表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/181

109 銀の砂時計

お読みいただきありがとうございます(*uωu*)

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2470)


 三日月は、先日お茶会で楽しい時間を過ごした部屋へ案内された。窓近くにある置き時計は、変わらず不思議で綺麗な動きをしている。


(今日も金の砂……キラキラだぁ)


 少し遠目に、ふと窓から差し込む陽の光に目を細めながら時計に見惚れていた。すると三日月は、ラフィールから手招きをされ近寄る。


「さぁさぁ~、月さんこちらへ」


「は、はい」


 近くまで行くと、金の砂時計の前に立たされ――優しい光、陽の温もり、キラキラの砂が舞う姿……今、三日月に様々な喜びの瞬間が訪れていた。


(こんなに間近で、金の砂時計を見られるなんて!)


 そんな幸せな時間も束の間、ラフィールの声で現実へと引き戻される。


「ではこれより、本日のお呼ばれ場所へ移動いたしますね。月さん、心の準備はよろしいですか?」


 やんわりと、しかし少しだけ固い口調で話すラフィールの言葉に、三日月は気が引き締まった。


 そうだ、これからどこに――。


(何があるのだろう?)


 しかし、考えていても何も分からないし始まらない。三日月は「よしっ!」と自分に声をかけ、決意表明をする。


「大丈夫です。が、頑張ります!」


 それを聞いたラフィールはクスッと少しだけ笑い「そうなのですねぇ?」と一言。そしてそれは、一瞬の出来事だった。声と同時にそのまま三日月は抱きしめられ、大きな強い光に包み込まれた。


「ふあぁ、エエッ……」


 白く光り輝く視界以外はもちろん何も見えず、魔法移動を行っている感覚もなかった。そして次に現れた目の前の風景を見て、三日月は驚く。


「こ、ここは?」


 ギィィィ――。


 開く扉の音がやけに重たく、三日月の耳に痛く響いていた。そしてその先に見えた真っ直ぐと伸びる通路は、とても薄暗く物悲しい。


(ここはどこなのだろう? 冷たくて静か過ぎる。心が締め付けられるような気分になる)


 重厚感のある扉を入ってすぐに、五角形の小さなテーブルがあった。その上には、ここへ来る直前まで見惚れていた金の砂時計に、とてもよく似た時計が置いてある。よく見ると金砂ではなく『銀の砂』。


 しかし今、三日月の瞳にはなぜかその銀砂の色を、映し出すことが出来なかった。


――どうして? 不思議と色が見えるけど……見えない?


 矛盾している。この空間がおかしいのか? 三日月の目がおかしいのか? 輝きを失ったかのように静かに寂しく落ちていく銀砂が、ひっそりと時を刻む薄暗い場所。ここは三日月にとって生まれて今まで来たことのない、全く知らないような世界の雰囲気だった。


 ふわぁ~……ッ!!


「あっ、あれ? ラフィール先生、どこですか?」


――お願い、一人にしないで!


 三日月の身体に、一気に押し寄せてきた恐怖心と不安は、震えた声と言葉になって表れた。あんなに一人で過ごす時間が好きだと思っていた、三日月の心の奥に眠っていた感情。


(本当は私、一人が怖かったの?)


 三日月の呼ぶ声に振り返ったラフィール。気付くともうだいぶ先まで進んでいた。そして言葉を発することなく、ゆ~っくりゆっくりと……ふわ~りふわりと。その美しい右手を使い、三日月に手招きをしている。優しく不気味な程に満面の笑顔は、まるで「おいで、おいで~」と言っているようだった。


(良かった、先生いたよぉ)


 ホッと、心から安堵する三日月。急いで追いつき、恐怖心を忘れ気にしないよう明るめの声で話しかける。


「すみません、ぼーっとしていました」


「…………」


 しかしなぜか? ラフィールはニコニコと微笑み頷くだけで、決して声を出さない。


「え、えっと――」


 先生どうしたのかな? と不思議に思いながらも、その理由を聞く隙を与えずに歩き始めた。先が見えないくらい奥まで続いている暗く長い通路。見ているだけで震えがくる怖がりな三日月は、ラフィールの後ろにぴったりくっつくように進んで行く。


(そういえば……)


 不安の種となっている問題のひとつ。それはいつも自分の周りで見守ってくれている精霊たちの姿が、ここに入ってから光一粒(ヒトリ)も見えない、ということ。


――最近の私、精霊ちゃんたちを見失うことが多いなぁ。


 自分の力が弱っていて見えないだけなのか? はたまた見られなくなってしまっているのか? どちらにしても精霊がいない環境は、三日月にとって耐えがたい状況だった。


「なんだか、寂しいな」


 そう小さく呟き、悲しい気持ちになってしまう三日月。慣れない場所に戸惑っているせいもあったが、この暗い雰囲気にのまれそうになっていた。


(ダメだよ、闇にのまれちゃう)


 とにかくラフィールと、はぐれないようについて行こうと前を向く。寂しさや思いが溢れないように「前に進む」、それだけに集中した。


 そうこうしているうちに、次の入り口であろう場所へ到着した。見た感じは扉も何もない石のような壁。どうも様子がおかしいと、三日月の心には不安が()ぎっていた。


(あれ、どういうこと? ……行き止まりなの?)


 冷たい印象の壁は、石なのか? 固く重厚そうに見える。どこを見渡しても段差なく、ツルツルと輝いていた。そう、それはまるで姿が写る鏡のように。


 見たことのない程に、美しい。


――魔法のせいかな?


 ここには何も感じない『無』と、綺麗に澄んだ空気。美しいその壁には触れてはいけない、触れることは許されない。三日月はそのことを無意識に感じていた。


「あ、これって……」


 同時に、間違いなくここは入り口だろうと確信していた。なぜか? その理由は入った時と同じ五角形のテーブル、そして時を刻む銀砂の置き時計があったからだ。


 すると、ラフィールが振り返り三日月に笑いかけてきた。とても優しく、心に語りかけてくる。しかし、強い意思と決意が伝わってくるかのような、鋭い視線。


――そして次の瞬間、()()は始まった。


(われ)(つき)の世界に(つか)い仕え使者、(ルナ)の癒しを継ぐ者【ラフィール】が命ず』


 『開錠』――――キラッ、パァァー!


「ふ、えぇ? ら、ラ、フィ……ル? せん……せい?」



 光溢れるその光景はあまりに美しく、私は言葉を失った。

 その時見た先生の姿は『(ルナ)の癒し【ラフィール】』とは。


――「まるで、()()は天使のようで」


 背中に広げられた大きな光は、本当の羽のようだった。


いつもお読みいただきありがとぉございます♪


『 関連のあるお話 』(*'▽')

~☆今回はこちら☾~


 ↓ ↓

第36部分【28 文化交流会2日目~護衛~】


ラフィール先生のお部屋にある金の砂の置き時計の

様子が書かれていまぁす(笑)


あと!

こちら新タイトルの候補です(*´▽`*)


 ⇒『三日月の花が咲く夜に』


まだ少し悩み中(笑)なのなのデス(/ω\)


ではでは! 次話もお楽しみにぃ♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ