139 芽吹いた感情
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こちらのお話は、読了時間:約4分です♪
(Wordcount1860)
三日月の両腕に抱きついたままだったメルルとティルはその光に過剰反応!!
「キャー♪ キラキラぁ~! にゃあ~!!」と走り回り、光の粒を部屋中に舞い散らせていた。
「まぁ! メルティちゃん、楽しそうねぇ」
うっふふふ~と笑いかけたのはセルクの母(今は白い光の姿だが)、【静寂の森】を護る守人――癒しの魔法師ルナである。彼女もまたアスカリエス家の者であることに、変わりない。メルルとティルのことはロイズ同様、我が子のように思っており愛称は『メルティ』と呼んでいる。
「ふにゃぅ~あぁ? これはすごいのね、綺麗だのぉ~ん」
「あらあら、本当! そうですねぇ、月さん魔法……ん~ん~? こ、これは?! まさしく“愛”の!! チ・カ・ラ? が、なせるわざ! なのでしょうかねぇ」
――ガターんッ!
「「エッ!? ど、どういうことだ!!」ですの?!」
椅子から勢いよく立ち上がった二人は――三日月の両親、望月とライトである。ラフィールのうふふ気味な衝撃の言葉に驚き、声は上ずりそれは見事にハモる。
「うふふ♡ いやですねぇ~お二人とも、冗談ですよぉ♪ じょ・う・だ・ん♡」
にやにや~っとしながらラフィールは得意の飛躍魔法で、逃げる。
「おい、こらっ! ラファエル!!」
「まぁ~……そう、なのかしら?」
目に入れても痛くないほど可愛い可愛い娘の事を心配する、二人。特にライトは父としての寂しさからなのか? 「どうなんだぁ!?」と言わんばかりの表情で遠くにいるセルクの顔をじーっと、見つめている。
しかし、ある意味ライトからの“熱い視線”に全く気付いていないセルクは三日月を見つめ、微笑んでいる。
「ライト様? まぁまぁ! お気になさらずですよ~」
その視界をぷかぷかと浮かんで(飛んで)遮り、宥めるラフィール。
「な、何を言う!! 俺は何も……気にしていないぞっ!」
慌てながらフンッ! と、そっぽを向くライト。
「もぉ~ライトさん。三日月を取られちゃうと思って、きっと寂しいのねぇ」
自分の頬に手を当て「ふぅ~ぅ……」と、ため息を漏らしセルクと三日月を見た望月の表情は少し、嬉しそうにも見える。
「あーらら、大変なのネェ~ん」
その様子を遠くから心配そうに……というよりは悪戯な表情でニカッと笑いながらライトたちを見つめる、ランス。
キーラキラキラキラぁ~!!
「にゃあぁ~い♪」「にゃほぉ~い♪」
パタパタパタ~――――。
メルルとティルの跳躍する動きに合わせ一緒に、舞い上がる光。
皆がそのキラキラの光粒に盛り上がる中、ロイズだけは――。
「さて、どうしたものでしょうか……」
(困りました、ねぇ)
ふと一言、呟いたロイズは再び眉尻を下げ三日月とセルクの様子を、静観する。
しばらくして二人の世界に入っているセルクが、口を開く。
――『星様の苦しみは、私が全部もらいます』
「月、僕は君がくれたその言葉以上に、この世界で幸せなコトバを知らない。そう思う程、これから先ずっと……心の支えになるよ。本当に、ありがとう」
「そ、そんな大げさです!」
りんごのように頬を赤くして恥ずかしそうな三日月の、可愛い笑顔。その瞬間、セルクは初めて――心に芽吹いた、ある感情に気付く。
(君に出逢えて、良かった。そして……)
その瞬間、無意識に三日月の髪へ手を伸ばしそうになるが、しかし。
ハッと我に返ったセルクはすぐに自分の手を強く握り、戒めた。その様子を誰にも悟られないよういつもの涼しい表情で、話を続ける。
(僕が、僕は。絶対に持ってはいけない、この感情――)
「うん、やはり君は僕にとって」
(三日月、君のことを心底から)
「きっとこの世界にいる皆にとっても、希望の光だから」
(抱きしめたいほどに、愛おしいと想ってしまったんだ)
◆
その優しさにいつも、癒されていたんだ。
君から溢れるキラキラの笑顔に、僕は。
そして、いつしか忘れ、失っていた。
心からの“笑顔”を、取り戻すことが出来た。
(でもね。この想いだけは、許されないこと)
――宿命のためだけに、生きる。
それが、僕が生まれてきた意味だから。
君の事が、大切だから。
心の氷を溶かしてくれた、君だからこそ。
(ずっと傍に、いたいからこそ)
僕は、君の事を。
“護る”ことでしか、傍にいられない。
――もしも……もしもこの先、君が。
僕と一緒にいることを願い、想ってくれたとしても。
(いつか必ず僕は、君を。悲しませることになる)
そう、始めから。分かっていたんだ。
――僕の役目は、ただ一つだけ。
アスカリエス=星守空として、
セレネフォス=三日月を、護ること。
だから、僕はね。
君を……三日月の事を。
好きになってはいけないんだ――。
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