146 変化した夢の世界
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(ここは、どこだろう?)
広くて、美しい場所。見渡す限りに柔らかくフカフカとした草がありそれは寝転がっても痛くない、むしろ気持ちの良い草原。仰向けになったままで見つめる空には太陽の優しく温かな光が目を細めさせ、笑顔にする。
ふわっふわぁっふわぁ……。
(あっ! たんぽぽの綿……かなぁ? 楽しそうに飛んでる)
「いいなぁ……私も知らないうちに飛んでいけたら良いのになぁ」
怖くて辛かった記憶が見せていた、あの夢。
襲われた瞬間から背負い続けてきた様々な、記憶。今まで見えなかったその暗い世界からやっと解放された三日月の心身は信じられないほどに、穏やかである。
「はぅ~……落ち着くし、安心するよぉ」
三日月はそのぼんやりとした視界に映る景色やそよ風に揺れる草花から安らぎと癒やしをもらいそして、ゆったりのんびりとした時間を過ごせていた。
(そっか! ここは、もしかしたら……)
ふと三日月は此処がどこなのかと手掛かりを、手探りで探す。
そこは彼女自身の心が創り出した、新たなる場所。
――『煌めく夢の世界』であった。
◇
――なんだかすごく、良い香りがする。
夢と現実の狭間、感じる温かな光と空気。
そんな中で三日月は心地良く、目を覚ます。
「う、んん?」
見覚えのある、景色。
仰向けに寝たままで見える天井には揺れるカーテンと陽射しが織り成す光の波が、映し出されている。
――すごい、白い天井にキラキラって。
「綺麗だなぁ~」
三日月はカーテンと窓から吹くそよ風が作る波打ち際に見惚れたまま悠長に、光波が輝く天井へ手を伸ばす。
「…………」
カチッ、カチッ、カチッ――。
(綺麗な、時計の……お、と?)
「あれ……ちょっと待って……ここって」
――ま、まさかぁぁ!!
まだ三日月の思考はボーっと反応は鈍く重かったがこの光景は「デジャブ?」と思うほどに、信じられない。
(こ、こ……この場所は?!)
さすがに今、横になっているこの場所がどこなのかにすぐ、気付いたのである。
ガバッ!!!!
「ここは……ラフィールせんせぇの、お部屋だぁー!!」
思いがけない事実に驚き大声で飛び起きる、三日月。その直後「うっはぁぁ……」と、苦痛の声。
「い、いったぁ~い……うぅ、グスッ」
見た目は傷一つない彼女の身体。しかし見えない内側は悲鳴を上げるほどの痛みが電気のように、走る。それはまるで心の中の自分が『これ以上はもう動けない』と助けを求めているようであった。
「理由は分かって、これも仕方のないって……ぐす。でもこんなに痛いと……」
(きっと誰でも、泣いちゃいます)
そして結局、倒れ込むようにまた横になった三日月に――。
フワッ……。
(あ、なんて落ち着く“風”なのだろう)
頬に触れる暖かな風を心地良く感じながら再び目を閉じる。そしてまた眠ってしまいそうだなんて思いながら部屋に漂う澄んだ空気にすっかり落ち着いてしまった三日月の心は、リラックスモード。
(この感じ。精霊ちゃんたちかな?)
耳を澄まし集中するだけで、力は使わない。ただただ自分の中にある思いが精霊を呼び、惹き寄せるのである。
三日月は聴こえてくる可愛く小さな声に、笑みが零れた。
「そう! そういえば会議の部屋では一粒も精霊がいなかったような。どうしてだろう?」
考えれば考えるほど色んな疑問が頭の中へ、浮かび上がってくる。
そして、また――。
「んあー! だからどうしてぇッ!」
(なぜ?? 私は、ラフィール先生のお部屋にいるのぉ―!?)
ロイズからの魔法刻印入りの手紙から始まった今回の件。
秘密の場所とされる『最後の学びの場所【end】』での重要な話や様々な出来事。そこで自分の過去に関する記憶に向き合い乗り越えようとした結果――セルクの光魔法【想起】によって受け入れ戻った幼き頃の、記憶。
「うーん、最後……えっとぉ。星様が綺麗な魔法の杖で」
三日月は途中で気を失ったのだろうと考えた。そしてその直前まで起こっていたことを懸命に、思い出そうとしていたのである。
「パンドラ、星様の心にある箱の中……」
――『もう空っぽだった』
「そう、そうだ。私の中に記憶が無事に戻ったから……」
――『もう、必要ないんだ』
「そ……そ、れから――」
――『ザシュッ…………!?』
「い、嫌だ! やめてッ」
セルクが振り下ろした魔法の杖アステリアが、何をしたのか? その瞬間を三日月は見ていなかった。
(“漆黒色の槍”は、何かを貫いたの? まさか! 心の箱が!?)
「壊れちゃった、の? グスッ……星様の、心……は?」
――星様ッ!!
コン、コン、コン、コン。
「ふ、ふぇ? ぁいっ」
部屋の扉をノックする音に泣きながら答える三日月。そのウルウルした瞳に映った、人物は――。
「やぁ、月。目覚めて良かった……具合はどう?」
「ほ……ほし、さまぁ!」
「どうしたの? 大丈夫!?」
「だぅいあぅでしゅ~(だいじょうぶです~)」
セルクの身に何かが起きたのではないか? と思い込み心配で不安になっていた三日月の心は、安堵する。
(良かった! 無事に、本当に良かった!!)
仰向けだった体を横向きに両手で顔を隠すと三日月は大きな涙の粒をぽろぽろ零し「うっうぅ」と声を詰まらせながら小さい子供のように、泣いていた。
――まるであの日、森の奥で初めて言葉を交わした時のように。
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