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138 【闇】と【光】のバランス

お読みいただきありがとうございます(≧◇≦)

こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2170)


 【闇】と聞いただけで良くないイメージが自然と、頭の中で膨らむ。

 ただそれは、三日月がそう思うのも無理のない話であった。



――『闇は人の心を、思考を。マイナスの方向に引きずり込んでいくもの』



(ずっと……子供の時からそう、教えられてきたから)


 (key)による力抑制があっても一般の人と同じくらいの魔力・能力を持つ三日月は、無属性によるオリジナル魔法を主に使える。だがもちろん、様々な属性魔法も得意不得意なく魔力平等に、使うことができる。


(思えば私は今まで、【闇】の魔法に触れることがなかったんだ。そしてその魔力を扱う人と関わったり、使う必要のある機会もなかったから)


――ただ私が、()()()が。闇の魔法を知らないだけなの?


 自分の心に問いかけ、しばらく考え込む三日月。その様子に少しだけ眉尻を下げたセルクであったがすぐに表情を戻し、口を開く。



「月は……僕がこの眼鏡について話をしたことも、覚えているのかな?」


 そう言いながらセルクは自分のかけている眼鏡に右手の人差し指と中指の先で当て微笑み、話し始める。


「はい、もちろんです」


――魔法の眼鏡。

 生まれつき“モノクロ世界”しか見られないセルクの視界に色彩(いろどり)を与えようと試行錯誤した父、ロイズが創った眼鏡である。


「この魔法の眼鏡は憧れだった“色のある世界”をくれた。しかし、夢を手に入れた代償は大きく、僕の身体は“光”への拒否反応を起こし、長く苦しんだ」


「はい、とても。とても、胸に突き刺さるようなお話でした」

(今でも「理解できた」だなんて言えない、私には想像もつかないような事で)


 あの時間(とき)を思い出した三日月はグッと締め付けられ苦しくなる胸を、押さえた。


「月、ありがとう……それでも、僕には光が必要だったんだ。そのためには自分の中にある()()と戦い、それを乗り越えなければ【光の魔力】を手に入れることが、出来なかった……から」


 セルクは自分の両手のひらを見つめ、声を詰まらせる。


「星様……」


 いつ終わるのか分からない身体の中(心)で激しく起こる、反動攻撃。眠る時間すら与えない程の、苦痛。少しでも気を抜けば、温かな光が闇の中に消えゆく映像が頭の中で、浮かんでいた。


――――『苦しいよ……辛いよ……(助けて)』


 誰にも言えない、その思いを。一人で耐え続けた長い長い期間を経て、やっとの思いでセルク自身が生み出した方法は――【闇】と【光】のバランスを崩さぬようにコントロールをし続けることが必須条件となる、融合魔法。


「僕が主力として持つ魔力が【闇】だ。その相反する魔力……僕が身につけられるはずのない【光】を。身体の中で仲良くさせるのは、とても難しくてね」


 少しだけ冗談交じりで余裕があるかのような、話し方で。乱れた心を冷静と(つくろ)う言葉を挟みつつサラッと話し続けるセルクは、三日月にニッコリと笑いかける。


(星様、お願い。無理しないで……)


 三日月は溢れそうになる涙を必死で(こら)え、セルクを見つめていると、目が合う。そしてあの日と同じ――セルクが隠す辛い本当の気持ちがひしひしと、自分の心に流れ込んでくるのを感じた。


「……だから、あの日『運命に逆らう』と。そう言っていたのですか?」


「うん、そうだね。あぁ、でも厳密には」

 そう言うとセルクの顔は強張(こわば)り視線は父、ロイズへ向く。


 視線に気付いたその美しい顔は一切動くことはなく、厳粛に曇らせたままの表情でロイズはゆっくりと目を瞑り、頷いた。


 それを確認し瞬きをする、セルク。それから言葉の続きを、話し始める。


「そう、僕は光を『手に入れた』わけではなく、『取り込み』に成功したんだ」


 ふわっと微笑みながら三日月の瞳を見つめ、語りかけるように「そう言った方が正しいかな?」と、答えた。


「……ん、と」


(『取り込んだ』のであれば、同じように光は星様の中に……?)

 今日は不思議な話ばかりで難しいなと、三日月は首を(かし)げてしまう。


 それを見て一緒に首を傾げながらフフッと笑ったセルク。「不思議、かな?」と三日月へ、説明の補足する。


「つまり僕は、十数年間やれることをやってみて。今の時点で光の魔力を使えるようにはなった――しかし『運命には逆らえなかった』と。自分の一部にすることは結果として出来なかった……それが今の状態、かな」


 ズキンッ――。


(いつもと違う、星様の声)


 優しく流れるようなセルクの言葉はなぜか? いつもの落ち着ける声ではないように感じた。そして話を聞くたびに三日月の心は、ズキズキと痛む。


(泣いちゃダメだよ、三日月! 伝えないと)


「あ、あの、星様。私の思いは、あの日から気持ちは! 変わらないのです」


「えっ……三日月。どう、したの?」

 突然の言葉に驚いたセルクは三日月の、潤んだ瞳をじっと見つめる。


(あの日に言った私の言葉に嘘はないって)

――伝えないと!! あの日に言った『約束』を。


「あ、あのね! 星様の苦しみは、私が全部もらうって言ったこと!!」


「三日月、君は本当に……」

(どこまでも、自分より相手の事を思いやるんだね)


 ほやっと柔らかな笑顔に変わるセルクの表情にやっと、安心した三日月。そして嬉しそうに頬を染め「えっへへ」と満面の笑みでもう一言、小さな声で呟く。


「星様、約束……です」


 はにかんだ三日月の言葉はまるで魔法のように、会議の部屋を明るく照らす。

 そしてセルクと三日月を囲むように輝く光の星屑が、降り注いでいた。


いつもお読みいただきありがとぉございます♪

『 関連のあるお話 』


~☆今回はこちら☾~

 ↓ ↓

第80部分


【70 文化交流会2日目~モノクロ~】


『痛い冷たい……苦しみは。私が全部もらいます!!』

三日月ちゃんが星様に言った言葉……約束。

セルクの白黒の世界を知った場面が

描かれているのでしゅ~(*´Д`)h はぅ。


☆----------☾----------☆----------☾


また読み読み来てくださいにゃん(=^・・^=)


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