避暑に行こう! 14
今日も1回の更新です!
急遽お祭りに追加された各イベントの為に、アイリーン様は領主の義母として、お祭りの主催者の一人に加わり、その準備に追われた。
私達もイベント会場の飾りつけなどを、積極的に手伝った。
そうして過ごしているとあっという間に数日が過ぎ、お祭りの日はすぐにやって来た。
街の大通りには様々な露店が並び、たくさんの人で溢れた。
どうやら、近隣の村々からもお祭り見物に人が来ているらしい。
お祭りは、二日に渡って開催される。
初日のイベントは、武闘大会だ。
今回出場が義務づけられた騎士様達の他に、現在この街にいる冒険者さんや、街の自衛団の皆さん、そしてわんぱくな少年少女などが参加するようだ。
わんぱくな少年少女は、子供の部の参加である。
午前中に子供の部、午後に大人の部がトーナメント方式で開かれるらしい。
私とアージュは、この子供の部に参加した。
当然、私の精霊の使用はアイリーン様から禁止された。
子供の部なら、精霊を使えば私の優勝は確実である。
その為、私は普段持ってはいるが使った事のない杖で、アージュは修得した護身術で勝負する。
私の最初の相手は、8歳の男の子だった。
猪突猛進よろしく、ただまっすぐに突っ込んできて、手にした模造剣を振り回す。
なので避けるのは簡単だった。
四角い線で区切られた試合場ギリギリまで逃げて、ひらりと避け、その背中を力一杯押して場外に出す。
それだけで勝てた。
始まって何回かの試合はどの子もそんな感じで、私は順調に勝ち上がり、六回戦目で、ついにアージュと当たった。
「クレハ……。クレハ、勝負だよ! お互い手加減は無しだからね! アレク様のご褒美の為にも、私、負けないから!」
「アレク様のご褒美? 何かを貰える約束をしたの?」
「え? ……あっ!? え、えっと……と、とにかく、勝負だよクレハ!!」
「うん……?」
何でアージュ、顔赤いんだろう?
「それでは、始め!」
私達の会話が途切れたのを見て、審判の男性がそう告げた。
途端、先手必勝とばかりにアージュは迫ってきた。
けれどこれまでの子達のように、ただ猪突猛進してきたわけではなかった。
護身術を習って間もなく一年がたつアージュは、なかなか強かった。
そんなアージュに、いくら魔物との戦闘経験を積んだとはいえ、今まで精霊に頼った戦闘ばかりをしてきた上、その精霊を禁じられた状態で勝てるはずもなく、私はかなりあっさりと負けた。
「……強くなったんだね、すごいなぁアージュは」
「えへへ。ありがとうクレハ。でも、クレハが精霊さえ禁じられてなければ、負けるのは私だっただろうけどね」
「あはは、そうだね。次の試合も頑張ってねアージュ。観覧席で応援してるから!」
「うん、ありがとう! 目指すは優勝だよ! アレク様のご褒美、絶対貰うんだから!」
「あ、優勝が条件なんだ? 何を貰えるのアージュ?」
「えっ! ええと……! が、頑張るよ! うん!!」
「へ? ……ああ、うん。頑張ってね」
どうやら、教えてはくれないみたい。
でも、また顔が赤くなってるから……そういう類いの事、なんだろうなぁ。
アージュのおませさん……。
アージュはその後も順調に勝ち進んだ。
けれど、惜しくも決勝戦で敗れてしまい、悔しさに大泣きしたアージュを、アレク様は懸命に慰めていた。
午後になり、大人の部が開かれた。
シヴァくんとギンファちゃん、ライルくんにアレク様、セイルさんにミュラさんがこれに出場する。
シヴァくんとギンファちゃん、ライルくんは未成年だけれど、護衛を仕事にしている人は、大人の部の出場でも問題ないらしい。
ちなみにフレンさんは、"トーナメントなんて面倒くさい"という理由で出場を拒否した。
代わりに二日目に、料理コンテストに出場するとアイリーン様と約束していた。
シヴァくん達は皆順調に勝ち進んだ。
シヴァくんやライルくんはともかく、ギンファちゃんまでもこの街の騎士様を破って勝ち進んだのには驚かされた。
毎日欠かさず稽古をしている努力は、確実に身になっているらしい。
そうして勝ち進むうち、ライルくんはアレク様と当たって敗れ、ギンファちゃんはシヴァくんと当たって敗れ、シヴァくんはアレク様と当たって敗れ、ミュラさんはセイルさんと当たって敗れ、セイルさんはアレク様と当たって敗れた。
そのままアレク様が優勝かと思われたが、決勝戦でこの街の騎士様達を束ねる隊長様と当たり、一進一退の白熱した試合を繰り広げた末、惜しくも敗れてしまった。
そして、優勝したその隊長様は、フェザ様と手合わせした。
その手合わせは、終始フェザ様が優勢で、隊長様が敗れた。
それが実力なのか、王子殿下の顔を立てたのかは、不明だけれど。
……クレハの相手役を決めるためにラクロの名前も加えて、くじを4つ作って自分で引いてみたら、なんと、フレンのくじを引きました。
くじの名前を見た途端、吹き出しました。
なんという引きの強さ。
私はどんだけフレンが好きなんでしょうか……www
というわけで今回のクレハの相手役はフレンに決まりましたが……フレン票は1票も入ってなかったのに、大丈夫かしら……。
す、少しでも楽しんで貰えるよう、頑張って書きます……!!




