捕獲作戦 2
今日二回目の更新。
今日はこれでラストです。
再びハイヴェル邸に戻ると、メイドさん達に呼ばれた。
何故か何を買いに行くのかを聞かれ、それに答えると、『なら、買い物は自分達と手分けをしましょう。クレハちゃんは一ヵ所だけ、自分で行く所を選んでね』と言われた。
恐らく、アイリーン様の指示だろう。
そう思った私は、大人しく従った。
そうして、選んだ行き先は。
「クレハ!遊びにきてくれたのっ?」
「ううん、買い物だよ。アージュ、アーガイルさんはいる?」
「お父さん?いるけど…クレハの買い物なら、私が接客するよ?」
「ん、ありがとう。でも、ごめん。ちょっと、アーガイルさんにお話があるんだ。呼んで貰っていいかな?」
「む。クレハったら、私じゃ不満?」
「まさか。そうじゃないよ。本当にお話があるの。お願いアージュ」
「…む~。…仕方ないなぁ。ならば今回だけは見逃してあげるぞよ。我は寛大だからの」
「ぷ。…はは~っ。ありがとうございますアージュ様」
「うむ!…へへ、すぐ呼んで来るね!ちょっと待ってて!」
「うん。………じゃあね、アージュ」
アーガイルさんを呼びに行くアージュの背中に向かって、最後に私は小さく呟いた。
「お待たせクレハちゃん!買い物だって?今日は何を買うんだい?」
「こんにちは、アーガイルさん。雄のコッコを1羽ください。もう何羽か、増やしたいので」
「お?…そうか、あの有精卵、雌だったか。わかった。どの雄がいい?」
「元気な子ならどの子でも」
「おまかせか。よし、わかった。ちょっと待っててくれ」
そう言ってアーガイルさんは、コッコがいるガラスケースに行き、コッコを1羽出してきてくれた。
「お待たせ。はい、ご所望の雄のコッコだ」
「ありがとうございます」
私は代金を支払い、コッコを受け取ると、アーガイルさんを見上げた。
「アーガイルさん。私、これから少しの間、ここに来られません」
「うん?………。」
私の言葉を聞くと、アーガイルさんは私の後ろを見た。
そこには、シヴァくんとライルくん、フレンさんがいる。
アーガイルさんは再び私に視線を戻すと、苦笑した。
「……少し前からよく、街に現れたっていう凄腕錬金術士の噂を聞くよ。女の子らしいな」
「え…」
「…アージュはしばらく外に出さない。一日中店の手伝いをさせる。…いくら動物が好きでもふて腐れるだろうから、今度泊まりがけでアージュと遊びに来てやってくれな、クレハちゃん。必ずだぞ?」
「…アーガイルさん…」
「よし、ジュジュに相談して、アージュに護身術でも習わせるとするか!ついでに俺も鍛え直すかな!ははは!」
「……。…すみません、アーガイルさん」
「ん?何を謝ってるんだ?何か俺に悪いことをしたかい?俺は、された覚えはないぞ?」
「……いえ。…そうですね。何もしてません。…また来ます。必ず」
「ああ!待ってるよ。アージュも、俺もジュジュもな」
「…はい。それじゃあ、また」
「ああ。…気をつけてな!」
私は温かいコッコを手に、動物屋をあとにした。
その日の夜はハイヴェル邸で、アイリーン様と楽しい時間を過ごした。
色々な話をしながら食事をした。
更にアイリーン様は、全力で遠慮する私を笑顔でスルーして、半ば強引に"一緒にお風呂"を楽しんだ。
あれは、恥ずかしかったの一言に尽きる。
そして、翌日。
私はシヴァくん達と共に街を出て、歩いて家へと向かった。




