30日目:チビ猫、こずえとやぶをうまれかわらせる
私はスペースキーになりたい。
昨日、がんばりにがんばったためでしょう。
その日、チビはすっかりおねぼうをしてしまいました。
目をさましたときにはもう、ヒロさんはおしごとに行ってしまっていましたが……
かわりに、ばけねこさんがそこにいて、チビのごはんを用意してくれました。
「ヒロさんのやつ、『チビがしんぱいだから、きょうはしごとやすむ』とかいいだしてにゃ……
ワガハイがいるんだからしんぱいするな、ヒロさんはチビのためにしっかり稼いでこいと送り出したのにゃ」
「そうだったの? うにゅう……。」
チビはしゅん、とうつむきます。
やさしい『ごしゅじん』をしんぱいさせてしまったことに、反省のきもちがわきあがります。
それでも。
「にゃあ、チビよ。今日くらいはやすんでも、……
って、そんなきもちにゃなれないかにゃ」
「うん。
もう、しんぱいさせないようにする。
ヒロさんも、ばけねこさんも。
むりしないで、できるかぎりで、いいものをつくる。
『あそびにきたひとが、えがおになれる、いばしょ』をつくるんだもの。
それで、だれかをしんぱいさせちゃ、だめだから」
チビはりりしく、まえをむきます。
「よしゃ。
それじゃ、きょうも、はじめるかにゃ」
「うん!」
そのすがたにばけねこさんも、けついをあらたにします。
じぶんもまだまだしろうとだけれど、それでもそれなりチカラをつくし……
この子のえがく『ゆめのタワー』を、きっと完成までみちびこう、と。
さて、今日のさぎょうは、のびのびになっていたあれです。
こずえをかたちづくる『えだ』としてつけていた木たちを、ねっこのないものととりかえて……
えだぶりも、もっとゆたかにちょうせいするのです。
えだの本数は、とくにかえなくてもよさそう。バランスをみながら、さしかえていきます。
いっぽうでえだの大きさは、おもいきってこれまでの二倍にしました。
うん、これなら、もりもりとして、いいかんじ!
そとがわからみてかっこいいかんじにしたら、こんどはなかからみて調整です。
けれど、やっぱりもんだいはありました。
「うーん、けっこう、目立つにゃあ……」
そう、ねっこつきのものほどではないにしても、やっぱりねもとが見えてしまいます。
それも、けっこう色があかるいので、めだつのです。
へやそのものは、ちょっと暗いのですが……
「そうだ!」
チビはぽんととびあがりました。
まずは、ねもとがみきからうかないくらいに、ぎりぎりまでおしだします。
そうしたら、、ランプがわりにとつくえの上においていた、光るたまをコピペして、ねっこをかくすようにかべにはりつけます。
おおきさをちょっとかえたら、できあがり!
「おおーなるほどにゃあ。これならねっこもかくせて、あかりもふやせると」
「えへへ! そう!」
しかし、全部の根元を隠すと、ちょっとあかるくなりすぎました。
そこで、ひかるたまのマテリアルをちょっといじって(ぜんぶおなじマテリアルがついてるから、いっきにできます)光量をさげつつ、さわやかなかんじにします。
二階はご本をよむおへやにするつもりでしたが、これならおへやのどこでも、らくにご本をよむことができそうです。
いすの下からの図。
そうしたらつぎは、気になっていた『ハンモック島のやぶ』です。
じつはここは、ためしにやってみて、とちゅうで『だきょう』しているのです。
ちいさなかわいい、まーるいやぶをいっぱいならべて、いくつもかさねて……
けれど、うーん。なんか、なっとくいかないなあ。
そのころは、そうおもってくびをかしげるばかりだったチビですが、いまはもう、ちがいます。
どうしたらいいかが、なんとなくちょっと、わかるのです。
まずおもいきって、橋のとなりのやぶをおおきくしてみます。
これなら、ちょっとうらぐちをでたくらいでは、ハンモックがまるみえになりません。
ほんたいの島にも、同じようにおおきくしたやぶをはやします。
ゲームモードでぴょんぴょん、ジャンプしてみたりて、ハンモックがみえないですむやぶのいちをわりだして、もりもりとはやしていきます。
ゲームモードであるきまわり、チェックをかさねて、やっとなっとくするものができたのち……
チビはなんの気なしに、一階のまどからぴょい、となかにとびこもうとしました。
あれっ、うまくいかない?!
まどべのふみだいに、ただ『ぴょん』とのってみようとしただけなのに、びよーんとたかくたかくジャンプしてしまいます。
まどのうちがわからぴょんとしたときも、そんなかんじで……
なんだかぎゃくに、遊びづらくなってしまった感じがします。
「『小ジャンプ』とかはできないのかにゃ?」
「えっとえっと……できないみたい……」
チビはかわいいおててでスペースキーをみじかく押したり、やさしく押したりしてみますが、どうも小ジャンプはできないようです。
ねこたちはかおをみあわせます。
ぱっと浮かんだのは、ヒロさんのこと。
そう、たとえ小ジャンプボタンをつけられたとしても、ヒロさんがうまくつかえるかは、かぎりなくあやしいです。
「このへんきたときだけ、小ジャンプになる……とかって、どうかにゃあ?」
「うん……できるとおもう。
もともと、『ぴょんスポット』つくろうとしてたのが、ぎゃくになるってかんがえればいいから。
やりかたは、みつけたから、きっとできる!」
チビのこたえは、たのもしさにみちています。
「これ、ヒロさんにもそうだんして……。
いいよってことなら、あしたから、やってみたい。
きょうはもう、いっぱいさぎょうしたから。
ばけねこさん、あしたも、よろしくおねがいします!」
「おっしゃ、どんとこいだにゃ!」
しかも、こんかいの反省も、わすれていません。
うん、えらい。えらいぞチビよ。
けれど、まだまだ、ワガハイだってがんばるぞ。
ばけねこさんはせんぱいとして、どどんっとたのもしく、むねをたたいてみせるのでした。
こねこのかわいいにくきゅうでふみふみと押されたらしあわせしかないと思う。
次回11/5投稿分『間奏~日向、小ジャンプがないことにいまさら気づく。』
こちらは、しょーもない短いお話です。
お時間ある時にのぞいてみてくださいませ♪




