に持っていたブレスレットを渡し、右手を前に出すと、星様は私の手首に着けて下さった。
――とても綺麗な『蒼』。
あぁ……そっか。星様の“瞳”の色に似ている。中で光るキラキラはまるで、夜空に輝く『お星さま』みたい。
「よく似合っている」
ニコッと微笑んで、見つめられた。
「ありがとうございます」
なんでしょう? これは。恥ずかしいです。
そして、会場へ向かって二人で歩き出した。
(そういえば、さっき会話の中で「メイリ」って言ってた。ユイリア様は上流クラスの中でも、有名みたいだったから、そのお付きのメイリ様の事、ご存知なのかな?)
(はっ! 気にしない、気にしない!)
私が考えることじゃないのに! 今は目の前の大会に、集中。
「最近の私、おかしい……」
「ん? 月、どうかした?」
「いえっ! 何でもありません!」
しばらく歩くと、会場となる【訓練の森】に到着した。
「よぉ、主役が遅かったなっ!」
「太陽君! えぇ~、でもまだ時間は……来るの早いねぇ」
「おーっと? こないだのお坊ちゃんも一緒か!」
「太陽様、ご挨拶がまだでしたね。星守空です。よろしくお願い致します」
「かっこいい名だな!! 俺の事は太陽でいいぜ♪」
「恐れ入ります。太陽さ……太陽も。まるで国を表したかのような、気品のあるお名前かと」
「おーいー! セルク?? ちょっと後で話そうか〜?」
何故か、二人とも気が合いそうな雰囲気? 見た目、性格と、全然違うのに。
「「セリィーーーー♪ あっしょぼー♪」」
あっ、星様がメル・ティルの餌食に……。メル・ティルは星様の事“セリィ”って言うのね。それも良い感じの愛称だぁ♪ いや、でもちょっとすごい。星様、大丈夫かな? 肩に頭に上っていってる。あんなに細腕なのに、星様って結構、力持ちみたい?
まぁでも。こんなお姿、なかなか見られるものじゃないから、楽しい。
「おぃおぃ? メル・ティルはセルクと知り合いだったのか?!」
「おうちいっしょー!!」
「いつもご飯もいっちょー!!」キャハッ♪
「どういう……こった??」
「私の父の知人で、学園に入学してからは、うちに住んでいるようですよ」
「ほぉ~。セルクの……んっ? なんだ他人事みたいだなっ!」
黙ってニコニコ笑顔で答えている、星様。
そこはさすが大人な太陽君。すぐに話題を変える。
「そういや、今日は? もしや……セルクも大会に出るのか?!」
「いや、それがね、太陽君違うのよ。大会が開始されるまでの間、ラフィール先生のご依頼で、今日特別に私の“護衛”をして下さっているの」
「「「ご、護衛?!」」」
「そりゃ、また。先生もえらいな過保護だな」
と言うと、またまた太陽君、何かを察したようで、それ以上は詮索しない。本当に人の感情の変化や、周りをよく見ている。すごい人だ。
和気あいあいとみんなで話していると、急に星様の空気が、警戒に変わった。あぁ~なるほど。後ろから嫌な気配を感じます。
「あ~ら〜、月さん♪ 御機嫌よう」
振り返ると、またまた予感的中です。
「御機嫌よう、ユイリア様」
そう答えると、晴れ晴れとした表情で話しかけてきた。
「ちゃんといらっしゃいましたわね~。怖くて逃げだすのかと思っていましたのに~おほほ。昨日は、良く眠れまして?」
「緊張して、あまり」
いや、やっぱり怖いですよ。逃げたりはしませんけど。
「あーら。でしょうねぇ♪ 私が相手じゃ仕方ないですわねぇ。可哀想ですけれど、せいぜい頑張って的に当てて下さいね」
では、失礼~と、ユイリア様は言いたい事だけ言うと、ルンルンな感じで、颯爽といなくなった。
「いやぁ~、これまた一段と“お嬢様”に磨きがかかって! ちゅう感じやったな―! はっはっは」
太陽君が、とっても面白がってる言い方で“お嬢様”について話した。
すると、星様が答えた。
「ユイリア様は、自信がおありなのでしょう。あぁ見えて、様々な大会ではほぼ優勝と、実績はあります。その中でも、今回の【魔法アーチェリー】は彼女の一番得意な攻撃法です」
「「うえぇーズルいー!」」
メルルとティルが、嫌悪感いっぱいの声で言った。
「だよなぁー! そりゃー自分の得意な大会で勝負とあらば、あ~んな余裕も見せれる訳やなっ」
続いて、太陽君まで。
「まぁ、やるだけやってみるよぉ。昨日、太陽君も言ってた通り、ユイリア様にとって、今回の勝負……勝ち負けじゃないんだろうし」
そう私が言うと、星様が不思議な顔でこちらを見ていた。
――そうだったぁ!
ラフィール先生にはお話してるけど、星様には理由をお話していないから、ただ単に私が大会に参加すると、思っているだけだったのね、きっと……!
あの時「メイリ」様の名前を私が言った時、眉をひそめて首をかしげていたのは!
(それが原因だったのネェ)
「あぁ~えへへ。そもそもこの大会に出ることになったきっかけが色々ありまして。また終わってから、ゆっくりとお話します」
「うん? 月の事は何でも聞きたい。また、聞かせてくれると嬉しいよ」
(また! そんなお顔が熱くなるような言葉をサラサラと)
星様は、少しホッとした顔で、いつものように優しく、でも少し寂しそうに、お返事をしてくれた。
いつもお読みいただきありがとうございます。




