パジャマパーティー! 2
今日二回目の更新です。
なんだか急速に激しいほどの睡魔に襲われたので、短いです。
今日はここまで。
*昨日短く中途半端になってしまった、家に着いてからの部分を加筆しました。
お手数ですが読み直して下さいませ。
翌日。
私はふと思いつき、自分の部屋のタンスから、ある物を取り出した。
それを目線の高さまで持ち上げて広げる。
「う~ん……」
私は一人唸って、考え込む。
春とはいえ、夜はまだ冷える。
だから自分がこれを着るのは問題ない。
アージュも、一言『これ温かいんだよ! 私が作った自信作! ね、着てみて!』とでも言って薦めれば、きっと着てくれる事だろう。
ギンファちゃんはすでに冬に何回か着ているから、もうさほど抵抗はないはずだ。
問題は……そう、ミュラさんだ。
すでに成人した大人の女性であるミュラさんに、これの着用を薦めるのは難しいだろう。
けれど、せっかくファンタジー世界でお泊まり会をやるのなら、やはり夜はただのパジャマパーティーではなく、これを着て、更に可愛く楽しくしたい。
言うなれば……そう。
着ぐるみパーティーである。
なんとかミュラさんにもこれを着て貰えるよう計画を練らなくては。
アージュとミュラさん用に新しく着ぐるみを作る必要もある。
アージュとミュラさんを迎えに行くお昼過ぎまでに、これらをこなさなくては……!!
私は手にしていたラピぐるみをタンスにしまい、まずは新たな着ぐるみを作るべく、部屋をあとにした。
そして午後。
街までアージュとミュラさんを迎えに行き、魔法のじゅうたんに乗って家まで帰って来ると、アージュは家を見て目を輝かせた。
「わあ! クレハのおうち、大きくなったね! やっぱり木のおうちって素敵! 魔法の大工屋さん、凄いよねぇ!」
「そうだね。私も気に入ってるんだ、この家」
「ね、ね、クレハ! あっちにいる子達って、うちが売った子達だよねっ?」
アージュは放牧スペースにいる動物達を指差して聞いてきた。
「うん、そうだよ」
「大事にしてくれてるんだね! ここから見ても皆元気で、満足してるのがわかるよ!」
「うん、大事にしてるよ。動物達も、私の家族だもん。さぁ、アージュ、家に入ろう? まずはその荷物を置かなきゃ。そしたらゆっくり家の敷地内を案内するよ。……なんて、そんなに広くないけどね」
「え、そんな事ないよ! 案内、お願いねクレハ!」
「うん。お願いされたよ」
そう言って、私は玄関まで歩き、扉を開いた。
「さあアージュ、ミュラさん、中へどうぞ」
「うん!」
「お邪魔するわね、クレハちゃん」
「やあ、ミュラさん、アージュちゃん、いらっしゃい」
「いらっしゃいませ! アージュちゃん、ミュラさん!」
アージュとミュラさんが玄関に入ると、リビングからタイミングよくフレンさんとギンファちゃんが出てきた。
話し声が聞こえたのかな?
「こんにちは、フレンさん、ギンファちゃん!」
「こんにちは。クレハちゃん、私は荷物を置いたら釣りにでも行ってくるわ。フレンくん、付き合ってよね? 夕飯のおかず、頑張って増やすわよ!」
「えっ? いえ、ミュラさんはお客様なんですし、そんな事は……!」
「いや、やらせてあげなよ、クレハちゃん。釣りはミュラさんの多彩な趣味のひとつなんだから」
「えっ? そ、そうなんですか?」
「ええ。フレンくんの言う通りよ。でも騎士になってからはあんまり釣りをする時間が取れなくてね。だから気にしないで、私に任せて? 久しぶりに楽しんでくるわ!」
「なるほど……わかりました。そういう事なら。すみませんが、よろしくお願いします、フレンさん、ミュラさん!」
「ええ!」
私がそう言うと、ミュラさんは嬉しそうに頷いた。
ミュラさん、釣りが趣味だったんだ。
「……僕も行く事は決定なんだね。まあいいけど」
「あら、何よ? 私と一緒じゃ不満? こんな美人のお供ができるのよ? 光栄に思わないの?」
「……そういう台詞は、僕じゃなくセイルに言いなよ。でないと意味ないだろ」
「なっ! う、うるさいわね! ほら、客室はどこよ? 荷物を置いて、さっさと行くわよ!」
「はいはい」
フレンさんの言葉に、ミュラさんは少しだけ顔を赤らめ、それを誤魔化すように、フレンさんを急かして、客室へ行ってしまった。
んん?
今の会話は……何かあるぞ?
どうやら今夜の話のネタがひとつ増えたかな?
「クレハ? どうかした?」
「あ、ううん! 私達も荷物置こうか。客室に案内するよアージュ」
「うん!」
その後私は荷物を置いて釣りに出かけたミュラさんとフレンさんを見送って、アージュに家の案内を始めた。




