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99 空間

お読みいただきありがとうございます( ꈍᴗꈍ)

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2500)


「うぅぅ~ん……」


(この御屋敷に飾られた絵の全てが、太陽君の描いた作品だったなんて!)


 月は心の中で、やっぱりまだ信じられない! と、少し頬を赤らめながら思う。しかし表情はワクワクとしていて、気分はご機嫌。前を歩くタイトの背中を眺めながら「あぁー背たかいなぁ、広い背中……お父様くらいあるなぁ」なんて、突拍子もない事を考えたりもしていた。


――そういえば。

 廊下に続く素敵な床は、何で出来ているのだろうと、足元に視線を落とす。


 フワフワとした歩き心地で、柔らかい絨毯(じゅうたん)のような。そう、まるで可愛い花の咲く草原を、歩いているかのようだった。


――此処にいると。

(とっても楽しいというか、落ち着く空間というか)。


「安心……す……」

(あっ、あれは?)


 ボソッと呟いた言葉の途中、壁にかけられたある一枚の絵に、ふと心が引き寄せられた。他とは違う色の、大きめの額に飾られている。月はその色づかいの美しさからか、その絵から目が離せなくなっていた。


「あの……タイト様。この絵は――とても可愛らしい女の子ですね」


 その言葉を聞き、タイトは黙ったまま立ち止まっている。


「この絵も、太陽君が描かれたのですか?」


「えぇ……」

 今まで以上に静かな、低音で答えたタイト。


 筆づかいは同じように見えるが、今までの絵とはまるで違う、その絵画。

 (えが)かれていたのは、少し赤みがかった髪色の女の子。その姿はとても愛らしく、綺麗な瞳に屈託のない笑顔で描かれていた。


 しかし、見つめる月の心に流れてきた印象は、矛盾したような気持ちで。悲しみとは違う、何だか切ない、胸が締め付けられるような感情が溢れてきていた。


(胸が熱くなって、苦しいよ?)


 そして、少しの()が空いた後に、タイトが重い口を開く。


「三日月様が眺める絵画の幼子(おさなご)は、()なり――太陽様の妹君にございます」


「え……」

(太陽君の、妹さん?)


「名は【陽向(ひなた)】様。我が国イレクトルム王国に光がもたらされた吉日、花桃の時期に咲いた王家の華。たった一人、国の大切な姫様でございます」


「それで……あっ、えーっと、何と言いますか……とても強い愛情を感じます!」


 本当は、自分が感じた気持ちの表現に困っていた。それはまるで、心の中にある透明な水にポタっと色のついた絵の具が落ち広がり、滲み現れたかのような感情。少しだけ、違和感を覚えたからだった。しかし、可愛らしい絵画の謎が解けた事で「気のせいかな」と、明るい声で答えた。


 すると突然、タイトから真面目な口調で質問をされる。


「三日月様は、()()()()をご存知ですか?」


「空間……はい、知って……そう、ですねぇ」


 月は歯切れの悪い返事をしてしまう。


――悲しくて、でも思い出せなくて。


 最近また見るようになったあの夢は、きっと思い出せない事件の記憶の欠片なのだと、月は感じていた。自分自身、どの魔法を発動し、何をしたのか覚えていなくとも、空間を使う魔法の恐ろしさは、嫌という程に知っているつもりだった。


――本当は、記憶を取り戻したい。


 何処なのか? よく分からない他時空に“人を飛ばした”という事実は消えない。たとえそれが悪人だったとしても。三日月は、幼い頃の自分が起こした、無意識で無責任な行動が原因で、周りの人達を巻き込み、迷惑をかけてしまった事がずっと許せずに、自責の念に苛まれ続けていた。


 タイトは、月のその思い詰めるような様子に気付き、何かを察する。しかし顔色一つ変える事なく、話を続けた。


「此処は、この場所は。私が創りあげた、()()にございます」


――えっ……?


 その言葉を聞いた途端、思い詰めていた月の心は、瞬く間に高揚した。それから、驚いた表情でタイトの顔を見ると、静かで落ち着いたアクアマリンの瞳に目を合わせ、疑問を投げかけた。


「こんな……こんなに……優しくて、穏やかで、素敵な空間を?! そんな事が、創る事のできる魔法なのですかっ?!」


(じゃあ、いつの間にか。お屋敷の別館に入ったとか思っていたのも違っていて、このフワフワ草原のような絨毯も? 可愛く美しいお花柄も??)


――これが、タイト様の『御力』?!


 今まで月にとっての空間魔法とは、恐怖以外の何物でもなかった。

「創りあげる」のではなく「他空間へ飛ばし飛ばされる」魔法。使い手は他の空間(他時空)との入り口となり、この世の歪みを創ってしまう程、ただただ恐ろしい負の魔法なのだと、すっかり思い込んでしまっていたのだ。


「えぇ。この屋敷の、ほぼすべての場所に仕掛けてありますゆえ。万一、侵入者があれど、この空間を知らぬ者が同じ場所に戻る事は、ほぼ皆無に等し」


「そう、そうなのですね。そんな……」

(今まで、私はどうして? この魔法を避けていたのだろう)。


 月はあの事件を、記憶の奥底に隠した箱にしまい込んでいたのだった。


 どうしてあの日、あの時、あのような事件が起こり、全魔力開放をしてしまったのか。いくら幼くとも、恐怖に怯えていたとしても、どうして魔力をコントロールする事が出来なかったのかを。理由や原因は様々だろう。しかし、月は今この瞬間まで、考えようともせずに……いや、考えないようにしていたのだ。


(そうだ、私は。嫌な事から逃げていた)。

――向き合ってこなかったんだ。


「三日月様?」

 あまりに深刻な顔をしている月を心配したタイトは、声をかけた。


 月は、激しく動揺していた。体が震え、心の中が、考えが、あの日からこれまで抱えてきた思いが、頭の中で交錯する。


(私は……)。

 しかし冷静に、一つの『答え』に辿り着く。


「タイト様」

 その声は力強く、その言葉に迷いはなかった。


「はい、いかがなされましたか?」


「私に」

 そう言いながら月は、胸のあたりで両手をギュッと握り、タイトに決意の眼差しを向け、意思を示した。


「空間魔法を、ご指導いただきたく存じます」


「三日月様……」

 さすがのタイトも意表をつかれ、少し驚いた表情を見せる。


 この時、どうしてこんな無理なお願いを唐突に言ってしまったのか? 月はよく覚えていない。しかしタイトの魔法は、自分が学ぶべき必要な技術だと感じたのは事実。月は頬を紅潮させ、タイトに言葉を発し、願い出ていたのだった。


 まるで何かに、導かれるように――。


不定期投稿にも関わらず、

いつもお読みいただき本当にありがとぉございます♪


おかげ様で!! 111部分まで続けることが出来ました。

しかし、ここで展開ゆっくりなのなの小説の問題??

「あれ? ここどういう話だったかな?」

など、あるかと思うのですよ(/ω\)

と、いう事で!!

☆関連のあるお話を、そっと。

あとがきに書くようにしようかなぁ~と思いまする!


~☆今回はこちら☾~

 ↓ ↓

第30部分【必話02 消したい記憶(事件)】

主人公のトラウマや記憶を失くすきっかけになるお話でしたニャ。


いるかなぁ? これ……うふふふ( *´艸`)

ではでは!!

今後とも、よろしくお願い致しますなのなのデスにゃん♪

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