表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
三章 パーティ活動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/102

088 謎のシモン人気再び


 プーシーユーによる迷宮ボス戦は、第3フェーズへ。空から突撃したグリフォンキングは鋼鉄製の固定シールドに止められ、弾丸の雨に(さら)されて大ダメージとなり上空に逃げて行った。

 ここからはグリフォンキングの攻撃は風魔法の遠距離攻撃が増えたが、プーシーユーはタイミングよく固定シールドに隠れてノーダメージ。ユーチェ、シモン、プックのローテーション射撃で確実にダメージを稼いでいた。


『キエエェェー!!』


 かなりの弾数を使った頃、急にグリフォンキングが奇声を発した。


「アレって怒ってるん?」

「たぶん、最後の足掻きだ。全体攻撃が来るぞ。ユーチェ、念のため風の御守りっての頼む」

「なんかやっと役立てる感じやわ~」


 プックの質問に答えたシモンはユーチェに指示。プーシーユーで唯一魔法が使えるユーチェは初めての出番だけど、あまり喜べないみたい。

 冒険者になったら、もっと風魔法を使って活躍する未来を思い描いていたんだって。


 そのユーチェが固定シールドの一帯を柔らかい風で包み込んだ直後、目の前に暴風が吹き荒れた。


「なんというか……ここにいたら竜巻も台無しやな」

「まぁ……普通のパーティなら散り散りになって大ダメージになる魔法なんだけどな~」

「シモンさんたちといると、冒険者の常識が崩れますわ~」


 グリフォンキングの最強魔法トルネードは不発。部屋の隅っこでその前には固定したシールドがあっては、本領が発揮されないのだ。

 さらにユーチェの風魔法に包まれているから、隙間風もそよ風程度しか入って来ないから快適すぎる。シモンたちは無駄話をしながら弾倉交換等をして風がやむのを待つ。


「先に7号撃っとくな」

「「はいな~」」


 グリフォンキングのHPは残り(わず)か。シモンはショットガンの5発を消化してから、銃弾ローテーションに戻るのであった。



「「おお~」」

「やった~~~!」


 戦い始めて数十分。グリフォンキングはシモンのヘッドショットを喰らって墜落。大きな衝突音が鳴り響くと、シモンとプックは感嘆の声を出し、ユーチェは両手を上げて飛び跳ねた。


「なんでそんなに冷静なん!?」


 その温度差に、ユーチェはビックリだ。


「俺、四度目だし……」

「あーしは二度目やし……」

「一緒に喜んでおくんなまし~」


 その理由は、こういうこと。シモンとプックは五層ほどの喜びが湧かなかったんだって。


「おっき! 見て、この魔石!!」

「「うん。五層よりデカイな~」」

「だから一緒に喜んでや~~~」


 魔石の件も一緒。プックは五層の自分と重ねて「若いってこういうことか~」と達観した顔をするのであったとさ。



 迷宮ボス撃破は喜ばしい限りだが、こんなことをしている場合ではない。ユーチェにも「喜んでないで手を動かせ」と言って、固定シールドやガトリングガンを急いで片付ける。

 そうして走って階層移動の扉を潜ると、その2分後ぐらいに閉まったから、あのまま騒いでいたら危なかったと胸を撫で下ろしていた。


 ここで数分休憩。飲み物を飲んで銃を軽く整備しながらシモンの報告だ。


「スキルレベルが上がって、新しい弾が出た」

「ホンマかいな!? これで創作意欲が湧くわ~」

「ひょっとしたら、迷宮ボスに新しい弾丸を使うってのが条件にあるのかもな」

「どんな弾なんやろうな~?」

「2人とも、会話が噛み合ってまへんで?」


 シモンは考察しているけど、プックは新しい弾丸に心を躍らせてる。そのことをユーチェがツッコミながら、目の前の階段を下りて安全地帯に移動するプーシーユー。

 それからは「地下6階じゃなかったの!?」と驚くユーチェをプックがニヤニヤ見たり、新しい弾丸が補充されたらプックが興奮したり。モンスターを適当に倒して進めば、迷宮ボスを倒した3日後にプーシーユーは地上に出た。


「やっと空が見れたどす~」


 ここもユーチェだけ足並みが揃わなかったので、プックは恥ずかしそうにシモンを見た。


「あーしもあんな感じやったん?」

「だな。でも、みんな初めてはそんなもんだから気にする必要ないぞ」

「その大人対応やめてくれへん? 喜ぶに喜べへんやないの~」

「喜んだらいいじゃないか。初踏破、おめでと~う!」

「ああ。もう! 七層到着、おめっとさ~ん!」


 シモンが大声で喜べば、ウズウズしていたプックも笑顔で続く。こうしてプーシーユーの3人は、パーティでの初迷宮踏破を大いに喜ぶのであった。



 一通り喜んだプーシーユーは、迷宮の門番の男が微笑ましく見ていたので急に冷める。恥ずかしかったんだね。

 そのままモジモジしながらシモンが褐色肌の門番に声を掛け、冒険者ギルドから貰った書状を提出して素通りさせてもらおうとした。


「パーティ名はプーシーユー……リーダーは、シモン・ベール? シモン・ベールで間違いないですか??」


 すると、門番はシモンの名前に食い付いた。


「間違いも何も、本名なんだけど……」

「シモンさん! 握手してください!?」

「はい??」

「シモンさんのおかげで、勇者パーティの蛮行が減ったんですよ! シモンさんは、ダークエルフの救世主です!!」

「なんのこと? 俺、初めてここに来たんだけど……」


 門番、大興奮。そんな中、シモンだけじゃなくプックとユーチェもついて行けないのであった……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ