29 文化交流会2日目~お茶会~
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♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪
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夢のようなお茶会は、和やかな雰囲気の中、始まった。
フカフカのソファに、おしゃれで真っ白なテーブル。周りには精霊さんたちが、プカプカと浮かんで遊んでいる。そして時折聞こえてくる可愛い笑い声は、まるで心地の良い背景音楽のようで、とっても癒される。
(ラフィール先生の手作りお菓子に、高級お紅茶……)
「はぁ~♡ 贅沢だぁ」
お花型のソーサーに乗る、綺麗な花柄のカップには、ラフィール先生が入れて下さった、高級ダージリンティー。手作りのクッキーは、リーフ型のお皿に並べてあり、淡い緑色のテーブルクロスにとても合っている。
金色猫の刺繡は、ちょうどお皿の右側にくるようにしてあり、まるで『どうぞ~』と言っておもてなしをしてくれているみたいだ。
(その美しいテーブルセッティングと、カトラリーセンスは、やはり違いますッ)
「軽いティータイム」とおっしゃってましたが、美意識の高いラフィール先生は、相手への心配りに手を抜かない(本当に素敵です)。
私は恐縮しながらも、ひと口サイズで食べやすくしてある、クッキーを口に運ぶ。
(うにゃ? ちょっとフルーティ? ほど良い甘さで美味しい!)
と、その余韻を残しつつ、ダージリンの持つ爽やかで甘い香りを楽しみながら、紅茶をひと口。
そしていつもの言葉を自然と言ってしまう。
「はぁぅ♡ 幸せだぁ」
いつもあの階段で、ひとり時間を「しあわせ♪」と思っている時よりも、ずっとずーっと、いっぱいの幸せを私は感じていた。
「ウフフ。月さんは、本当に素直でいい子に育ちましたネ」
「エヘヘって、うーん? それはどういう意味でしょうかぁ?」
「えぇ、もちろん! 褒め言葉ですよ~」
(そうなのですか? 褒めてもらえてるのなら……いいか♪)
そっか、そっか~と、ご機嫌でニコニコしながら、またクッキーをひと口。そして、紅茶のカップを手に取ったところで、先生が話し始める。
「このクッキーには、ルナの実を使っているのですよ♪」
「ふえっ?!」と、私は驚き、カップを落としそうになった。慌てて両手で包み込み、間一髪!
(あ、危なかったぁ!)
「えぇーと、 あの?!」
「ふふっ。月さん、そんなに驚かないで下さい♪」
「いや、だってー!!」
――【ルナの実】と言えば。
上流階級の方でも、なかなか手に入らないという高級フルーツ。そんな珍しい食べ物を、しかもクッキーの中に隠し味のように入れるとはぁ!
(恐るべし! 上級魔法師ラフィール様ぁ~)
先生の手作りクッキーというだけでも、とても恐縮しているのに。
「はぁ~。ますます大事に食べないと、ですねぇ」
私の言葉を聞いた先生は「大げさですよ~」と、笑いながら話してくれる。
「うふふ♪ あっ! そうそう、月さん。ルナの実の効能と効果をご存知ですか?」
「あ~いえ、全く存じ上げません」
というより、私、食べた事がないのですよぉ。
「そうですか~では! 次回の授業で、ルナの秘密について少し、お話しましょう」
「本当ですか?! ぜひ、よろしくお願い致します!!」
(やった! 知りたい! ルナの秘密? 真実? わくわくするよぉ♪)
「セルク君は、もちろん知っているね?」
「えぇ……」
――あれ?
私の時とは違って、星様に問う時は少し厳しい感じで聞いている先生。星様も、何だか素っ気ない声に感じた。
(どうしたのかな?)
そういえばお二人は、随分親しいようにも見える。私の護衛も「依頼」と言っていたし、一体、どういうお知り合いなのだろうか?
ふと、そんな事を考えていると、扉の向こうからバスティアートさんの声がした。
「ラフィール様。そろそろ、お時間でございます」
「あっ!」
私は、バスティアートさんの声が、なぜか聞こえるようになっていた。
(キャ~、声もかわいい~♡ 癒されるよぉ)
その知らせの声で、先生は『金の砂時計』の時間を確認した。時計は、窓から差し込む光に反応して、さっきよりもさらに輝きを増している。
(やっぱり、とっても綺麗……)
「あぁ、そうだね。ティア、知らせてくれてありがとう」
先生はそう言うと、私に聞こえない声で、星様に何やら指示を出している。
『セルク、周辺の確認を……解っていますね?』
『はい、十分に警戒します』
何をお話しているのだろう? と気になりながらも、食器のお片付けをしていると、星様と目が合った。そしてお互いニコッ。
(お話、終わったのかな?)
すると、微笑みながら星様が近くへ来てくれた。
「月、先に出て待っているよ。ゆっくりと、おいで」
「エッ、あー……」
そう告げると、ゆらゆらと手を振りながら、笑顔のまま出て行ってしまった。
(えぇー?! 星様、先に行っちゃった? 何かご用事でもあるのかな? 少し、すこぉ~しだけ寂しいかも)
「ウッフフ。お二人とも仲が良くて、可愛いですねぇ」
先生がまた、楽しそうに私を見て笑っている。
「ラフィールせんせー?」
「あら、ごめんなさいねぇ。少し嬉しくって。セルクが私のお茶会に参加してくれた事、今まで一度もなかったのですよ。でも、今日は私の手作りクッキーに私が入れた紅茶までも! 完食してくれて!」
「わぁーおー! せ、せんせーい?!」
先生が急に、泣いて……喜んでいる?
「だ、だぁいじょうぶですか?」
すると「だいじょうぶです~」と、またまた急に! すくっと立ち上がり語り始めた。
「セルクの、あんなに自然体で柔らかい表情、幼い頃以来見た事がありません! 月さんの事、とても気に入っているのでしょうネェ」
「いえいえ、そんな……」
(そんな事、あるはずがないですよ)
「月さん。セルクが【星】という名を呼ばせるのも、とても珍しい事なのですよ。あなたの事を“大切”にしていることは間違いないと思いますよ」
「はぁ……」
頬が、熱いです。
その頬を赤らめた私を見て、先生は嬉しそうに揶揄い口調で話す。
「うふ♡ 月さん、セルクの事これからも仲良くしてあげて下さいねっ!」
「は、はい。私の方こそです」
(なんだろう、これは。すごく恥ずかしいのです)
◇
――「セルク」
そう呼んでいらした。「幼い頃は~」とも、言っていたし……。やっぱりお二人は、親しそうで。どういう関係なのだろう?
いろんな謎を、うーんうーん! と考えながら、自分の恥ずかしい気持ちが、通り過ぎるのを、私は待ったのでした。
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