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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
二章 逃亡生活

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060 フレズベルク


 シモンたちが巨大な怪鳥フレズベルクに冷や汗を垂らしていたら、肉眼で確認した周りのエルフも騒ぎ出した。


「フレズベルクって?」


 シモンは知らない魔獣だったので、その名前を口にしたユドークスに尋ねる。


「ホーンホークのボスや。人族なら厄災の魔獣と言ったほうがわかりやすいか」

「あっ! 一匹で万単位の被害が出る災害級の魔獣ってヤツか……」

「それや。強さはダンジョンボスに匹敵する。数十年も前に召喚された勇者パーティが倒してからは姿を見せなかったんやけど……」

「これって、勇者が召喚されたから現れたってことか?」

「わかりまへん……」


 シモンは勇者のせいだと思っているけど、プックは違う可能性が思い付いた。


「殺しまくってるからちゃいまんのん? そりゃ親やったら怒るで」

「俺もそれ思ってたんだから、ここは勇者のせいにしない?」

「勇者のせいにできなかったら、この作戦を考えた人のせいになるもんな~……これって誰が考えたんでっか?」


 プックが素朴な疑問を口にすると、頂上にいるメンバーは全員シモンを見た。


「……俺? 俺じゃないって!?」

「シモンはん、真っ先に勇者のせいにしようとしてたやん?」

「俺は2羽も狩れたらよかったんだよ! それなのにユーチェがいっぱい狩れる方法を聞いて来たから……」

「あ、皆さんの目は、シモンはんの後ろに隠れてるユーチェを見てたみたいや」

「バレた!?」


 戦犯はユーチェ。シモンの作戦を自分の手柄にして進言したから、ユドークスもやりたくなったのだ。なので、ユーチェはユドークスに罪を擦り付けてるよ。


「もういい! アイツを倒さないと、村に行くかもしれねぇぞ!!」

「「「「「ハッ!?」」」」」


 遊んでいる場合ではない。シモンが怒鳴ると、エルフたちは一斉に我に返った。


「ひとまず取り巻きが邪魔だ。それを落としながら、フレズベルクの接近を待つ。フレズベルクが近付いてからは俺がヘイトを稼ぐ。プックを使って、取り巻きをなんとかしてくれ」

「聞いたな! 作戦はこれで行くで! 気張れや~~~!!」

「「「「「おお~~~!!」」」」」


 そこにシモンの簡単な作戦。ユドークスも活を入れ、皆は気合いを入れ直すのであった。


「あーしは逃げたほうがいいと思うんやけど……」

「ウチも同意見どす……」


 プックとユーチェ以外……



 フレズベルクとその取り巻きが迫るなか、シモン&ユーチェは到着前にできるだけ取り巻きを落とす。

 その他はまだまだ射程外なので、弓や魔法の準備をしてその時を待つ。


「フレズベルクが飛び出したぞ! 全員、両サイドでしがみついてろ!!」

「「「「「おう!!」」」」」


 すると、フレズベルクの速度が上がったので、シモンは避難誘導。そしてシモンも射撃台から飛び出して、中央にてアサルトライフを構えて待つ。


「キエェェーーー!!」

「うおおぉぉ~~~!!」


 さらに速度を上げるフレズベルクに向けて、アサルトライフの連射モードで撃ちまくるシモン。しっかり狙ってはいるつもりでも、弾丸の半分はフレズベルクの頭以外にも当たる。

 アサルトライフの弾数は20発。その全てを撃ち終わった瞬間に、シモンは横に飛んだ。


「シモンはん! 手ぇ掴めや!!」

「プック!!」

 

 フレズベルクの突撃をギリギリかわしたシモン。その突撃速度と羽ばたきの暴風に吹き飛ばされたシモンは、頂上から一段下がった場所にしがみついていたプックの手を掴んでなんとかこの場に残った。


「やべぇ~。死んだかと思った~」

「まったく……無茶しはりますな~」


 シモン、ドッキドキ。フレズベルクが通り過ぎて旋回している内に頂上に戻る。


「いまので箱を3個も使った。弾を渡しておくから、誰かに補充してもらってくれ。それと取り巻きが近付いて来てるからな」

「忙しっ。なんとかするから、シモンはんも死ぬんやないで」

「ああ。ユーチェ! 目になれ!!」

「はいっ!!」


 フレズベルクが戻って来る前に、シモンとユーチェは頂上の中央にて取り巻きのホーンホークをできるだけ落とす。射撃台は一発で吹き飛ばされたから使えないので、立って撃ち続けている。

 そうしていたら、プックが「後ろ後ろ!」と叫んだので、シモンは弾倉を付け替えながら振り返り、ユーチェを先に逃がした。


「キエェェーーー!!」

「ぐおおぉぉ~~~!!」


 今回の突撃は、全てを撃ち終わる前に転がってかわしたシモン。プックに受け止められて、落っこちることはなかった。


「はぁはぁ……」

「大丈夫かいな?」

「なんとか……たぶん効いてると思う」

「それは朗報やな~。ほれ、箱や。次が正念場やで~?」

「ああ。これ頼む」


 シモンはプックから受け取った弾倉を交換をすると、また中央に立ってユーチェの合図で取り巻きのホーンホークを撃ち落とす。


「さあ! あーしらもやるで! シモンはんの援護や~~~!!」

「「「「「おお!!」」」」」


 そろそろ取り巻きのホーンホークがエルフたちの射程距離に入る。プックが音頭を取るとエルフたちは呼応して、岩肌に足を固定して弓や魔法の照準を合わせる。


「撃て撃て撃て撃て~~~!!」

「「「「「おおぉぉ~~~!!」」」」」


 ホーンホークの群れが迫る中、一斉射撃。次々と撃ち落とし、プックはサブマシンガンの弾丸が尽きると素早く取り替えて撃ちまくる。


「来るぞ! しがみつけ~~~!!」

「キエェェーーー!!」


 そんな中、体勢を整えたフレズベルクの3度目の突撃。シモンの怒鳴り声に一同頭を下げて、フレズベルクが通り過ぎるのを岩肌にしがみついて耐えるのであった。


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