123 一人ひとりの笑顔
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母、望月の乙女のような振る舞いを見た三日月の頬は、一緒になって赤くなる。
どんな時でもお互いを大切にし、思いやり護り合う両親の背中を見て育った三日月。そんな二人には頭が下がる思いであったが……。
「あのぉ~えっとお父様、お母様? 皆様の前でちょおっと仲良すぎで、私まで恥ずかしいのですが」
そろそろと三日月は娘だからこそ言える、言葉をかけた。
「あぁ! お恥ずかしいですわ。失礼いたしました」
二人の世界に入っていた望月は我に返りさらに、顔は真っ赤。
「失礼を……っていや、しかし待ってくれ! これは父さんの本心なのだ」
まだまだ真剣な顔で愛を語ろうとするライトであるがそこは愛娘、三日月が止めに入る。
「もぉ~お父様!! 分かりましたから、ハイッ! ありがとうございましたぁ」
恥ずかしいよぉ~と父、ライトを席へ座らせる三日月。その周りで皆は「仲の良いこと」と微笑する。落ち着く雰囲気の流れたこの時間は間違いなく皆の心を、和ませていた。
――キラリの森でもセレネフォス家は皆の癒やし、和ませる存在である。
そうなることを誰に頼まれたわけでもなく自然に森の皆から慕われ、そのようになっていったライトと望月。二人はなんと喧嘩をしたことがなく仲が良すぎることで有名だ。
(なんだかんだ言っても、心から尊敬する両親には変わりない)
三日月は心の中でそう呟きながら幸せそうに、微笑む。
そんな両親がいつも口癖のように言っている言葉――「恐れるな。いついかなる時も、相手の立場に立てば見えてくる。そして気持ちを察し思いやること。今こうして穏やかに暮らせる幸せな日々に、感謝の心を忘れずに。一瞬、一時を大切に過ごしなさい」そう二人は三日月に伝え、育ててきた。
そんなライト、望月の人柄もさることながら…‥二人の信頼できる力がキラリの森に暮らす人々の心へ絶対的安心感と、幸せを与えていた。
「にゃあたち(ライト、望月)は変わらんのぉん、にゃっふぁ~」
月の加護――その証である月の紋章を持つ三日月がこの世に生を受けた日、それからずっとセレネフォス家を護るように日々、見守ってきたランスは目を細め感慨深そうに、家族三人を見つめた。
そんな和やか幸せムードの中、何やら賑やかさが急上昇!!
「「うぅぅうぅ~ッ」」
(んっ? う、うぅぅ~……って声が)
突然の高く弾むような声に振り返る、三日月。その視線の先には。
たったったったった~♪ ドーンッ!!
「おっと、んっ? ふっふふ」と、ドンされても微笑する、優しい声。
「んっにゃは~メルルも紹介してしてぇ♪」
「んっにゅふ~ティルも紹介してしてぇ♪」
なんだか幸せそうで楽しそうなんだもぉんとメルル・ティル。私たちも仲間に入れてぇ~自己紹介してぇ~と、ドーンッ!! した相手に勢いよく、せがむ。
「え、えー?!」
三日月はいつの間にか傍からいなくなっている二人に、ハッ! と気付いたが、時すでに遅し。
「「ねぇねぇねぇねぇ~!!」」
「はぁい、降参です! 参りました~ふふっ」
メルルとティルの可愛い姿に相好を崩す。そしてライトの方をチラリと見て笑い、話しかけている人物――双子ちゃんがせがんでいた相手とは。
「ふふ、ライト? この子たちは本当に愛らしいね。君の教育がとても良いようだ」
大妖精ランスに負けず劣らず、また違った魅力で優しく穏やかな美声。そう、メルルとティルはなんと! あのロイズに抱きつき駄々っ子のように、お願いをしていたのである。
「ぅあ、うあ~!! メル・ティル待ってぇ」
(んななぁ、えぇ~?! いつの間にロイズ先生のところにッ! 大変だぁ)
ダメだよ二人とも~と三日月は、申し訳なさそうな声と表情。そして急ぎ足でロイズの元へ駆け寄り、メルルとティルの手を取る。その瞬間の三日月の感情はこうだ――。
(メルルちゃん、ティルちゃん、勘弁してぇ!!)
その慌てふためく三日月の姿に優しく笑いかけてきたロイズは、一言。近付いた耳元へ触れるとあの日と同じ、とてつもなく甘くて優しい柔らかな美声で、囁きかけてきた。
「月さん、大丈夫ですよ。私からもお願いし、この子たちも望んでこの世界に生まれ変わってもらった命。その父である私が紹介することは、間違いなく適任でしょう」
「う、うっわぁ! ろいじゅせんせ~?!」
突然の慣れない出来事に驚き動揺した三日月の声は裏返り顔はりんごのように、真っ赤である。それを見てクスっと、また悪戯に笑う様はやはり、なぜか? ラフィールに似ているなと、感じた三日月であった。
そして、さらに思ったことは。
(この声って……まさかあの時に聞いた、綺麗な声のアナウンス?)
三日月は何かに気付き文化交流会二日目にあったメインイベント、夜会(舞踏会)での記憶を思い返していた。すると横から強めの大きな声が、耳に届く。
「ロイズ先生! いくら我が子のように可愛いとはいえ、月を揶揄い過ぎるのは、おやめください!!」
いつも穏やかで落ち着いた印象の彼。しかしここに来てからは何かが違っていた。珍しく感情を表に出し、あのロイズに遠慮なしに怒りをぶつけるのは――。
「いやいや、そんなにヤキモチ……怒らないで? セルク」
そう、星守空であった。
そんなのお構いなしでニコニコとセルクの言葉を受け流すロイズは無邪気で楽しそうにしていた。いや、とてもワクワク嬉しそうにしているという言葉の方が合っているような、そんな笑顔。
「なっ、そんなことは!」
セルクは言葉に詰まり唇を噛みしめ右手の拳を自分の口元に当て、紅潮していた。そして視線の先にいる三日月と、目が合う。ロイズとメルル・ティルを間に挟みそのまま見つめ合う二人の何とも言えない雰囲気が、部屋中に広がる。
集まる皆はその様子を微笑ましいなぁと、二人の世界を邪魔しないように静観していた……はずだったのだが。
にゃにゃ! 「うにゃっふ♡ 若いッ! 初々しぃ過ぎりゅなのよぉ~ん」
うっふふ♪ 「あらあら、セルク君と月さんてば! 仲睦まじいですねぇ」
うぅぅう?! 「お、おい? 待て待て! 娘と……そ、そうなのか?!」
コソコソと遠くで盛り上がる、会議参加者たち。
「シーッ!! 皆様、静かにしていてください!」
ボソッと小さな声で皆の興奮を抑える母、しかしそう言った望月もまた、自分のことのようにドキドキしながら見守っている。
うにゃうにゃとランスたちが言っている声は全く聞こえていない、セルクと三日月。
「ほ、星様……」
「いや、月すまない。少し感情的に――」
羞恥の念にかられた表情で話すセルクの言葉を遮るように三日月は、はにかみながらお礼を伝える。
「あの、星様のお言葉。う、嬉し……かったです。ありがとうございます」
「……月。いや、そんな」
セルクはとても驚いた顔で三日月を見つめ、すぐに安堵した様子で微笑む。その空間は二人を繋ぐかのように色を変え一瞬ふわりと、光の風が吹く。
「…………」
(あまり……仲が良すぎるのも、ねぇ。考えものですが――)
セルクと三日月の間に挟まれ様子を見ていたロイズは優しく微笑みながらも、意味深な言葉を心の中で思っていた。
お読みくださりありがとぉございます♪
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~☆今回はこちら☾~
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第83部分【73 文化交流会2日目~夜会の始まり~】
今回終わりに少し触れたお話から♪
三日月が一瞬で虜になった綺麗なアナウンスの声!
セルクの表情(言葉)にもご注目でしゅ(笑)
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ではでは(*´▽`*)
次話もお楽しみに☆彡




