22 文化交流会1日目~メイリ様のお願い~
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「わがままを言っているのは承知です。巻き込まれた月様には、大変お聞き苦しいとは思いますが、ぜひ、私の話を聞いていただけないでしょうか? このような状況になってしまった訳を、お話いたします」
メイリ様の真剣な表情から、本気さが伝わってきた。そして、彼女の周りには、数粒の守護精霊と思われる光が舞っている。きっと、無意識に自分を守っているのだろう。
冷静な判断ができ、堅実で、警戒心がとても強い。こうしてずっと、ユイリア様をお支えしてきたのだろうな、と感じた。
メイリ様の言葉と空気に、誠実さを感じた私は「お聞きします」と答えた。
すると彼女は「ありがとうございます!」と、重たい口を開いた。
語られた内容は、上流階級のご令嬢に生まれたからこその苦難や、カイリ様の対応、ユイリア様の戸惑いをどうしてあげたら良いのか、というものだった。
◇
〔芽衣里のお話〕
海偉里様と唯莉愛様は、生まれた時からの許婚。
そう、本人たちの意志に関わらず親同士で“結婚の約束”がなされたのです。
周囲の心配はありましたが、幼い頃から会う機会も多く、遊んだり、本を読んだり、お勉強をしたりと、ご一緒の時間を、いつも楽しく過ごされていました。
許婚などとは、気にすることもなく……。
二人が自然と仲良くなっていく様子を、見守ってきた双方の親も「これなら大丈夫であろう」と、安心しきっていたといいます。
しかし、ミドルスクールを修了するという日に、ある事件が起こりました。
カイリ様と同じクラスの友人が、お二人がいつも仲良く一緒にいることを羨ましがって『身分』の違いを茶化したのです。
「カイリの方が下級なんだろ? カッコ悪い!!」と……。
年頃のカイリ様にとって、悔しいの気恥ずかしいのって。その上プライドの高い、お坊ちゃまです。
この言葉に、カッとなったカイリ様は
「あんな不細工、仕方なく一緒にいるだけだ! 僕の好みでもないし、それに許婚といったって、親が勝手に決めたもの。本当は昔から嫌だったんだ!」
そう友人に言い返したのです。しかし、恐らくそんな気持ちは微塵もなかったと思います。
そこに偶然ユイリア様がいらして、話しているのを聞いてしまったのです。
その場に立ちすくむ悲しそうなお姿と、愛らしいくりくりの大きな目に、涙をいっぱい浮かべたお顔が、私は今でも忘れられません。
それからというもの、カイリ様はユイリア様を避けるようになり、ご一緒に歩く姿は見られなくなりました。もうニ年以上、お話している様子も、挨拶を交わされるとこすら、お見かけしたことがございません。
双方の御両親もこの状況に、お気付きになってはいるのですが……。
お二人に理由を聞こうともされませんし、もうしばらく見守ろうと、お話はまとまったようで。
カイリ様は口下手で、プライドの高い方です。弁明されるわけもなく、時は今日まで過ぎてしまいました。
それでもユイリア様は、あのようなことがあった今でも、カイリ様に想いを寄せていらっしゃいます。
婚約の解消もされていない以上、お嬢様としては、以前のように仲良くお過ごしになりたいと願っておりますが。
では、相手のカイリ様はどうなのか? 今後どうなさりたいのか? 避けているばかりで、その真意は、分からぬままなのです。
◇
――このままでは、お嬢様が可哀想過ぎます。
そう呟いたメイリ様の目は、涙をこらえているように見えた。
お話を聞いていた、私と太陽君、メルルとティル、みんながしんみり~とした空気でいると、突然!
「月様!」
「はっ、はいッ?!」
メイリ様が私の両手をガシッと握り、真っすぐと目を見つめ、ビックリするぐらいの大きな声で名前を呼ばれた。あまりの驚きで思わず、私も大きな声で返事をしてしまいました。
「カイリ様がどうして月様の髪に、これほど執着を持っているのか。私共には解らないのです。ただその事で、ユイリア様はすっかり勘違いをなさってしまって」
「そ、そのようですねぇ」
「はい。もちろん、月様の髪色がとても珍しいというのは存じております。が、あんなに感情を表に出すカイリ様を、あまり見たことがなかったので」
「うーん、何か理由があるとは思いますが」
「そう……そうですね! しかしこのままでは、ユイリア様は納得をされないのです。勝手だというのは分かっているのですが、私のお願いを聞いてくださいませんか?」
「ど、どのような?」
(何を言われるのやら。コワいです~)
「お嬢様の……ユイリア様の勝負を受けていただくことを、了承していただけないでしょうか!? 恐らくお嬢様の性格上、戦って勝負さえつけば、どちらが勝とうが気が済むのだと思います。理不尽な事をお願いしていることは、重々承知の上、どうか」
そう言うと、頭を下げようとしたので、全力で止めました!
あぁ~良かった、とんでもない事を言われるのかと思って怖かったぁと、安心する自分がいた。
「お願いは分かりました、しかしその、私の髪を短くしてほしいというのは、どういう理由なのでしょうか?」
「あ〜えっと、あれは嘘です。ユイリア様は本気で申してはおりません。そうですね、分かり易く言いますと、月様への“やきもち”でしょうか。月様のお美しい髪を気になさる、カイリ様の様子を見ているのが、お嫌だったのでしょう。そうです、そうなのです! 今回の件、お恥ずかしい話ですが、まとめますと『ユイリア様のやきもち』、なのです」
「そういうことだったのですね、あはは〜」
(じゃあ私は、お坊ちゃまとお嬢様の喧嘩に、巻き込まれたというわけですネ)
はぁ、そうなんだぁと、大きな溜息が出てしまった。
「何とお詫びを……重ね重ね、申し訳ございません」
そしてまた! 頭を下げようとしたので、全力で……太陽君が止めましたッ。
そして、太陽君から一言。
「月よぉ、俺はあまり若者の気持ちって恋だの何だのは解ってやれんのだが。これがきっかけで、お坊ちゃまとお嬢様が仲良く戻るかもしれんのだったら、勝負してやってもいいんじゃないか? どうやら勝ち負けじゃないんだろうからな。そうだ! 俺らでその誤解の全てを解決してやろうじゃんか!」
「ま、待っ……?!」
「「んにゃ? たいよーいい事いういう♪ メルルとティルも頑張るぅ」」
お二人さんまで、やる気満々だぁ。
「おーさすがだぁ、やっぱりいい子いい子は、お前たちだな!」
太陽君がメルルとティルの頭をくしゃくしゃ〜ナデナデしている。
いつものように喜ぶ二人は『キャッキャッ♡』
「本当ですか?! 皆様、ありがとうございます!」
みんな、実際に戦うのは私なのですが……と、思いましたが、メイリ様の切実な願いをひしひしと感じましたし。
素直になれないままニ年以上も、おしゃべりしない頑固な二人。そんな話聞いたら、お節介だろうけど、何だかお手伝いしたくなってきたよ。
「分かりました、お受けします。でもやるからには精一杯、戦います」
「よぉーし! よく言ったぞ、月」
「月様……ありがとうございます!」
こうしてメイリ様のおかげで、謎は解けました。が、結局のところ、魔法勝負を受ける事になってしまいました。




