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31 文化交流会2日目~三人からの贈り物~

お読みいただきありがとうございます!

♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪


(Wordcount2630)


 私は、今日のお礼をもう一度言うと、扉を開けて向き直り、お辞儀をしてお部屋から出ようとした。すると、ラフィール先生に呼び止められた。


「そうそう! 月さん。また私の所に来る事があるかもしれませんので、この部屋までの()()をお教えしておきましょう。表からだと、色々と気を遣われるでしょうし」


「いえ、そんな!」


 ロイズ先生に護っていただいた時だって、周りの反応が大変だったのに、『裏扉』を教えていただくなんて! そんな()()()()みたいな事。皆様に知られたら、また何を言われるか分からない。


「うふふふ、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ~。ねぇ? 月さん、ぜひ! 気兼ねなく遊びに来てください。手作りお菓子と……そうそう次は、特製の珈琲(カフェオレ)なんていかがですか♪」


(うぅ、珈琲(カフェオレ)は大好きです)


「それと実は、ひとつお願いがありまして」


「お願いですか?」


「えぇ、たまにで良いので。ぜひ、ティアへ会いに来ていただけないでしょうか?」


「バスティアートさんにですか? お願いだなんて、もちろんです! 私の方こそ、またゆっくりとお会い出来るのであれば、嬉しいです!」


「そーですかぁ? ありがとう月さん、お願い聞いていただけて安心です~」


 そう言うと急に、少し寂し気な表情で、先生はお話を続けた。


「ティアには、お友達と呼べる“人”がいないので。しかし月さんでしたら、私も安心です! あの子もセルク同様、あなたのことをとても気に入っているようでしたからね。また遊びに来てくれると知ったら、喜びます〜」


 嬉しい反面これはまさか。裏扉を教えてもらう方向に話が進んでいるのでは?


 でも、そもそも先生の魔法で作っている扉なのだから、見つかるはずないかな……うんうん、そうだそうだ! と、勝手に納得していた。


 そんなことを考えていると突然、ラフィール先生が私の手を取り、優しい美声。


「これから頑張って、新しいことに挑戦しようとしているあなたに、これを」


――キラッ。


(えっ? 何か、光った?)


「……?」


「それでは、月さん。また会場にてお会いしましょう」


 え、え?


「あ、は、はい」

(何か起こった? 光った?)


「し、失礼しましたぁ」


 結局、光が何だったのかは分からないまま。


 お部屋を出るときに、先生はまた「いい子いい子~♪」と言いながら、よしよしナデナデをしてくださった。


――いつも私のこと、子ども扱いするんだから。

(いや、まぁ、まだまだ子供なのですが)



 でも。とても充実した時間を過ごすことが出来た。


(今日ここに来て、本当に良かったなぁ)


 私は扉の前で感謝のお辞儀をして退室。すると入り口で、あの可愛らしい声が聴こえてきた。まるで、落ち着く音色のようだ。


『月様、お疲れ様でございました!』


 バスティアートさんだった。私はまず、お礼を言わないと! と、お顔真っ赤の恥ずかしい気持ちで、頑張って話をし始めた。


「あの、先程は手を握って元気づけてくれて、安心させてくれて、ありがとうございましたッ!」


 私は心から嬉しかった気持ちを表現したくて、深々とお辞儀をする。


『いえ、私は何も。それより月様、お顔を……』


「え? はい」


 顔を上げた瞬間、彼女は強い力を私の身体に送ってきた。


(星様と初めて出逢ったあの時のような?!)


 まるで水のように心に流れ込んでくる。凍った部分が溶けていくような、そんな感覚。


『少しですが、私の癒しを送りました。魔法の成功と、ご無事を祈っております。頑張って下さいね』


「はい、ありがとうございます!」


『お気をつけて、行ってらっしゃいませ』


「はぁい! 行ってきまぁす」


 彼女はニコッと笑うと、光を放ちながら水晶の中へ戻っていった。私は水晶猫さんに「ありがとう」と言い、美しい水晶をヨシヨシしながら、みんなの優しさを思い出していた。


――そして、勇気をもらったことも。


 角を曲がると、星様が待っていて下さった。でも声をかけようとして、言葉を飲み込んだ。いつもと違う雰囲気。あっ、眼鏡を外している? 少し、近寄りがたい表情で立っていた。すると、こちらに気付き眼鏡をかけると、いつもの表情に戻り笑顔で手を振って、おいでおいで~としてくれている。


「す、すみません。お待たせしました!」


「月、お帰り。先生とお話は出来たかな?」


(はっ! お、お話?!)


――「あなたのことを“大切”にしていることは間違いないと思いますよ」


 先生のあの言葉が、頭の中を過ぎった。


 ダメだぁ! 何だろう。分からないけれど、今、星様のお顔がちゃんと見られない。


「月、大丈夫? 全然、待っていないから気にしないで。それとも、具合でも?」


「いえいえ! とても元気です〜あはは」


 そう? と、不思議そうに星様が、私の顔を見ている。


 エヘヘ、と笑っていると「そうだ、三日月……」と星様が何かを取り出した。


「――これを」


「ふぇっ?」


 星様が渡して下さったのは、蒼い石が使われたブレスレット。光の角度で、キラキラと星のように粒が輝いている。


「えっと、これは?」


「ごめん、気に入らなかったかな?」


「いえいえ、違うのです! とても綺麗。でも、どうして?」


 すると、星様はいつもより何倍もの笑顔で言った。


「【セレネフォス=三日月(みかづき)】十六歳のお誕生日、おめでとう」


「えぇ、あっ、ありがとうございます」


「えっと、喜んでもらえたかな?」


 少し心配そうな顔の星様に、私はうれし涙をこらえつつ、満面の笑みを浮かべて答えた。


「とっても。とっても、嬉しいです」


「あはは。月は泣き虫なのかな?」


「これは、うれし過ぎての涙です!」


 ラフィール先生、バスティアートさん、そして星様。こんなに皆様に支えていただけて。


 こんなに素敵な一日の始まり。十六歳のお誕生日を迎えられるなんて。


(私は本当に、幸せです)


「あっ……」

「どうしたの?」

「ちょっと疑問が」

「うん?」


 なぜ?

「私のお誕生日、どうしてご存知だったのですか?」


 それを聞いた星様は、あぁぁ~という顔をしている。


「実は……」


「あ~ははは、そうなんですね、納得〜」



 星様が言うには……。



 一週間前から、お家の中に響き渡る楽しそうな声。一緒に暮らすメルルとティルが「大事なおしらせ~♪ みかづきのおたんじょうびぃん♪」と、言いながら。作詞、作曲のお歌を歌ってくれていたそうです。



 なんということを、星様すみません。

 でも私は、とても嬉しいお誕生日になりました!


(後で二人に「ありがとう」言っておいた方がいいかしら?)


 ふとまた、星様と目が合った。その時にお互い何を考えていたのかは解らないけれど、顔を見合わせて、自然と笑い合っていた。


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