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91 いつもと違う朝

お読みいただきありがとうございます(◍•ᴗ•◍)

♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪


(Wordcount2680)


 コンコン、コンコン。


(あっ、星様かな?)


 朝食後、食器の片付けや、もろもろ準備が終わる頃。玄関の扉を叩く音がした。


「はぁ~い!」


 今日も変わらず、いそいそとお弁当の準備をする月。訪問者へ返事をしつつも、今はちょっと手が離せない。


(うーん……頼んじゃおうかな!)


 居間で二人、楽しそうにゴロゴロと遊んでいる可愛い双子ちゃんに、申し訳ないなと思いながらも、お願いをする。


「メル・ティル~ごめん、げん……」


 お願いを言いかけたところで、月は二人の動きに気付き笑いが込み上げてくる。もうすでに二人は玄関の前に立ち、今まさに扉を開けようとしていたからだ。


「あぁ、うっふふふ。ありがとう」


 微笑みながらそう言うと、メル・ティルはチラッと月の方を見て、にっこぉ♪


「にゃにゃ?」「にゃっは?!」 


 そしてゆっくりと、扉を開けて――。


 ガチャッ……。

 

 キャキャキャ―――ッ!

「「おっはにゃあ~ん、セリィ―!!」」


 訪問者は予想通り、星だった。

(良かった、星様だ……)。


 いつもなら、メル・ティルを出迎える側の月。しかし今日は、その二人が玄関でお客様に「いらっしゃい!」と、言っている姿があって。

 それを、遠目で見ている自分。その初めて見る状況が、なんだかとても可笑しく思えてきて、一人で笑いながら最後のおかずをお弁当に詰め、準備を終えた。


「やぁ、メルティ。おはよう」


(昨日のお約束通り、いつもメル・ティルが迎えに来る時間と、きっかり同じで。星様……ありがたい気遣いですよぉ)。


――でも。いつもと違う朝は、なんだかソワソワしちゃう。


「星様、おはようございます! あ、あの、えっと。私、荷物取ってきますね! すみません、もう少し待っていてください」


 月は、少し落ち着かない様子で、しかし、とても新鮮な気持ちになりながらも、急いで奥の部屋へ鞄を取りに行った。


「月! そんなに急がなくてもいいよ」


 そう言いながら星は、月が居間からいなくなったのを確認するとすぐに、二人に話をし始める。星の表情は厳しく、真剣そのもの。そしてメルルとティルへ聞いた内容は「ちゃんと月を護り、警備は出来たのか?」というものだった。


「僕が帰る時には寝ていたからね。信用はしているが……念の為、確認だ」


 星は、メルルとティルの高さに目線を合わせると、あの深く蒼い瞳で二人の目を見つめ、質問をした。


「分ってるにゃ」「だいじょぶの」

「「月ねんねは護るじかん!!」」


 そう話すメル・ティルは、両手を顎の下でグーッ! がんばったぁーのポーズ。二人は珍しく、クスリとも笑わず真面目な顔で答えている。


「そうか、良かった。さすが……メルティだね」


 一瞬、ピリついた雰囲気は元に戻り、一気に優しい空気に変化する。そして星の穏やかな声が、二人を褒め称えた。


「よく頑張ったね、ありがとう」

 お礼を言いながら、頭ナデナデ~、ヨシヨシ~♪


 ちょうどそこへ、月が出かける支度を終え、部屋から出てきた。爽やかな表情、そして満面の笑みで星に話しかける。


「お待たせしました♪ 今日はとても気持ちの良い朝ですねぇ」


「おはよう、月。うん、よく眠れたみたいだね」


「ふえっ?! あの、は、はい!」

(今日も? 星様には、私の心が読まれているみたい)。


 メル・ティルがいてくれたおかげで、ぐっすりと眠れた事を、星にピタリと当てられてしまった月は、少し戸惑ってしまった。


「あの星様。本日は朝早くからお迎えに来て頂きまして、ありがとうございます。心より、感謝致します」


 そして今日はなぜか? 無意識に丁寧なお辞儀とご挨拶の姿勢になった。


「ふふっ。丁寧なご挨拶、どうも」

 星は、その月の姿に微笑み、優しい声で答える。


「「つきつきぃ~♪」」


「あっ、はぁい。少し待ってねぇ……よし! さぁ、メルルさん、ティルさん♪ 今日のお弁当ですよぉ、どうぞ~」


 はぁ~いと、メル・ティルに手渡す。


「わぁ~い美味しいにゅ」

(いや、まだ食べてないからぁ!)


「おかずはなぁにぃ~?」

(あぁ、まだ食べちゃだめよぉ!)


「ぷっ! ふふふ」


「んにゃっ! ほ、ほしさまぁ???」


「いや、ごめん。メルティも面白いが、月のその慌てる様子がまた……」


 星は、()()()()を言いかけて、ハッとして口をつぐんだ。


「はぅー、もぉ~……」


 プンプンと言いながらも、今日もパワー全開! の二人を見て、膨らましていた月のほっぺたは、すぐに笑顔に変わる。


 そして星と月は、メル・ティルを見て、ほやほやっと癒された。

(いつものルーチンとは違ったけれど、楽しくて賑やかなのは変わらない)。


「では、そろそろ行こうか」


「「にゃーい」」

 星の呼びかけで、返事をするメル・ティル。


「さぁ、月も行こう」

(星様は今日も、優しく声をかけてくれる)。


「あの、星様!」

 そんな星に、月は渡したいものがあった。


「うん? どうしたの?」


「こ、これ。あの! お弁当を……」


 星の分までお弁当を作っていた月。しかし、いざ渡すとなると恥ずかしくなり、なかなか言い出せなくなっていた。


「な、なんと! 僕のも作ってくれていたの?」


――コクッ。と、頬を赤らめながら頷く月。


「い、お嫌でなければ……」


「月……。それは」


(あぁやっぱり? 何だか今日はいらないって断られそうな気がしていたから)。


「い、いいのです!! すみません、勝手に作って」


 あたふたと月が話していると、星が笑って答えた。


「違うよ、勘違いしないで月。それは、今日のランチの時間に頂こうと思って」


――エッ?


「いつもの場所で、一緒にどうかな?」


 星の突然の誘いに、月の心臓はまた、ドキドキが止まらなくなる。


(いつもご一緒しているのに! 改めて言われると!)


「はぃ。う、嬉しいです。あり、とぅ……います」


 恥ずかしさと緊張で声は小さくなり、高鳴る鼓動は体中に響いている気がした。そして言葉は、フェードアウト。


「ふふっ。では、ランチの時間にまた」


「は、はい」

――本当の意味での“幸せ”……って?


 ガチャッ……――!!


「「出発なのらぁ~♪♪」」


「メルティ! 走ると危ないよ」


 メルル、ティル、星の順番で部屋を出て行った。


 月は、部屋の戸締り確認を終えると、昨日星にもらった、アンティークハートの置物から、結界を強くするために掛けていた『蒼い石のブレスレット』を、優しく手に取った。そして今日も、右手首に付けると、キラッと星屑のように光る蒼い石を、大切そうに愛でた。


「全ての人々が、幸せな一日になりますように……」


 そう、呟きながら。


 そして星の、いつもならサラッと言えていた、()()()()

 なぜか今は、いつものように言えなくなっていた『言葉』


――慌てる様子がまた、『可愛いと思って』と。


 本当はそう、言いたかったのだった。


最後までお読みいただきありがとうございます♪


次話は……太陽君の……?

おたのしみにぃ(*´▽`*)


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