表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/181

116 輝く精霊

お読みいただきありがとうございます(◕ᴗ◕✿)

♪こちらのお話は、読了時間:約8分です♪


(Wordcount3950)


 満面の笑みで嬉しそうにしていたメルルとティル。しかし突然何かを思い出したかのように、三日月の膝から離れロイズのもとへ走って行く。


「メル・ティル……どうしたの?」


 三日月は二人が何かするのではないかと、ひやひやしながらその背中を見つめていた。すると思った通りおかしな行動と三日月の耳を疑う言葉を口にしたのである。


「んっきゃああ♪」「うっきゃきゃ♪」

「「()()しゃああ~ん♡♡」」


――は、はいっ?


「えっと……メルルさん、ティルさん? い、今なんと」


 どういうことだろうかと固まってしまった三日月。確かにメルルとティルの生まれた場所、両親や親戚のことなど一切何も知らない。が、まさかのまさかという展開に、それ以上の言葉を失う。


 数十秒、時間が止まったような微妙な空気が会議の部屋の中を漂っていた。その後、何事もなかったようにロイズや皆は次の話へ進もうとする。


「え~、それでは」


「え、エッ? ちょおっと待ってくださぁぁい!!」


 さすがの三日月も黙ってはいられず、真っ直ぐと上に右腕を伸ばし止めに入った。


「どうぞ月さん。まぁ〜とても美しく素晴らしい挙手、ですね」


 ロイズは涼しい顔で三日月の声に応え、にこにこ。それをテーブルを挟んで前の席で見ていたランスが吹き出しお腹を抱え、大きな声で笑い始めた。


「ぷぷっ! うにゃっははははぁ!! ロイちゃんそれは無理だってぇ、話しておあげよぉ。うふ~月ちゅきが混乱した状態で会議したってダメのぉ~ん」


 そう言うとランスはまだ何も並んでいないテーブルに乗り、三日月が座る目の前まで飛び正座をする。


「ランス様!」


 ロイズが困り顔で注意をするがお構いなし。


「誰の指図(さしず)も受けないのねぇん。ライト様に望月も良いですかのぉん?」


「あ、えぇ構いませんわ」

「ランス様がおっしゃるのであれば」


 ライトも望月も、ランスには意見出来ない。


 自分勝手とも思えるその妖精ランスの自由奔放さは、時に様々な力の発揮や発想にも繋がる。皆が強く言えない理由、その秘められた能力があるのだった。


「はぁ、承知しました。しかしテーブルには」


「見てロイズ! 乗ってないのよぉん」


 ランスの反論する声に皆の目線は、正座する膝とテーブルの間に向いた。そこをよくよく見てみると。


――う、浮いている!!


「もう……()いです」


 その奔放さについて行けず諦めモードのロイズに、してやったり! ペロッと舌を出すランス。


「はいのぉ~ん、解決です〜♪ ではね三日月ちゅき、お話するからのぉ〜ん」


 そう言いランスはさらにグッと顔を三日月に近づけ「心の準備をするのなぁん」と、すごい眼力(めぢから)で見つめふわっと(ささや)いた。


「は、は……い」


 恐怖はないが、その威圧感にタジタジになる。

(心の準備と言われると、緊張で胸が張り裂けそうですー!)


 そしてランスはゆっくりと、しかしリズム良く語りかけ話し始めた。


「そぉなぁ〜ん、お話は三日月ちゅきが生まれた日に戻るのだよぉ――」




 十六年前の七月七日、雲ひとつない夜空。キラキラと瞬く星とそれに負けぬくらいの潤んだ輝きを放つ、煌めく三日月の夜。


――そう、【三日月】が生まれた日である。


 望月の出産を手伝い母子の無事と健康を見届けたランスは、森の巡回へ戻ろうと準備をしていた。キラリの森を立つ前にふと、生まれた赤ん坊を撫でて帰るかな~と、もう一度会いに部屋へ行った。すると赤ん坊の枕元で、まるで寄り添うようにずっと離れずキラキラと輝く精霊がいたのだという。しかもかなりの強い力を持ち、(まばゆ)い光を放っていた。


 ランスは精霊界で最も優れた、(おさ)と呼ばれる大妖精。当然どんな精霊とでも会話が可能である。その光り輝く精霊に向かって話しかけた。

「この子は皆の大切なお子様じゃの、お前はここにて何をしておるのな?」


 するとその強い光と力を持つ精霊は、こう答えたという。

「この御方を護るため、我は生まれし光の精霊なりて。ここを離れられぬ」


 その言葉を聞きしばらく静観することとした。もちろんランスの厳しいチェックを受けたが何の悪気(あっき)も邪気も感知されることなく、感じられたのは“愛情”のみ。ただただ生まれてきた赤ん坊のことを慕い、片時も離れずに傍にいるのである。


 その精霊が持つ力と動く様子を観察するために、森へ帰るのを数日延長。キラリの森に残り日々考えていたランスは一つの答え――真実の答えに辿りつく。


「ふにゃう~ライト様に望月良いね? この精霊ちゃん、どうやらもなぁ……生まれた赤ん坊の守護精霊として送られた光っぽいですのなぁん」


 大妖精ランスはその光を妖精として起こし、守護契約させること。そして護りの義務を果たさせてあげるようにとの言葉を残し、キラリの森を後にした。





「え……そ、んな」


 三日月の小さな声が部屋に響く。言葉にならない、その震えた声が。すると、静かに目を瞑って聞いていたロイズが口を開いた。


「ランス様、そこからは私がお話しましょう」


 ロイズは目を開き真っ直ぐ強い視線で三日月の顔を見つめた。その決意にランスは答える。


「ふにゃう~そうかぁ? うんうん。ではロイちゃん、頼んだのだよぉ」


 と言いつつ、おぉーっと! ちゅきはヨシヨシ~と不安いっぱいの表情を浮かべた三日月の頭を撫で、席へ戻って行った。



「はい、それでは。月さんもご存知の通り、メルティは妖精ですが」


 そのロイズのひと言で三日月の表情は一変する。まるで心ここにあらず状態だ。


「ぃぇ……知ら、なぃ」

 三日月の消えそうな声。


「月さん?」

 ロイズは不思議そうな表情で、三日月の言葉に反応した。



「あぁ、うあ~待ってぇ!」「いやぁ、ちょっと待った!!」


 その瞬間、ライトと望月は「しまった!!」と声を上げる。


「えぇ、どうぞ? お二人ともいかがなされましたか」


 ロイズは真剣な顔のまま、何事かと二人へ視線を移した。すると言いにくそうに望月が口を開き答え始める。


「ロイズ様……そして、皆様にお伝えしていないことがあります。そして三日月には謝らなくてはいけないことです」


「と、いいますと?」

 ロイズの視線はさらに鋭くなる。


「三日月がまだ四歳でしたか、【(key)】をかける前のお話でございます。このような強い力を持ち生まれたがゆえに、幼い頃はあまり友達も出来ず寂しそうにしておりました。そこで私たち二人で話し合い、メルルとティルが妖精ではなく人である、という暗示がかかるようメルルとティルに魔法をかけたのです」


 その言葉でいち早く反応したのは、セルクだった。


「なるほど、そうだったのですね。ずっと疑問に思っていたことがありましたが、そのお話で納得致しました」


「……」

 セルクの声、しかしピクリとも動かない三日月は黙って聞いたままだ。


「なにのぉ~ん? セルっち、どういうことなぁ?」

 その疑問というものにすかさず質問するランス。


 お答え致しますと、セルクは話す。


「メルティが妖精だということ、もちろん僕は知っております。しかしこの学内の生徒たち、あまりにも皆がメルティへ普通に接している、これは通常考えられないことでした。ルナガディア王国管理の学園とはいえこれだけの力を持つ妖精が近くにいれば、驚くはずだと。とても不思議に思っていたのです」


(そうだったんだ。いくらお母様の魔法でも。こんなに近くに、ずっとそばにいて、姉妹みたいに接していたのに)


 力のせいだけじゃない、そう思ってしまう三日月は落ち込む。


――なぜ、気付けなかったのかな?



「そういうことでしたか。望月様も考えてのことでしょうし、私は構いませんが。もし差し支えないようでしたら、今後は先にお話くださると大変助かります」


「えぇ、おっしゃる通りですわ。申し訳なかったです」


 ロイズは淡々と冷静に話し、望月と会話をしている。そんな中で、三日月の暗く(よど)んでいく瞳と沈む表情に気付いたセルクは、皆に気付かれぬようほんの少しだけ左手首をクイッと動かした。


――キラッ。


 その時、三日月は何かに気付きハッとする。セルクからもらったブレスレットの蒼い石がキラリと光ったからである。そこから流れ込んでくる温もりと安心感がその冷たく固まりかけていた心を溶かし、潤していく。


(星様……)


 そうして顔を上げた三日月の瞳には、一瞬でいつもの(きら)めきが戻っていた。



 会話の途中、セルクの使ったほんの少しの魔法を分からないはずはないロイズ。しかし気付かぬふりをして、話を続ける。


「先程ランス様からお話があったように、月さんが誕生した日から傍であなたを見守っていた精霊が、今ここにいる二人。メルティです」


「はい、大丈夫です。理解しました」


(ひとつひとつ乗り越えていく。大丈夫、私は……)


 心の中、三日月は弱い自分自身に負けぬよう勇気づける。これからこの長い会議の中でまだまだ知らされるであろう真実を、どんなことでも受け入れてみせると。


「良かった、元気な返事をありがとう月さん。では続きを……ランス様の精霊への対応に関するお話を受け、ライトに呼ばれたのが私でした」


 ロイズはフッと優しい表情に変わり、微笑んでいた。まるで昔の思い出話をするように。


「思い出すとあなたが赤ん坊だった頃のお顔が目に浮かびました。とても可愛らしく元気な女の子でしたね。もちろん今も変わらず月さんは、とっても素直で可愛いのですが」


「んなっ!! は、恥ずかしいです」


 そして三日月は思い出した。学園二年目の特別メニュー授業の打ち合わせの終わり、頭をヨシヨシと撫でてくれたロイズの優しく温かい手が、なぜか懐かしく感じたことを。


――あの安心感と懐かしさは、もしかして私が赤ちゃんの時に会った、ロイズ先生を覚えていた記憶の感覚だったのかな。


「ふふっ。そして精霊の光を妖精へと変化させ、契約をしたのは――私なのです」


「あ、それで“パパ”?」


 目を細め笑い、しかし少しだけ悲し気な表情をしたロイズは、軽く頷いた。


お読みくださりありがとぉございます♪


『 関連のあるお話 』(´ω`*)


~☆今回はこちら☾~


 ↓ ↓


第9部分【06 緊張】


魔力・能力の特別メニュー授業についての打ち合わせに

三日月ちゃんが頑張って特別校舎へ行ったときのお話。

ここでロイズ先生に『ヨシヨシ』してもらってますの♡



それでは~

次話もお楽しみに! でしゅ(/・ω・)/♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ