表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/181

144 信じて

お読みいただきありがとうございます(≧◇≦)

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2300)



 星守空(セルク)が使った魔法――【想起(アナムネーシス)】。


 これは本来、闇魔法しか使えないセルクにとって夜空に輝く星たちから力を分け与えてもらうことで成立する、光魔法である。そのため自身の魔法技術や能力・実力があったとしても星たちの助けがなければ、成功しない。



 無意識に溢れ出たその涙を振るうセルク。(つや)のある美しい黒髪から地面までをまるで、雫が落ちるように一筋の光が真っ直ぐ、通っていく。


 キラ……シュッ――――。


 それは細く、長く、そしてとても、美しかった。


「我、心に宿りし星の力をこの手に――」


 セルクはその言葉と同時に何かを掴む仕草をする。そして一筋の光が変化した姿は、透明の(ステッキ)であった。


「うぅ……」


 セルクの完全なる光魔法【想起】が発動したことにより徐々に記憶を取り戻していく三日月はこの瞬間、事件の日に見た光景と自分の身に起こった危機を感じ始める。そしてあの恐怖や感情の全てが鮮明に蘇り一時的とはいえ、割れそうなほどの激しい頭痛と重くなっていく身体は全身痛みとなり、表れる。


 心の奥深くから湧き上がってくる、記憶。

――痛くて、辛くて、苦しいの。


 しかし三日月は必至でその現実と向き合い耐え続けた、そんな時。


「あ……」


 今は力ない彼女の潤む瞳にもセルクの魔法杖だけは、美しく映る。

(あれは? 星様の手に握られているのは、光の棒?)


「す、ごく……キ……レイ」

(透明だけど、うっすら見える。空に向かってキラキラって……あの細い光の中は、まるで海みたい)


 床に膝をついていた三日月の身体はだんだん想起の力で押さえつけられついにはその場に倒れるように、座り込む。

 しかし三日月の心は折れずに強く、意識を保ち続けることが出来た理由。


 それは――。

 セルクの手にふんわりと優しく現れた透明でまだ、ぼんやりとしている魔法杖。しかし三日月はその光を見つめているだけで感じる痛みや苦しみが心なしか、和らいでいた。


「うっく……ぅ」

(痛いッ! 耳が、辛い!?)


 苦手な大きな音は鳴っていない。

 むしろ“無音”だというのに三日月の耳は異常を訴える。


(まただ、どうしてかな? 耳に電気が走るみたいに。すごくツライよぉ)


「い、痛ッ」

 いつも以上に切れるような耳の痛みに耐えきれず両手で耳を塞ぎ、声を出してしまう。


(月、ごめん……ごめんね。結果的にこうして苦しめることになった)


――やはりあの日、僕がした事は、間違っていたのか?


 心が痛み精神が揺らいでしまえば三日月の記憶を取り戻すことにも大きく、影響する。セルクはそうならぬよう今やるべき【想起】魔法に集中しようと必死、しかし焦りを感じ始めていた。


(余計な感情は必要ないんだ。僕は……)


『私の可愛いセルク』


 頭の中で響いたその声に、ハッとする。


『大丈夫、信じて……必ず成功しますわ。だから自信を持ちなさい』


 それは白く輝かしい光の中で皆の様子を見守り祈っていたセルクの母、ルナの助言であった。


『これまで自分が身につけてきた力を、自分を信じるのです』


(母様……ありがとうございます)


『そして――三日月ちゃんの力を“信じて”』


 母、ルナの白い光が優しく部屋を包み込んだその奥から響いてくる、言の葉。その全てがセルクの心を正常に戻してくれる。


(そうだ、僕は。今やるべき事を、(まっと)うするだけなんだ)


『よしよし、お利口さんね、星守空』


(母様! そんなに子ども扱いしないで下さい)


『ふっふふ……』


 心の奥で会話をするのは伝心能力とはまた少し違った親子ならではの特殊能力――繋がりである。


 ルナの愛情でほんの少しだけ気持ちに余裕が生まれたセルクはいつもの冷静沈着さを取り戻した。


 変わらず美しく透けるような、白い肌。深く蒼い瞳は冷淡さを感じる。その鋭い視線は三日月を見つめ、名を呼んだ。


「セレネフォス=三日月様に、星の光を捧ぐ」


 キラ……ッ!!


(水の流れのような……そっか。あの日に星様がくれた)


 辛く苦しい時間(トキ)(やわ)らげてくれる光が三日月の心身に沁み入ってくる。そして今にも閉じてしまいそうになっていた潤んだ自身の瞳に映った、光景。


「ほ、し様」

(星様は男の子なのに……とても綺麗で、羨ましいくらい見惚れちゃう。キラキラしていて、まるで星屑に囲まれているみたいに、輝いている)


 忘れていた記憶の全てをパンドラの箱からほぼ取り込み終えた三日月は今、過去と現実の記憶に苦しむ。が、しかし。その苦痛を感じなくなるほど穏やかな気持ちになってゆく今の自分に内心驚きながらも――輝く光魔法を展開するセルクをぼんやりと見つめ、微笑んでいた。


 三日月から見つめられていることに気付かずセルクは最後の魔法を、発動させる。自身の真ん中を縦に通る光は水の揺らぎを感じさせ、そのゆらゆらな光線を両手で優しくゆっくり掴むとセルクは小さく静かに、言葉を発した。


「『星座(アステリア)――(・ライト)』」


((ぽちゃん))


 キィーン…………シュンッ!


 雫の落ちる音と共に完全なる形へと変化したセルクの持つ魔法杖は天空に向かって、彼の背よりも高く伸びていた。


 魔法杖の先はまるで星形のようにも見える。そして真っ直ぐに伸びた棒の中身は向こう側が透けて見えるくらいに澄んだ、透明。


 それは、まるで――。

 海の中で美しい気泡を、生み出しているかのように。


 そのセルクの魔法に「なんて神秘的な魔法杖なのだろう」と見つめていた三日月はふとある物を、思い出す。


「あれって“シュワシュワ”……みたい」



 魔法杖の輝きは月光の明かりを受けて波打つ海とそこに映る星のようであり、気泡はまるでソーダ水が弾けている様に見える。


 そして今、三日月が見上げたセルクは。


「月……」


 いつもと変わらぬ優しい声と、柔らかな笑みで。


 三日月を輝く光で包み込む魔法の杖を――振りかざした。


いつもお読みくださり

ありがとぉございます☆彡


『 関連のあるお話 』♪

~☆今回はこちら☾~


 ↓ ↓

第78部分【68 文化交流会2日目~正解~】


シュワシュワってなぁ~に?

この頃は……平和だったにゃあ( ノД`)シクシク…

三日月ちゃん! がんばれぇー!!

☆----------☾----------☆----------☾


次話もお楽しみにぃ☆彡


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ