129 ゆらゆら、美しく
お読みいただきありがとうございます(*´▽`*)
♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪
(Wordcount2220)
◆
『父様、見て下さい! 僕、ここまで魔法が使えるようになりました!!』
『あぁ、星守空。素晴らしい、が。まだまだ、その力がたくさん必要なんだよ』
『そうなのですか?』
『セルクよ、もうすぐお前も五つになる。そろそろだ……な』
(行きたくないよ。僕は、母様と父様のそばに!)
『……はい。僕、頑張ります』
『良い子だね、セルク』
――ほら見てごらん、この夜空を、この星たちを。
『美しいですね』
『そう、守るんだセルク。この夜空と、そしていつか時を迎え現れる、月の救世主を』
――そうだ、来る日も来る日も。この月世界がいつまでも耀ためと僕は、誰にも頼れず泣くことも許されず、親に甘えることも知らず。いつしか心から笑うことさえ忘れて。そうやって苦しみながら力をつけてきた。
星空を守るという美しい宿命を、背負って。
◆
「月さん、少しよろしいですか? こちらへ来て頂けるとありがたいのですが」
映し出されたセルクの母ルナと楽しそうに話し続けていた三日月にそう声をかけ笑顔で――ゆらゆらと手招くのは、ロイズである。
「申し訳ありません! お話が楽しくて、つい」
恥ずかしそうにしながら、呼ばれた席へ向かう。そこには変わらず冷たい表情のままでロイズの斜め後ろに立つ、セルクがいた。
(星様……元気がないみたい? どうしたのかな)
そう感じた後すぐ何かに気付き、思い直す。
この会議で聞いた話――セルクの母ルナが声が出せない理由は恐らく、戦いにより致命傷を負ってしまったという先程の話と何か関係があるのでは? と、三日月はその考えに、思い至ったのだ。
だとすれば、セルクが哀しく冷たい表情や雰囲気をしているのも、納得である。
――しかしその三日月の考え得る状況よりもっと深く衝撃的な話が、語られ始めた。
「月さん、ルナと仲良くして下さってありがとう。その貴重な時間を邪魔してしまって、申し訳なかったですね」
「いえいえいえいえ!!」
そう謝罪の言葉を口にしたロイズに頬を赤くし、恥ずかしそうにする三日月は焦り慌てて自分の顔を隠すように手を、ブンブンと振った。
その姿にいつものようにふふっと笑いながら、ロイズは続ける。
「その月さんから放たれるオーラ、素敵な人柄に惹かれているのでしょうね。この子が持っていない心、今までに出会ったことのない輝きを持つ光。そんな貴女は、初めて友人と呼べる方なのでしょう」
「ふぇ?」
(この子? 友人……あぁ! 星様のことかな)
不思議そうな顔でロイズの言葉に耳を傾ける三日月に、会議部屋にいる皆の視線が向いた。
「月さん、これから大切なお話があります。場合によっては、最後まで内容をお伝えすることが出来ないかもしれませんが」
「はい、心して」
ほんの少し前に感じたロイズの放つ魔法の力。
星屑のように煌めく光の粒を見たあの瞬間から抱いていた不安のような、感情。
――あぁ、きっと何かが始まる。
今まさにその予感が的中するのだと、三日月は確信していた。
「セルク、良いね?」
「はい、問題ありません」
ロイズの言葉に静かに答え頷くセルクから滲み出る苦しみが、伝わってくる。そして見ているだけで痛い程感じる哀情に、一体何が起ころうとしているのだろうかと三日月の心を、ざわつかせていた。
「では、まず私の自己紹介をしておきましょう」
「えっ? ロイズ先生の、ですか?」
そうですと呟き目を細めるロイズはフッと、微笑む。いつもなら安心するはずの笑顔は今、三日月の心をギュッと締め付けていた。
(気持ちを強く持って……頑張れ、私!!)
心の中で自分に気合を入れる三日月は周りに見えないよう腰の辺りで、右手のこぶしを握る。
――そして一瞬にして無に近い空気が漂い、ロイズの話は始まった。
「私は、現ルナガディア国王任命の七守護騎士のうち、王国内部と王宮の護衛をする者の、一人でございます。ご存知の通り、普段はルナガディア王国が管理するこの学園で魔法科最高責任者として、動いております」
「ロイズ先生は守護騎士のお一人だったのですね」
驚きつつも三日月は話を聞き逃さぬようにと、必死になっていた。その時にふとセルクの冷たく凍った瞳を見つける。何を言うわけでもなくただただ、二人は表情も変えずにじっと見つめ合っていた。
(星様の瞳……深く深い海――光届かぬ暗闇の深海みたいで)
――悲しいの?
思わず心の中で問いかける。しかし数秒後にはその三日月が放つキラキラと煌めく瞳が眩しく感じたセルクは淋し気に眉を憂いひそめ、視線を逸らしていた。
二人だけが繋がる空間。
その時を見計らっていたかのようにゆっくりと、瞬きをして待っていたロイズ。優しい声で次の言葉は伝えられる。
「本日は三日月様へ、私の正式名を申し上げます」
頭の中に響く声にハッと我に返った三日月はまた、不思議そうに聞き返した。
「私に“様”だなんて!! えっと、名前……ロイズ先生では?」
そんな素直過ぎる三日月の反応は緊迫した大人たちの心に、余裕という隙間を生む。
「三日月、ロイズ様のお声をよくお聞きなさい」
遠く席から母、望月の声がした。辺りを見渡せば皆が自分を優しく、見守るように見ていることに、気付いた。
(様子が――何かが、違う)
「……ロイズ、先生」
「正式名【アスカリエス=ロイズ=天守空】です」
そして「初めて申し上げますね」と言うとまた、微笑む。
「え、アス……?」
あまりの衝撃に言葉を失う、三日月。その様子にいつもの穏やかなトーンで、セルクは囁いた。
「そう、ロイズ先生は」
――――僕の、父だよ。
お読みくださりありがとぉございます♪
『 関連のあるお話 』☆
~☆今回はこちら☾~
↓ ↓
第101部分【89 「思い」と「想い」】
手を振る時は
“ゆらゆら”なのですよぉ~(笑)
(この部分手直しが終わっていないのですが(;´▽`A``)
☆----------☾----------☆----------☾
それでは♪
次話もお楽しみにぃ(/ω\)




