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新たな出会い 8

今日二回目の更新。

今日はここまで。

吟味に吟味を重ねた結果、王都周辺で採取できる物は後で行って採取するから除外。

あの街からこの王都以上に遠い場所に行かなきゃ採取できない物は買い。

というふうに分けて、所持金のほとんどを使い、私は材料を大量に買い漁った。

二つに分けられた大きな袋を見て、満足げに微笑んだ私は、さあ持って帰ろうと、袋に手を伸ばした。

しかしその手は宙を掻き、袋はフレンさんとシヴァくんの手に渡った。


「えっ! じ、自分で持ちます!」

「何言ってるの。男手があるんだから、使いなよ」

「僕が持ちます」

「そんな! 悪いですよ! 返して下さい!」

「駄目」

「駄目、です」

「だ、駄目じゃないです……!」


私はしつこく食い下がり、最終的には無理矢理奪い取ろうとまでしたが、フレンさんが笑顔のまま静かに怒り始めてしまった為、結局、甘える事にした。


「……それじゃあ、そろそろ帰りましょう……」


せめてもうまっすぐ帰ろうと、私は項垂れながらそう言った。


「あ、待って。最後にもう一ヶ所、武器・防具屋に寄っていいかな?」

「え、買うんですか?」

「ううん、見るだけだよ。気に入るのがあれば、そのうち、買うけどね?」


そのうち……?

数日で帰るのに?

あ、取り寄せるのかな?


「武器・防具屋か。ならちょうどいい。俺も一緒させて貰うぞ」

「え?」


聞こえた声に視線を向けると、アレク様の隣に金髪の美少年がいた。

この人、まだいたんだ……。


「新調するのかいフェザ?」

「ああ。長年使ったせいか、さっきついに折れたんだ。いい剣だったんだが」

「ああ……愛用してたもんね。残念だったね」

「仕方ないさ。さ、行くぞ」

「うん。行こう皆」

「はい」







武器・防具屋に着くと、アレク様と話しながら剣を選ぶ金髪の美少年から少し離れ、私は双剣を見た。


「プラチナセイバーがある……」


いずれシヴァくんの最終武器にと考えた双剣が、そこにあった。


「ああ、でもお金が足りない……ごめんシヴァくん。買えないや……」


もう少しお金を残しておくんだったと、私は今更ながらに悔やむ。


「……構いません。俺は、クレハ様が作って下さったこの双剣のほうが、いいです」

「え……でもそれ、プラチナセイバーに比べたら、ずっと劣るし……」

「関係ありません。俺はこれがいいです」

「シヴァくん……。ありがとう。でもいつかは、プラチナセイバー、作るからね。待ってて」

「はい」

「クレハちゃん、シヴァくん、お待たせ」

「あ、武器、決まりました?」

「ああ。これにした」

「あ、それ、ミスリルソードですね」

「ああ」

「あれ? クレハちゃん、フレンとアージュちゃんは?」

「あ、防具を見に行きました」

「防具を? なら、そこに」

「行く必要はありません。戻りましたよ」

「あ、フレンさん、アージュ。いい物はありました?」

「うん。賢者のローブっていうのがあってね。気に入ったから、何で出来ているのかを聞いてきたよ。クレハちゃん、はいこれ。賢者のローブの材料」


そう言って、フレンさんは私に小さな紙を差し出した。


「え?」

「その材料が手に入ったら作って僕に売ってよ。それまで待つからさ」

「何? 今買えばそれで済むだろうに?」

「……ふ。そうですね。でも僕は、この子が作った物のほうがいいので」

「……変わっているな」

「さて、どうでしょう。用はお済みですか? こちらも済みましたし、戻るとしましょう」

「ああ、わかった。アレク、夫人に挨拶したいから、俺も宿へ行くぞ」

「あ、うん。フェザに会えるなら母上も喜ぶよ。じゃ、宿へ戻ろう」

「はい」


こうして王都見学は終了し、私達は宿へ戻った。

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