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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
一章 出会い

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030 冒険者プック


 アサルトライフルの性能テストのために、シモンと一緒に迷宮に潜ったプックは、サブマシンガンで倒したいとお願いして先に進む。


「うお~。きんもちいい~」


 角を曲がったところで3体のオークがいたが、シモンが拳銃で近い位置にいた2体をあっという間に倒してくれたから、プックは楽々蜂の巣。そんな楽な倒し方をできたので、プックは大満足だ。


「けっこう外してたぞ? だから半分も弾を使うんだよ」


 シモンは不満タラタラだけど……


「これぐらいええやないでっか。パラベラム弾は五万とあるんでっしゃろ」

「最近溜めてないから、5万切ってる」

「あーしが言いたいのは、腐るほどいっぱいって意味や」


 シモンがケチ臭いので、今度はプックが文句タラタラ。それでも道は開いたので、さっさと進んで安全地帯に移動してしまう。


「う~ん?」

「どうだ?」

「箱は普通に外れたけど……なんでやろ?」


 アサルトライフルが弾詰まりを起こしたので、その場で診察。このためにプックはついて来たみたいだ。


「あっ。そゆことか。わかったわ。ここ、連射の切り替えが中途半端になってるねん。そのせいで引き金が引けなくなってるだけやわ」

「てことは、俺のせい?」

「やろうな」

「そうなのか……ちゃんとやった気がするんだけどな~」


 原因が人的ミスと判明したので、修理は必要ない。しかしシモンは納得いかないのか、首を捻りながら先に進む。



 迷宮の地下1階は冒険者も多いので、このまま地下2階に移動。そこで見付けた中型モンスターをシモンとプックは弾丸乱射で倒して進んでいた。


「まただ。これ、俺のせいじゃなくない?」


 休憩から二度目の誤作動。シモンはプックに連射の切り替えスイッチを見せ付けた。


「ホンマやな……てことは~……振動か? 反動が強いのに連射してるから、それでスイッチが徐々にズレていってるんやわ」

「ほらな~? 俺はちゃんとやってるんだよ」

「えろうすんまへんな。今日は単発だけのテストにしまひょ。んじゃ、あーしはプーシー4号で……」

「まだやるんだな……」


 原因は完全にわかったので、プックはサブマシンガンの性能テストに精を出すのであった。シモンは「邪魔なんだけどな~?」とか思っているけど……



 それからもプック用の獲物を用意してサブマシンガンの調子を見ていたら、昼前には弾詰まり。とりあえずいつものシモンの狩り場に移動して、クイーンアントを倒しながら喋っている。


「直りそうか?」

「うん。この程度なら、なんとか」

「ふ~ん。プックを連れて歩けば、4号も使い物になるんだな」

「それじゃあアカンやろ。必ずプーシー4号を実用化させたる」

「個人的には、5号だけでもいいけど」

「そんなかわいそうなこと言ったるなや~。かわいい我が子やねんで~?」

「俺の子供ではない……」

「なんでやのん!? 養育費払ってくれてるやないの!!」

「開発費と修理費な?」


 プック、サブマシンガンを修理し過ぎて愛着が湧き過ぎた模様。シモンが冷たくしても「お父さんは酷いな~?」とサブマシンガンを愛でるのであったとさ。



 ほどほどに稼げたら、シモンたちは帰宅。帰り道はプックが「娘の出番をください」とうるさかったから、仕方なくモンスターは任せる。「それ、娘だったんだ」とシモンは引いてるけど。

 戦い方は、シモンが後ろに立ってアサルトライフルを構える。その前でプックはサブマシンガンを構えて、近付いて来たモンスターに連射。それで倒れない、もしくは弾切れになったらシモンのヘッドショットだ。


 そんな戦い方なので、モンスターが多くても危なげはまったく感じない。ただし、また弾詰まりが起こった時は、プックだけ慌ててたけどね。


「ああ~。いい経験になったわ~」


 迷宮から出たプックは、背伸びしてスッキリした顔だ。


「まぁあんだけ気兼ねなく乱射したら、ストレスも発散できるだろうな」

「せやねん。ドドドドって振動が途中からクセになったわ~。あと、レベルアップの音? 冒険者って、1日でこんなにレベル上がるんやな~」

「ああ~。そっか。普通の人って、年に1レベル上がるかどうかだっけ」

「せやで。頭ん中でチャリンチャリン鳴るから、お金持ちになったみたいやったわ~」

「お金持ち? ずっと小銭が落ちたと思って探してただろ??」

「なんで知ってまんの!?」


 これは冒険者あるある。確かにプックはキョロキョロしてることが多かったけど、シモンは特に何も思っていなかったけど、冒険者は必ず通る道だから予想で言ったら的中だ。


「それならパーティ申告しておいてやればよかったな」

「なんでんのんそれ?」

「パーティメンバーは経験値が割り振られるんだよ。女神様の力らしいぞ」

「そりゃ嬉しい話やけど……なんか楽してるみたいで嫌やな」

「たまにやってるヤツいるぞ。金持ちのボンボンとかな」

「やっぱり不正やん。どうせ高レベルの冒険者雇って楽してレベル上げとんのやろ。そんなのの仲間には入りたくないわ~」


 雑談しながら歩いていたら、冒険者ギルドに到着。魔石の査定の間も雑談は続く。


「プックも冒険者登録しとくか?」

「あーしが? なんでや??」

「また迷宮について来るなら、あったほうがいいかと思って。冒険者カード見せるだけで迷宮に入れてもらえるからな。いちいち申請書を書くのも面倒だし」

「シモンはんの都合か~い」


 プックは悩んでいたが、冒険者になるには最初の手数料を払うだけでいいと聞いて、シモンが払うと聞いて、登録だけはする。格安だけど、お金を払ってまで冒険者にはなりたかくなかったみたいだ。



 それからの2人は、プーシー4号と5号の調整に精を出している。たまに息抜きで、イレーナと町の外へピクニック。遊びに連れて行けと押し切られた節もある。


 今日は、シモンはお仕事。プーシー4号と5号は整備のためにプックに渡していたので、連射機能のない銃しか持ち出していない。

 しかし、シモンに取ってはこっちのほうが楽。半自動式拳銃のプーシー3号だけあれば、ヘッドショットでモンスターを倒せるからだ。


 いつも通り、クイーンアントを狩りまくって帰れば、冒険者ギルドで魔石の販売。今日も儲かったとホクホク顔で市場に買い出しに出たら、偶然プックと鉢合わせした。


「買い出しか?」

「ああ。シモンはんかいな。酒が切れてな~」

「酒なら買って帰ったのに」

「あんなんで足りますかいな。仕事用は別で買ってるんでっせ」

「飲みながら作ってたのか……」


 初めて聞く話しだったので、シモンは引いてる。その顔を見てプックはてへぺろしてるけど。

 せっかく会ったのだから2人で夕食を決めて、プックの財布から出したお酒の樽をシモンの収納バッグに入れる。これで1週間持つかどうからしいので、ますます引いてる。1日で飲み切れると聞いて、死ぬほど引いてる。


「そんなんじゃドワーフと付き合えまへんで~」

「付き合う気ないし……いてっ! 迷宮行くようになって力が強くなってるんだから叩くなよ」

「女に言うことかいな!?」

「いてぇって。マジで」


 プックの怒りの理由は多々あるみたいだが、シモンは本当に痛いからやめてほしい。そんな感じでイチャイチャしながら借家に向かっていたら、前から来た5人の男とすれ違うのであった……


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