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126 天使【ラファエル】

お読みいただきありがとうございます(*´▽`*)

♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪


(Wordcount2700)


 全てを想定しているロイズは一瞬たりとも表情を変えなかった。その落ち着いたオーラは部屋中に満ち、そのおかげか平静な空気を皆、保っている。そして三日月の問いには全く表情を変えずに、答え始めた。


「そうですね。ラフィもまた妖精であり性別のない個体です。しかし、ラフィの場合は元である精霊の格が違いますので――」


 そこまで話すとロイズは口をつぐむ。その代わりにと言わんばかりに三日月の耳に優しく響き聞こえてきたのは、ラフィールの声である。


「月さんに、本日ここまで私のお話をするつもりはなかったのですが。ロイズ様のご意向も踏まえて……まぁ~せっかくの機会ですし、ご説明申し上げますねッ」


「え、あの」

(ラフィール先生は、いつもそうやって明るく笑うの)


 いつもにこにこと安心させてくれる笑顔。面白く冗談大好きで時に見せるお茶目さは誰もが憎めぬ、上級能力講師ラフィール。その陽気さに身体の治癒だけでなく心を助けられてきた生徒や他者も、少なくない。


――三日月もまた、その一人である。


 ラフィールは美しい純白の羽をゆっくりと広げ、光を放った。まるであの金の砂時計の中、夢の空間へ(いざな)われたかのように、キラキラ魔法に身体中が包まれる。


「綺麗……」


 目を細め穏やかに微笑む三日月の様子を見たラフィールは息を整え、“声”を発した。その姿は丁寧な挨拶をする姿勢から三日月に頭を下げると、言葉選ぶように語られ始める。


「まず始めに、私が三日月様へお伝えすべきこと。それはこのルナガディアの夜空にも日々、美しく(きら)めいている月。その世界で統制をされるあの()()(めい)により任務を与えられた精霊。()()それにございます」


「煌めく月、御方……」

(その世界って。一体、誰のことなの?)


 疑問を胸に抱いたままの三日月であったがしかし、ラフィールの話は留まることなく水の流れのように流暢(りゅうちょう)な口ぶりで、続く。


「今見えている私の姿は、ロイズ様にお力を与えて頂いて、メルル・ティルと同じよう契約を交わし、妖精へと変化(へんげ)したもの。そして間違いなく私は性別を持つなどという考えを持ったことはなく、月より与えられた仕事を……お役目を果たすため()()に、この世界へ来たのです」


「そんな、役目のため()()、だなんて」


 その瞬間、三日月はハッとする。

(そう、あの時もそうだった。星様も、同じようなことを言っていた)


――それに、世界って?


 ポンッ!

「ふ、ふぇ?」


「うっふふ。やはり月さんは心優しき、可愛い女の子ですねぇ」


 考え込みそうになる三日月の頭に手を乗せヨシヨシ~ナデナデをする、ラフィール。次第に心穏やかに落ち着いてきた三日月が見上げた恩師の美しい瞳はいつも以上に、潤んでいる。


 その瞳に見惚れながら三日月は言葉を選びつつ、質問を投げかけた。


「ラフィール先生は、その……なぜ、ラファエル、なのでしょう?」


「あらあら、さ~すが月さん♪ 察しがよろしいですねぇ」


 ラフィールは腕を組み「うんうん、気になりますよねぇ」とまるで他人事のように目を閉じ頷く。その様子に「せんせー?」と冷ややかな目でジーっと見つめる三日月。


 二人のやり取りに周りはクスクスと笑うと、ふとランスが口を開いた。


「ふにゃぅ~、ラッフィ揶揄うでないのぉ。三日月ちゅきが可哀想でなぁ~ん」


 そのひと言で皆の笑いはクスクスからあっはは~と声を出した笑いに変わり雰囲気は、明るく上がっていった。この和やかムードで平和な心情をいとも簡単に作り出すラフィール。それが生徒や皆から愛されている、所以(ゆえん)でもある。


「はいは~い、ではでは」

 ルンルン気分でふわり飛びながら、三日月の質問に答える。


「月さんは、この会議のお部屋へ来る際に私が魔法展開した時の言葉を、覚えていらっしゃいますか?」


「んあ、えーと。『ツキノセカイニ(月の世界に)ツカイツカエシシャ(遣い仕え使者)……』でしょうか」


「ご名答! あの状況でよく聞いて下さっていました。やはり三日月様の“耳”は良いのですねぇ」


 ラフィールが嬉しそうに羽を動かし笑う。それを不思議そうに首を傾げ見る三日月は心の中で、呟く。


(私の“耳”? きっとみんなと何も変わらないと思うのだけれど)


 視線がラフィールに向く中、皆にも話されていなかった真実が、語られた。





 高く高い美しい大空の向こう――月の世界にある天空の国【ウラノムーン】(これは統制者の名でもある)。そこでラフィールは天使【ラファエル】という名で日々、穏やかに過ごしていた。


 そんなある日、平和しかない天空の国にホワイトブロンドの髪を(なび)かせた傷だらけの月人(つきびと)が、姿を現す。その煌めく彼女の美しさはかつて“奇跡の花”と呼ばれ愛された人物だと、そこにいた誰が見ても一目(ひとめ)で分かったという。


 その月人は人間の暮らす地上で起こっている悪の所業による被害、その悪以上に謎の力を持つ【(つひ)】という存在が現れるとされる恐ろしい時代――何千年かに一度の“終末奇”が、襲ってきたと話した。


 地上全てに影響する可能性があったという【終】との戦い。それに立ち向かう力を持つとされた月人の力によって、世界の終わりは止めることが出来た。が、討ちきれなかったのだと、月の世界を統制するウラノムーンに助けを求めてきたのだという。


「一見、倒したと確信するかのような最後でした。皆はとても喜び合っております。しかし事実は違う、(わたくし)はその歪みをまだ感じるのです。恐らく【終】はまだ生きております。私の力不足がゆえに討ち損なった……討伐することが出来なかったのです」


 地上から月の世界へ上るには、とてつもない魔力が必要であった。しかし自分に与えられた宿命を全うすべく戦い直後であっても、最後の力を振り絞り天空の国まで来たのであった。


「また訪れるであろう“終末奇”、何としてでも皆を護り、最後としたい」


――どうか、ルナガディアの未来に、世界にご尽力を……。


 美しきホワイトブロンドの髪をキラキラと(きら)めかせながら彼女はそう言葉を残し、そこで力尽きた。





「それから何千年経ったのでしょうかねぇ、うふふ~。終末奇の足音が聞こえ始めたのが、ついこの間……あっ、皆様にとっては十年以上前のお話ですね♪ 変わらず天空で暮らしていた私は、月の統制者ウラノ様の(めい)を受け、精霊として(いのち)を与えられこの地、ルナガディア王国に降り立ちました」


 この話を聞き皆、驚きの表情を隠せない。唯一、顔色を変えずに聞いていたのはもちろん、ロイズだけである。


「な、ラフィール!! そりゃつまり、王国(ここ)に残る〔重要文化歴史書物〕にも記されていない。そのような大事な歴史が、ルナガディアにはあったというのか?!」


 あまりの衝撃で言葉を失う会議参加者。その中で第一声を発したのは三日月の父、ライトであった。


お読みくださりありがとぉございます♪

『 関連のあるお話 』ヾ(≧▽≦)ノ


~☆今回はこちら☾~


 ↓ ↓


第73部分【63 文化交流会2日目~宿命~】


星守空セルクの名前の由来について書かれた

お話でしゅにゃ。

三日月への特別な(謎めいた?)

想いを描いた回でもありました!!


☆----------☾----------☆----------☾


ではでは(/ω\)

次話もお楽しみになのなの☆彡


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