変化 3
本日更新二回目。
クレハ視点に戻ります。
今日はここまで。
ギルドに来た私は、早速あの三人の冒険者さんを探した。
キョロキョロと辺りを見回しながらギルド内を歩く。
しかし、どこを探しても、その姿を見つける事はできなかった。
…今日はギルドに来てないのかな?
「おお、来たか嬢ちゃん!大変だったな、無事で何よりだ!」
「あ、おじさん…。こんにちは。ご心配をおかけしました」
「おう、心配したぞ。まあ、無事ならそれでいいがな。…ところで、キョロキョロしてたが、何か探し物か?」
「あ、はい。…あの人達にお礼が言いたくて。盗賊のアジトに行ってくれたって聞いたので」
「ん?…ああ、あの三人か。あいつらなら、もうこの街にはいないぞ。今朝旅立った」
「え!?」
「アジト急襲に協力したからだろうが、昨夜騎士がここまで来て、盗賊を全員捕まえた事をあいつらにも報告したんだ。魔窟のお宝手に入れて旅費はできたし、嬢ちゃんももう心配ねえってんで、他へ移って行ったよ」
「…そんな…!七色の結晶の事も含めて、会ってお礼、言いたかったのに…」
「はは、そりゃあ残念だったな。だが、冒険者ってのは流れるもんだ。仕方ねえさ」
「う……はい。…それじゃ私、帰ります。シヴァくん、つれ回してごめん。帰ろう」
「はい」
「気をつけてな!」
「はい、おじさん。それじゃあまた。……あ。ねえシヴァくん、最後にもう一ヵ所、寄ってもいい?」
「はい、構いません」
「あ、ありがとう。じゃあ行こうか」
私達は、ギルドをあとにした。
動物屋の前まで来ると、ジュジュさんが店先を掃除していた。
「ジュジュさん、こんにちは」
「…あら…!…いらっしゃいクレハちゃん。元気そうで何よりだわ。アージュは中よ。会って元気な姿を見せてあげて?」
「はい。それじゃあ、お邪魔します。お掃除、頑張って下さい」
「ええ、ありがとう」
ジュジュさんに挨拶をすると、私達は動物屋の中に入った。
「こんにちは~!」
「ん?…おっ!クレハちゃん!アージュ!クレハちゃんが来たぞ~!」
「えっ、クレハ!?」
店の奥からバタバタと走って来る音が聞こえ、ガラスケースの向こうから、アージュが飛び出して来た。
アージュは私を見ると、凄まじい勢いで詰め寄ってきた。
「クレハ!!ぶ、無事!?怪我とかしてない!?元気!?どこも痛くない!?」
「え!?ええっと、アージュ?お、落ち着いて!」
「落ち着けないよ!クレハ、悪い人に狙われたんでしょ!?大丈夫!?」
「えっ…!?アーガイルさん…話したんですか?」
「ああ。護身術を習わせる理由としてな」
「うん、私、護身術を習うんだよ!強くなって、クレハを狙う悪の組織からクレハを守るからね!」
「…へ?」
あ、悪の組織?
「クレハの錬金術の腕を悪用して世界征服を企む悪の組織があるんでしょ?そんな事は絶対させないよ!安心してねクレハ!!」
「え…?」
せ、世界征服……?
何の話……?
ちらりとアーガイルさんを見れば、顔をそむけて、肩を震わせていた。
……なるほど。
面白おかしく説明したんですね、アーガイルさん……。
「クレハは私が守るよ!だって私お姉さんだもん!」
あ、そのセリフ、久しぶりに聞くなぁ。
…まあ、アージュが護身術を習うのは、悪い事じゃあないし…。
「…うん、じゃあよろしくね。アージュ」
「うん、任せてクレハ!」
その後、怪人がどうの、悪の幹部がどうのと話し出すアージュに、どう相槌を打てばいいかと遠い目をしていたら、掃除を終えたジュジュさんに助けられ、私は動物屋をあとにする事ができた。
そして、夜。
シヴァくんにおやすみの挨拶をし、自室に戻って一人になった時。
部屋の片隅から光が放たれ、その中から、ラクロさんが、現れた。




