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106 仲良し

お読みいただきありがとうございます(*´▽`*)

♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪


(Wordcount2000)


「すみません、寮の前まで送っていただいて……ありがとうございます」


 太陽の屋敷を出るとタイトの案内で、来た時と同じ赤茶色の魔法扉に入る。ふと気付くとすぐに寮の前に着き驚く三人。表情一つ変えないタイトに、月は深々と頭を下げお礼の言葉を口にする。


「いえ、お気になさらず。()ても三日月様」


 頭を上げ、目が合った月に、タイトが声をかけた。あの水宝玉のような美しい瞳に、ふわっと惹き込まれていく月。独特の空気を持つタイトの声は、月の耳を伝い心の中へ流れ込んできた。


「申し訳ない、これは私からの勝手な頼み事ではありますが。あと少しの共に過ぎゆく時間(トキ)――太陽様の事、何卒よしなにお願い申し上げる」


 今度は、逆にタイトが三日月に頭を深々と下げ、お願いをする。月はその姿に焦り、両手をバタバタさせた。


「た、タイト様?! そんな、どうか頭をお上げ下さいー!!」


 その言葉に顔を上げ、ふわっと一瞬微笑んだように見えたタイトは、お願いごとの続きを話し始める。


(あれ? またタイト様が一瞬、笑った気がする)。


「太陽様は、大変気丈に振る舞っておりますが、随分に()へたる。尚そういう御方でございますゆえ」


「もちろんです! でも、たぶん今までと同じです。私たちの方がきっとお世話になっちゃいますよ」


 月は、えへへ~と笑顔で答え、タイトの方を見た。


「……さようでございますか。温かいお言葉に、感謝致す」


 いえいえ、そんな~ッ! と、恥ずかしそうに両手でほっぺたを隠す。そして、お気に入りのふわふわ制服の裾をキュッキュと引っ張る可愛いメル・ティル。三人は顔を見合わると自然にウフフと笑い、タイトの顔を見て伝えた。


「「「だってみ~んな、友達だもんねぇ♪」」」


 月はそれと同時に、心の中で呟く。

(きっと……ううん、絶対に変わらない!)


――太陽君は、たいようくんだから。


 三人の言葉を聞いたタイトは最後に軽く会釈をすると、背を向け目をつぶった。そして、フッと口元を緩め「貴女方(あなたがた)のようなご友人に恵まれ、太陽様も幸ひなり事です」と言いながら、一瞬で魔法扉を展開する。それからわずか数秒で月たちの前から消えた。瞬き一つも待たない程の速さ、風のように去っていったのだった。



「メルル、ティル。今日もうちに泊まるの?」


 寮の入り口を入ってすぐ、月が二人に尋ねる。


――「だから月、僕らがしばらくは警護する」

(とは、言って頂けていたけれど……)。


 昨日、星が言った話を信用していない訳ではなかったが、やはり心配しすぎだと感じていた。


 質問の後、なかなか返事が返ってこないのを不思議に思った月は、自分の後ろを歩く二人の様子を振り返り確認する。するとメルルとティルは、「泊まるの?」という言葉を聞いて、今にも破裂しそうなくらいにほっぺたを膨らまし、両手はグーで前へ。相当プンプン怒っているのが見えた。


「ぶー、つっきぃーダメダメだぁぁ!!」

「一緒に寝てあげるって言ったぁぁ!!」


「ウッ、えっへぇぇ?!」


 あまりの二人の剣幕に、月は驚く。そして、自分の力の開放がどれだけ大変な事だったのかを、改めて自覚し始めていた。


「ご……ごめんね。メルル、ティル」


「「分かればよろちぃ~♪」」


 うんうん! と、頷いてくれる双子ちゃん。二人ともふふーんと腕を組み、なぜか? とても誇らし気な表情をしている。そして相変わらず少しのズレもなく同じ動きだ。


「あはは、ありがとうございます」


 月は、思わず吹き出し笑いながら、優しさと何かしら使命感のような固い意志を二人から感じた。


 ガチャッ……。


「「わぁ~い♪ 帰ってきたぁ~ん」」


(あ、いつも通り元気いっぱいのメル・ティルだ)。


 部屋に着くと、すぐに二人のテンションは急上昇! 部屋中を駆け回り始める。それを見ていた月の気持ちは、何だかホッと安心していた。


 キィー……パタン――カチャッ。


 扉を閉め鍵をかける。そして、部屋の中をぐるりと見渡した。月は何も感じていないつもりだったが、心の中で無意識に警戒を強めていた。


(もしかして、メル・ティルも同じ事考えてるのかな?)


 ふと、二人がいつも部屋中を走り回っていたのは、確認をしていたのでは? と思うがしかし、本当のところは分からない。


――“シャラ~……ン”


 結界を強くするために、アンティーク調ハートの置物へブレスレットを掛ける。ゆらゆらと揺れる優しいチェーンの音。そのたびにキラッと美しく光る、蒼い石。


「なんでかな? 見ていると安心する――」


 とても心が穏やかになれる、その光に見入ってしまう。

(本当に綺麗。でも何だろう? どこかで似ているものを見たような?)


「つきちゃ~」「つ~きき~」

「「おなかすいたぁ!!」」


 ぼーっとしていた月は、居間から聞こえてきた二人の声に、ハッと我に返る。


「はぁ~い、すぐに夕飯にするよぉ」


(蒼い石さんありがとうございます)。


 そう想いながらも月は、出かける時と同じようにキラキラと光る蒼い石に触れ、優しく愛でるのであった。

いつもお読みいただきありがとぉございます☆


次話もおたのしみにぃ~♪

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