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変化 1

本日三回目の更新。

今日はこれでおしまい。


6/5編集完了。

これで問題ない………はず。


「クレハちゃん!いらっしゃい。ようやく片がついたわね。フレンから聞いたわよ?盗賊の一人を精霊魔法でやっつけたんですって?やるじゃない!」

「あ、あはは…。フレンさんの助言のおかげで、なんとか。もう必死でした」

「まあ。…シヴァくんも、頑張ったらしいわね?それにライルも。お疲れ様。私、クレハちゃんにお話があるから、二人でゆっくりしているといいわ。…クレハちゃん、ちょっと一緒に来て貰える?」

「え?どこへですか?」

「いつもの応接室よ。会わせたい人がいるの」

「え…?」







応接室へ行くと、そこには白髪の老人と、眼鏡をかけた栗色の髪の青年がいた。


「お待たせしました。ようやく待ち人が参りましたわ」

「ほう」

「では…その少女が、この薬を…!?」

「え?」


薬?

…あ、あの眼鏡の男の人が持ってるの、私が作った薬だ。


「ええ、この子が作った物ですわ。名を、クレハ・カハラと申しますの。…クレハちゃん。この人達はね、王都の王立研究所の所長さんと、そのお弟子さんよ。クレハちゃんに会って貰おうと思って私が呼んだの」

「私に…?どうしてですか?」

「この人達はね、あらゆる物の研究と、優れた物の複製品を作る事を生業にしているのよ。…クレハちゃんが作る物を複製して貰えないかと思ってね?」

「複製…?」

「ええ。…いかがかしら?所長さん」

「…もちろん、こちらからお願いしたいですな。この薬は素晴らしい」

「あら、お願いしたいのはその薬だけじゃなくてよ?」

「承知しております。それについても、異論はございませんな」

「あら、そう。なら良かったわ」

「え?…あの…アイリーン様?」


は、話が見えない…。


「あら、ごめんなさいクレハちゃん。つまりね、貴女が作った物の複製品を作って、量産して、この街だけじゃなく、国中に流通させましょうって事よ」

「え………ええっ!?」

「是非お願いしたい。この薬ひとつ見るだけでも、とても質がいい。効力もきっと高い事でしょう。是非広く普及させたい」

「複製品は、どうしてもオリジナルよりは少しだけ質が落ちる。けどそれでも、この薬の複製品は今普及しているどの複製品より質も効力も上回るだろう。もちろんオリジナルのほうが優れているから、貴女の作る物の価値は変わらない。その点は心配いらない。だから是非複製品を作る許可を出して欲しい」

「…え、ええと…」

「クレハちゃん。これはあの盗賊みたいな人達を退ける策でもあるの。複製品が安く出回っていれば、いくらそれより優れていても、法外な値のするオリジナルを買おうとする人はあまりいなくなるでしょう?なら、捕まるリスクを冒して無理矢理拐ってオリジナルを作らせて高く売ろうなんて考える人もいなくなるはずよね?」

「…あ…!」

「王立研究所は人々の信頼を得てる機関だから、そこから出された品なら人々は安心して買えるし。良いことだと思うのよ。どうかしら?…返事は、すぐでなくてもいいのだけれど。今日はとりあえず顔合わせと、話だけで。何しろ、私が勝手に持ちかけちゃった話だし」

「いえ、そういう事なら…!アイリーン様が信頼できる機関だというなら、私はそれを信じます。アイリーン様は、私のお姉さんみたいな人ですから。…よろしくお願いします、所長さん」

「まあ、クレハちゃん…!」

「おお、承諾して下さるか!それはありがたい!」

「では、今現在貴女が作れる物を各一個ずつ、こちらへお渡し願いたい。作ったあと、後程侯爵夫人経由で研究所へ送って戴きたい」

「あ、いえ。それならちょうど全部持ってます。この数日で作ったから、ギルドに売ろうと思って持ってきたから。…あ、私が作ったオリジナルの、ギルドへの卸値ってどうなります?」

「今まで通りよ?所長さん。この街にはクレハちゃんがいるから、複製品はこの街には配られないよう手配を約束して戴けるかしら。クレハちゃんの為の話が、逆にクレハちゃんの生活を困窮させたら本末転倒だもの」

「わかりました。必ずそのように」

「うん、ならやっぱり問題ありません。はい、どうぞ」


私は籠の中を漁り、持っていた物をひとつずつ、応接室のテーブルに置いていった。

所長さんはそれをひとつずつ手に取って眺めた。


「ほう、これはこれは…!素晴らしい!」

「今作れるのは、これで全部です」

「わかりました、お預りします。…複製品の売り上げの一部は、定期的に侯爵夫人経由でお渡しすればよろしいかな?」

「え?」

「ええ、そうして下さいな。クレハちゃんがまた新しい物を作ったなら、私が責任を持って研究所にお送りしますから」

「はい、お願いします。では、私達はこれで。一刻も早くこの品々の複製品を作ってみたいので」

「わかりましたわ。ご足労ありがとうございました」


アイリーン様がそう言うと、所長さんとお弟子さんは席を立ち、応接室を出て行った。


「あの…アイリーン様?複製品の売り上げの一部…私が貰えるんですか?」

「まあ。当たり前じゃない。クレハちゃんの品の複製品だもの」

「…へ、へえ…」


なんか、思いがけない場所からの収入が増えたみたい…。


「それと、クレハちゃん。これを渡しておくわ」

「はい?……え!?こ、これ、七色の結晶!?こんなにいくつも…どうしたんです!?」

「ギルドの受け付けの方から預かったの。クレハちゃん、冒険者を雇ってたんですって?その人達が持ち帰った品らしいわ」

「あ…!…そっか、帰って来てたんですね、あの人達」

「ええ。クレハちゃんがギルドに来ないから、その人達、受け付けの方に尋ねて、貴女が盗賊に狙われたと知って、アジトへの急襲、騎士達に交じって参加したらしいわよ?…ギルドの方には、貴女に危険が迫った事を話してあったから」

「えっ…!」

「おうちに帰る前に、ギルドへお話に行ってみたらどうかしら?」

「は、はい、そうします。…えっと、じゃあ、今日はこれで」

「ええ。またねクレハちゃん」

「はい、また」


私はシヴァくんに声をかけ、ハイヴェル邸をあとにし、ギルドへ向かった。

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