表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/181

必話09 記憶の欠片(事件)

お読みいただきありがとうございます(/ω\)

こちらのお話は、読了時間:約6分です♪


(Wordcount2680)




〔三日月が襲われた事件と直後のお話〕


 光の森キラリに生まれ皆に愛され幸せに暮らす、幼き頃の三日月。

 笑顔の絶えない楽しく幸せな日々を送る中、のびのび元気良く成長していった。生まれてから“人並みならぬ力の持ち主”と密かに期待されていたがもちろん三日月自身に“そのこと”を伝える者は、いない。


 そのため『自分は特別な力を持つ存在だ』ということに気付くこともなく、無垢な心のままで、育っていった。


 しかし、その真っ白な幼心(おさなごころ)は――。


 三日月が五歳の誕生日を迎える前日に起こったあの事件により、崩壊した。



 人気(ひとけ)のない静かな森の奥。小鳥の美しい歌声が聴こえ、草木が踊る音や近くで流れる水の音、花の香りを感じながら深呼吸をする三日月は、今日も魔法を使っての練習を始める。


 いつもであれば護衛をつけての、外出。しかしこの日に限っては一人、森へと来てしまっていた。


「えっへへ、よぉし!」


 平和しか知らない四歳の三日月にとって一人で出かける危険を感じたことはなく、恐怖という感情を知らずにいた。


 何が起こるかの予測も出来ずに知る(よし)もない三日月は得意の技を自由気ままに展開し、腕を磨く。


『きらきらきらー♪ うっふふ!!』


 相変わらず遊びの延長のようなふわふわの魔法は、楽しくて仕方がないのだ。


 しかし、一時間程経った頃。


 ガサガサ、ガサッ……。


「ふぇ? なに」


 前から見知らぬ大人が数人、三日月の方へゆっくりと向かってくるのが見えた。


(なんか、あのひとたち……いやだ)


――その直感は、的中する。



「やっと見つけたぞ。その髪色、間違いない」

 ニヤリと笑いながら近づく、一人の男。


「……おじさん、だ~れ?」


「やぁ、お嬢ちゃん。一緒にお散歩をしようか」

 その者たちはじわじわと歩き、近寄ってくる。


「えっと、あのね? しらないひとについていっちゃダメって。おかあさまからいわれていて……」


「へぇ~そうなんだ! 偉いねぇ」


 知らない大人たちはもう手が届きそうな所まで、来ていた。


(あ、えー……どうしよぉ)


 三日月はこの時、生まれて初めて『怖い』という感情を、経験した。それでも人を信じることが当たり前だった、幼き頃。いつもと同じ無邪気な笑顔で「だれなのですか?」と、もう一度尋ねる。


――しかし相手は【(あく)】。


 この世界で最も有名な“悪業組織”であった。


 突然現れた見知らぬ人々の瞳にはぎこちなく笑う、自分が映る。「連れていかれそうだ」と察した三日月は「えへへ」と笑いながらも少しづつ距離をとり、動こうとしなかった。


 その感の良さに溜息をつく短気な悪の一人が瞬間で、三日月の後ろに回る。そして腕を急に掴むと、引っ張り抱える。


 ガシッ!!

「いたいよぉー」


「あぁ面倒だな、うるさいぞ!」

「お嬢ちゃん、俺たちが誰とか聞かなくていいんだよ」

「大切に扱えよ! 傷つけずに連れてこいとの、命令だったろ」


 全力で抵抗する三日月に「こうなればもう、力づくで」と、悪たちは三日月を抱きかかえ走り去ろうとした、その時――。


「やだー! いたいよ……たすけてぇッ」



――――キラッ……パァァァァッ!!!!



「うっ、なッ! なんだこの光は?!」

「うわぁぁぁ、光が、ヒカリがぁぁ」



((ぐわぁん…………))



「なんだこの歪み……は?!」

「お、おいっ! これはやばい、撤退するぞ」

「この子はどーするんだよ」



((ぐおぉぉ~…………ぐわぁ~ん……))


 これは【敵】だ、そう判断した瞬間に身体中から開放された、三日月の力。それは自分を連れ去ろうとした目の前にいる者の空間だけを動かし、無意識に――。



「待ってくれ! の……みこまれ……助け――」



 ドンッ――――シュン……。



「い、い、いなくなった!? どういうことだ」

「おい! 何を……どこにいったんだ!? この小娘、戻せ!!」


「……」

(わからない……えっ? わたし? なにしちゃったの?)


 逆上して向かってくる他の悪たちを見ても、立ち(すく)む足。


「敵が来る」――そう分かっていても三日月にはもう走るのはおろか歩き逃げることすら、出来なくなっていた。


(どうしちゃったの、かな? うごけないし、なにもわからないの)



「お前たち、何をやっている?! 離れろっ」


「……あ」

(ロゼ、だ~……よかったぁ)


 遠くから聞こえてくる気心の知れた、声。

 その人物は見張り役として望月に仕えている剣術師、ロゼであった。三日月は生気(せいき)を失った無の表情で声のする方をぼんやり瞳だけで確認すると、その場にパタッと倒れてしまった。


「――月さまぁぁ!!!!」



◆◇



 いくら未知数の力を持ち周囲が驚くほど順調に魔力と能力を伸ばしていたとはいえ、(あく)の侵入により三日月は経験したことのない恐怖を生まれて初めて感じ、大きなショックを受けていた。


 そして自分を守るため無意識に自身の持つ全魔力を開放し(敵ではあるが)人を“傷つけてしまった”、という事実。それを受け入れるには当時四歳の(やがて五歳になる)三日月には、重く、辛い出来事だったのである。



 襲われた日、気を失ってから約三時間後――夜のこと。

 上級魔法師である望月の治癒魔法の甲斐あってようやく、目を覚ます。


「あぁ三日月、良かった! お母さんよ、分かる? 痛い所はない?」


「……」

 コクッと、頷くだけであった。


 この時、三日月は光を失ったかのように淀む瞳でぼーっと、遠くを見つめる。襲われた時のことはもちろん――しばらく声も発さず、一言も話そうともしなかった。


「命が助かった。それだけで本当に、お母さんは嬉しい」

 そう話しかけながら微笑み、愛娘の頭を撫でる望月。


「……」

 三日月は力なく、少しだけ笑った。



 いつもであれば大人顔負けにおしゃべりをする、元気いっぱいの女の子。楽しそうに踊りや歌を聴かせる、そんな森の人気者だ。しかし事件直後、あのあどけない表情はなくなり、生気(せいき)を失った三日月の心はガラスのように割れて……崩れて……壊れてしまったかのように。


 その姿を目の当たりにした三日月の両親や関係者である者たちも無理に、詳細を聞こうとはしなかった。





 そして、七月七日――。


「「三日月~♪ 五歳のお誕生日おめでとう!」」


 パチパチパチ♪


 夜には予定通り、三日月のお誕生日会が開かれた。


 昨夜の事件を知らない森の皆は祝福モードで一気に、盛り上がる。参加者にはなぜか? 初めて会う旅の者たち(助けてくれた旅人)や、ライトの応援要請で王宮から連れて来た騎士たちのたくさんの笑顔に囲まれ、三日月は次第に声を取り戻し、楽しく素敵な時間となった。


「あ、ありがとうございましゅ……」


 こうして三日月は無事に五歳の誕生日を迎えることが、出来たのである。


 

 しかし、そのお誕生日会に――。


 旅の中心にいた“男の子”の姿は、なかった。


いつもお読みいただきありがとぉございます♪

『 関連のあるお話 』


~☆今回はこちら☾~

 ↓ ↓

第30部分


【必話02 消したい記憶 (事件)】


三日月ちゃんの辛い記憶トラウマ

魔力コントロールが出来なくなったのは

この事件が原因でしたにゃあ( ノД`)シクシク…


☆----------☾----------☆----------☾


いよいよ! トラウマを乗り越えるために。


次話もお楽しみにぃ(⋈◍>◡<◍)。✧♡

また読み読み来てくださいネェん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ