153 ずっと皆で……
お読みいただきありがとうございます(´ω`*)
♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪
(Wordcount2000)
「ラフィール先生、またご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした」
「いーえいえ! 月さん。迷惑だなんてとんでもない」
素敵な時間を皆と過ごせた、今回のお茶会。
セルクの光魔法、想起によって思い出した過去の記憶。その現実と向き合い頑張ろうと意気込み過ぎていた三日月の気持ちは、ラフィールのおもてなしのおかげで癒され、落ち着きを取り戻していた。
が、しかし。
三日月は両手で頭を抱えながら、シュンとする。
(はぁ、まただよぉ。ユイリア様との勝負後、魔力を使い果たした時と同じ)
三日前、ロイズの主催で行われた会議は自分の未来を左右する大事な会議であったことを重々、理解していた――にも関わらず。三日月は想起魔法の終了時に気を失ってしまったことで会議自体がどのように終わったのか、どうやってendから戻ってきたのかも全く、覚えていなかった。
――どうやってここに寝かせてもらったのか……思い出せない!!
深々とお辞儀をした三日月。
(きっと私、またラフィール先生に抱えられて戻ってきたんだろうなぁ)
そう思い想像しながら恥ずかしさと情けなさで、しょんぼりとしていた。
そんな三日月の頭を優しく、温かく、ヨシヨシ~なでなで~としているのは。
「ちゅっきぃっき~だいじょうぶなのなのよぉ」
「ちゅきちゅきぃ~しんぱいないないばぁよぉ」
「メルル~……ティル~……」
三日月の瞳はうるうるっと涙を浮かべながら「ありがとう」と、呟く。
「フフ、そんなに重く考えないで下さい。ね? 月さん」
陽気に笑いながら椅子から立ち上がったラフィールはセルクと目を合わせる。それから何かを伝え合うような雰囲気の後、今度はセルクが立ち上がる。
「先生はお優しいからそう言って下さいますが。ロイズ先生やランス様、それに父や母にも……」
(私がしっかりしていなかったせいで、きっと迷惑をかけただろうな)
「何の問題もないよ、月。だから安心して、君は取り戻した記憶と、心と。ゆっくり向き合っていけば良い」
「星様……」
勇気づけられたように安堵の表情を見せた、三日月。
そんな中で腑に落ちないといった顔で腕を組む人物が、一人。
「――ん~……んん」
「あ、あぁ! た、太陽君? えーっと」
その様子に慌てた三日月は助けを求めるかのようにラフィールへ笑顔で、視線を送った。すると「は~い」と満面の笑みで返事をしながら、一言。
「太陽さんは、何も知らないのですよ~」
うんうんと頷き首を縦に振り「まったくなぁ~」と言いながら少し不機嫌な感じで三日月と目が合った、太陽は――。
「そう、俺は何も聞いていない。だからなぜ? 月がラフィール先生の部屋で眠り続けていたのか。一体何が起こったのか? 知らないことだらけなんだが――なッ!」
ふわぁ~ッ、ギュっ。
「んきゃッ!?」
メルル・ティルと一緒に太陽は三日月の美しいホワイトブロンドの髪を大きくて温かな手で、包み込む。そして頭を撫でるように軽く胸に抱き寄せたその腕は力強く、とても優しい。急なことに驚き動けなくなっている三日月の耳元でふと、太陽は小さな声で囁いた。
――「いつかは、話してくれるのか? 月も……セルクも」
「た、いよう……くん?」
それは思わぬ出来事。今までに聞いたことのない太陽の沈んだ声は顔を見らずとも三日月には伝わり、目を閉じると表情が視えてくるようであった。
くしゃくしゃーっ!!
「んにゃー!」
しかし真面目な声をしたのは、ほんの一瞬。すぐに太陽は揶揄い口調で三日月の髪をいつものようにくしゃくしゃと撫で、悪戯な表情で笑う。
「なっはっは! まぁ、そういうわけで、月。それからセルクもな」
「ん……、僕も……?」
急に名を呼ばれたセルクは三日月と同じ、驚きの表情。それを見た太陽はゆっくりとひとつ瞬きをした後、セルクの傍に行き肩を組む。そして彼にだけ聞こえるくらい小さな声で、囁く。
「セルク……近いうちに」
「あぁ、分かった」
――お互いに話したいこと、そして聞きたいことがあるんだ。
「まぁまぁ皆さん、本当に仲がよろしいのですね♪」
ラフィールが羨ましいと言わんばかりの顔でニッコリと皆を、見つめる。
「あ、えへへ。ハイッ! 皆、仲良しです!」
(そう、いつも……いつまでも。こうして皆で、一緒にいたい)
心の中でそう切に願う三日月は笑顔で、ラフィールの問いへ返事をした。
◆
――期待と希望ある未来への兆。三日月の右手の甲に光る、月の紋章。
三日月は自身の中に眠る大きな何かが動き出すのをうっすらと、感じていた。
会議中――母、望月が“鍵”魔法を解くための準備に行っていた、三日月が運命に向き合えるかどうかを確認するための方法。手をかざし願いながら愛娘に力を送っていた、煌めく丸い光の影響である。
◆
三日月の心には微かに力の解放への不安が、生まれていた。
自分の力(能力・魔力)を、ちゃんと受け入れることができるのだろうか?
そしていつか……力を使うべき時が、来てしまうのだろうか? と。
いつもお読み下さりありがとぉございます♪




